半衿のシミや汚れの落とし方は?洗濯機OK?洗い方徹底解説
半襦袢に着ける「半衿(半襟・はんえり)」は、襟元から少しのぞかせる着物のおしゃれのためのアイテムです。フォーマルの場合には白半衿を合わせるのがマナーですが、カジュアルシーンでは色柄もの等の様々な半衿を着けてコーディネートを楽しむこともできます。
さてこの半衿、特に白半衿はシミ・汚れが目立ちやすいアイテムでもあります。自分でお手入れする方法を知って、いつもキレイな状態にしておきましょう。
半衿の素材を確認しましょう
まずはシミ・汚れが付いた半衿の洗濯をする前に、半衿の素材を確認しましょう。
- 半衿の素材がポリエステル → 洗濯機でも洗えます
- 半衿の素材が正絹(シルク) → 手洗いのみとなります
- 半衿の素材が不明 → 手洗いした方が無難です
正絹(シルク)はとても縮みやすい素材です。洗濯機洗いだと縮みが特に起きやすい傾向があります。正絹の半衿は縮み・型崩れ防止のため、手洗いでお手入れをしましょう。
半衿の素材がポリエステルだったり、洗濯表示で「洗濯機OK」となっている場合には、洗濯機でのお手入れも可能。素材や洗濯表示がよくわからない場合には、念の為に手洗いにしておきましょう。
※半衿の種類によってはご家庭での洗濯が不向きなものもあります。また、シミの状態によってはご家庭での洗濯では汚れが落ちないことも。下の4.の項目で詳しく解説しているので、よく確認してから半衿を洗いましょう。
半衿を手洗いする方法
基本の洗い方である「半衿を手洗いする方法」を見ていきましょう。
用意するもの
- 中性タイプの洗濯洗剤(おしゃれ着用、エマールやアクロン等)
- 柔軟剤(縮み防止のために必要)
- タオル 2枚程度)
- ハンガー(ピンチハンガーはNG)
- アイロン(スチームアイロンはNG。引っ張って伸ばせるもの)
- アイロン台
※正絹の半衿は縮みやすいため「アイロン掛けで縮んだ生地を伸ばす」というプロセスが絶対に必要です。ご家庭にアイロンが無い場合には、半衿はクリーニングに出しましょう。
下準備
半衿は長襦袢から外しておきます。(長襦袢のままでご自宅で半衿を洗うことはできません。次回の着用の際には、半衿を長襦袢に付け直す作業が必要になります)
半衿の洗い方の手順
- 洗面器にぬるま湯(30℃位)を入れて、中性洗剤を適量溶かしておきます。
- 半衿を 1.の洗濯液に漬けます。
- 両手で優しく押し洗いをします。
- 特に汚れが気になる部分だけ、指で優しくつまみ洗いをします。
- 水でよくすすぎます。
- 洗面器に水を入れてから、柔軟剤を適量溶かします。
- 柔軟剤を溶かした液に半衿を漬けます。
- 水ですすぎます。
- タオル2枚で挟んで、ポンポンと軽く叩き、水分を取ります。型崩れ防止のため、洗濯機での脱水は行いません。
- アイロンを素材に合わせた設定に温めます。
- 濡れた状態の半衿にアイロン掛けをします。強く引っ張るようにして、縮んだ生地を伸ばしましょう。
- ハンガーにかけて形を整えます。ピンチハンガーは挟み跡が残るので使わないでください。
- 直射日光が当たらない場所で自然乾燥させます。
※半衿をゴシゴシと力を入れて洗うのはやめましょう。表面の「スレ」が起きてしまう可能性があります。
半衿を洗濯機洗いする方法
丈夫なポリエステル素材の半衿は、気楽に洗濯機でもお手入れができます。
用意するもの
- 中性タイプの液体洗剤(おしゃれ着洗い用。エマール、アクロン等)
- 洗濯用ネット(半襟が入るサイズ。ブラジャー用等のワイヤー入りがおすすめ)
- 柔軟剤(縮み・型崩れ防止のために必要)
- タオル(2~3枚)
- アイロン
- アイロン台
- ハンガー(ピンチハンガーはNG)
下準備
半衿は長襦袢から外しておきます。(長襦袢のままでご自宅で半衿を洗うことはできません。次回の着用の際には、半衿を長襦袢に付け直す作業が必要になります)
半衿の洗い方の手順
- 半衿は洗濯用ネットに入れておきます。
- 洗濯機は「ドライ洗い」「手洗いコース」等、デリケートな衣類向けのコースに設定します。最後の脱水は設定しないでください。
- 中性タイプの洗濯用洗剤や柔軟剤を洗濯機の所定の場所にセットして、洗濯を開始します。
- すすぎまでが終わったら、すぐに洗濯機から半衿を出し、ネットから取り出します。
- 半衿をタオルで挟んでポンポンと叩き、優しく水分を取ります。
- アイロンを素材に合わせた設定に温めます。
- 半衿が濡れている状態でアイロン掛けをします。縮んだ布が元に戻るように、引っ張るようにしながらアイロンをかけましょう。
- ハンガーにかけて形を整えます。ピンチハンガーは挟み跡が残るので使わないでください。
- 直射日光が当たらない場所で自然乾燥させます。
※長時間の脱水を行うと、型崩れが起きてしまいます。洗濯~すすぎの間の脱水時間が設定できる機種の場合には、できるだけ短めに設定しましょう。
自分で洗えない半衿もある?
次のような半衿は、自分では洗うことができません。
洗えない半衿の例
- 刺繍が入っている
- レース素材である、レースが付いている
- ビーズやスパンコール等の縫い付けがある
- 金箔・銀箔の箔押し加工がある
- 縮緬(ちりめん)の半衿
- しぼりの半衿
- その他特殊加工がある半衿
※特殊加工がある半衿を自宅で洗うと、加工の剥がれ・変色等が起きる可能性があります。
※刺繍がある半衿は、刺繍部分がよれたり、周辺の布地だけが縮んでしまうことも。特に色刺繍の場合、色落ち・色にじみの恐れもあります。
また次のような半衿のシミ・汚れは、ご自宅で洗っても汚れを落とすのが難しいです。
自分では落ちないシミ・汚れ
- 黒ずみになっている(古い皮脂汚れが堆積している)
- 黄ばみが起きている(酸化による変色が始まっている)
- カビによるシミがある(カビくさい等のカビ症状が見られる)
- 汚れが付いてから時間が経っている(繊維に定着している)
- ワイン等の色素が多いシミ(繊維が染まっている)
「家では洗えない半衿だった」「ガンコな汚れで家で落ちなそう」「そもそも半衿を外すのが面倒」といった場合には、早めに専門店に相談をしましょう。
着物専門の店で洗うことが大切
着物の半衿は、一般的な洋服に比べてとてもデリケートです。洋服クリーニングのお店だと「半衿のみはNG」だったり、無理に洗っても半衿の型崩れ・縮み等を起こしてしまうリスクがあります。
半衿をクリーニングに出す場合には、悉皆屋(しっかいや:着物のお手入れを幅広く扱う専門業者)や、着物専門のクリーニング店に依頼することをおすすめします。
半衿を外さなくて良いお店もある
悉皆屋や着物クリーニング店によっては、半衿を外さず、長襦袢と一緒にクリーニングしてくれるところもあります。あらかじめお店に確認しておくと良いですよ。
おわりに
着物の衿元からチラッと見える半衿は、相手からは意外と注目されているものです。半衿が汚れていたり黄ばんでいたりしては、せっかくの装いも台無しになってしまいます。
また半衿のお手入れは、汚れをためないうちに行うことが大切。あまりにも汚れを溜めすぎてしまうと、専門店でも対処ができなくなってしまうこともあります。自分で洗う場合も、クリーニングに出す場合も、早め早めに対処しましょう。