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シミの対処方法

着物についたチーズの汚れはシミ抜きできる?対処法を解説

トローリ チーズ

あつあつトロトロのグラタンやチーズトースト、ラクレットやチーズフォンデュ……いまやチーズは日本人の食事に欠かせない食品のひとつとなっていますよね。チーズが大好物!という人も多いのではないでしょうか?

でもこのチーズ、着物にこぼしてしまった場合にはとても対処が難しいシミになってしまいます。自己処理で一度失敗すると、プロでも取れないシミになってしまうこともあるんです。

坂根克之
坂根克之
こんにちは。着物関係一筋50年 京都きものサロン創夢(そうむ) 坂根克之です。ここではチーズのシミ抜きが難しい理由や、汚れを取る方法等について解説をしていきます。

着物のチーズ汚れの対処は失敗する?

着物に付く食品のシミには様々なものがありますが、チーズはその中でもとても難易度が高いシミと言えます。そのため正直に言いますと、着物に付いたチーズのシミ抜きは「ご自宅では失敗しやすい」のです。それはなぜなのでしょうか?

粘度が高く固形物が取り切れない

日本で食されるチーズの多くは、火を入れてとろけた状態のものです。このような「溶けたチーズ」はとても粘度が高く、ベタベタと付着してしまいます。ガムのように「冷やせば固まる」とは言い切れません。無理にチーズの固形物を取ろうとすると、着物の表面の繊維がダメージを負って元に戻らなくなってしまいます。

普段着であれば高温を当ててチーズを完全に溶かしてしまう方法もできますが、着物の場合にはこれもおすすめできません。チーズが溶けるほどの高温をご家庭で扱えば、着物の素材が傷んでしまうか、チーズが繊維の中に入り込んでしまうからです。

タンパク質が固まってしまう

チーズはタンパク質をとても多く含む食品です。そのため油分を落とすために一般的に行われる40℃前後のお湯を使ったシミ抜きや洗濯が行なえません。

40℃前後のお湯を使うことでタンパク質が固まりきってしまい、却って取れないシミになってしまいます。

タンパク質を分解するには酵素等での対処が必要なのですが、着物の素材の場合、酵素入りの洗剤等が使えないものもたくさんあるのが問題です。

油分が残ってしまう

着物についたチーズには、多くの乳脂肪(油分)が含まれています。汚れを油がコーティングしてしまっている状態なので、水洗いや作用の穏やかな中性洗剤等だけでは汚れが取り切れないことが多いです。

色素が残ってしまう

チーズのシミは、チーズの種類によっては色素が強いシミでもあります。そのため油分や固形の汚れが取り切れても、色素の汚れ(色のシミ)が残ってしまうというケースも多いです。

色素の汚れには漂白等を行う必要がありますが、着物の場合ですとご家庭での漂白を行うと「色抜け・変色」等が起こる可能性が高い素材も多く、おすすめができません。

初動の失敗が後を引く

チーズの汚れは上のように様々な「汚れが取れにくい要素」を持っているため、最初の対処での失敗が大きく影響をしてしまいます。ご家庭でシミ抜きをして「落ちなかった」となった場合、後から専門店に持ち込んでも「もう取れない」となる可能性が高いのです。

上記のような理由から、着物についたチーズのシミ・汚れについてはご家庭でのシミ抜き・汚れとりの対処があまりおすすめはできません。「シミが取れない」というだけでなく、シミを取ろうとしたために着物の素材が傷んだり、縮んだりして元に戻らなくなる可能性が高いためです。

失敗できない大切なお着物であれば、自己処理を避けてプロに依頼することをおすすめします。

着物のチーズ汚れを取る方法は?

着物に付いたチーズのシミについて「シミ抜きに失敗しても良いから家での処理に挑戦してみたい」という人もいることでしょう。ここでは「失敗率が高い」ということはご了承いただいた上で、着物のチーズ汚れのとり方をご案内します。

事前に確認するポイント

着物のチーズ汚れをしみ抜きする前に、次の点を確認しましょう。

水洗いの可否
この方法では水洗いが必須となります。着物が水洗いに適している素材・染料・加工かどうか必ず確認しましょう。

固形物の除去の状態
この方法では、チーズの固形物が完全に除去できていること(チーズの固形汚れがはがせたこと)を前提としてシミ抜きを行います。チーズの固形物が繊維に押し込まれて固まっている場合には、それ以上の除去ができません。

ベンジン・台所用洗剤・漂白剤の変色テスト
この方法では、汚れの除去のために「ベンジン」「台所用洗剤」「酸素系漂白剤」を使用します。それぞれ、使用をすると着物の変色・色移り・褪色等を引き起こす恐れのある洗剤・溶剤です。事前に共布または裏地等の目立たない部分で必ず変色テストを行い、問題が無いことを確認しましょう。

用意するもの

  • ベンジン
  • 台所用洗剤(液体タイプ)
  • 洗濯用液体洗剤(中性タイプ・おしゃれ着用)
  • 酸素系漂白剤(液体タイプ)
  • 柔らかい布(汚れても良いもの)
  • タオル(汚れても良いもの)
  • バスタオル2枚
  • 洗面器等の容器
  • 洗濯用ネット(着物を本畳みして平らに入るサイズ)
  • 着物用ハンガー
  • アイロン、アイロン台、霧吹き等

事前の準備

※ベンジンは揮発性が高く刺激の強い危険な物質です。作業中には窓を開けて換気しましょう。
※ベンジンは引火性です。火事の危険があるので、火器類(ライターやコンロも)の使用はすべて中止してください。
※着物の襟元が洗濯で型くずれしやすいです。安全ピン等で仮止めをするか、ざっくりと縫い止めておくことをおすすめします。

シミ抜きの手順

  1. 汚れても良いタオルを敷いてから、上に着物を広げます。
  2. 柔らかい布にたっぷりとベンジンを染み込ませます。
  3. シミ部分を布で軽く叩き、油汚れを溶かして下に落としていきます。
  4. 布やタオルに汚れが移るので、常に新しいキレイな面が着物に当たるように動かしながら作業します。
  5. シミの部分に水をかけて濡らし、台所用洗剤の原液を少量つけてから、指でよくなじませます。
  6. 洗面器やバケツ等の容器に水を入れ、中性洗剤を少し溶かして薄めておきます。
  7. 液体タイプの酸素系漂白剤をシミがある部分に原液で少量塗りつけてから、6.で作っておいた洗剤液に部分的に漬け込みます。
  8. 10分~15分程度放置します。
  9. 水でよくすすいで、シミの状態をチェックします。
  10. シミが取れていたら、仕上げ洗いに移ります。着物を本畳みして洗濯用ネットに入れます。
  11. バスタブや洗面ボウルに水を入れてから、中性洗剤を適量溶かします。使用量は製品パッケージ裏面の説明書「手洗い」の項目を参照してください。
  12. ネットに入れた着物を全体的に水に漬けて、両手で優しく押して「押し洗い」をします。(洗濯機洗いに適した着物であれば、洗濯機洗をしてもOKです)
  13. 水を取り替えて、2~3回程度よくすすぎます。
  14. 洗濯機の脱水機能で30秒程度、軽く脱水させます。
  15. バスタオル2枚で着物を挟んで、着物の水分を吸い取ります。
  16. 着物専用ハンガーにかけて、直射日光を避けて自然乾燥させます。
  17. シミの状態をよく確認してから、アイロンをかけて仕上げます。

【注意点】
※ベンジンで強く擦ったり叩いたりするのはやめましょう。表面が白っぽく毛羽立つ「スレ」の原因になります。
※シミ抜き・洗濯で高温のお湯を使用するとタンパク質が凝固して取れないシミになります。冷水を使用しましょう。
※洗濯後・乾燥後にシミが残っている場合は、できるだけ早く専門店に相談しましょう。アイロンや日光で温まると、シミが余計に定着します。

おわりに

着物についたチーズのシミは、一般的な洋服クリーニングのお店ですら「取れません!」と断るくらいに難易度の高いシミです。

もしもフォーマル着物や水洗いができない着物、大切な着物にチーズのシミが付いてしまった場合には、着物の扱いに強い専門店に相談することをおすすめします。

当店『きもの創夢』でも、チーズの汚れが付いてしまった着物のご相談を受付けています。プロならではの漂白や染め直し等の対応も含め、大切な着物を再生させるプランを複数ご提案できますので、困った時にはお気軽にご相談くださいね。

他店で断られたシミ承ります!

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