たとう紙の選び方は?4つのポイントで失敗無し!
「たとう紙」とは、着物を包んで保管する紙のことを言います。たとう紙にはチリやホコリ等から着物を守るだけでなく、余分な湿気を吸い取ってカビ等から守るための役割もあるんですよ。そのためタトウ紙はずっと同じものを使い続けるのではなく、定期的に新しいものに交換することが大切なんです。
タトウ紙は着物を扱う専門店のほか、最近ではインターネットでも気軽に購入することができるようになりました。でも新しいタトウ紙を買う時、「たとう紙の種類が多くてよくわからない」「失敗しないタトウ紙の選び方は?」と悩んでしまっていませんか?
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たとう紙の素材を選ぶ
「たとう紙」はその名の通り紙から作られています。昔はタトウ紙の素材と言えば「和紙」だけだったのですが、最近では様々な紙が使われるようになりました。それぞれのメリット・デメリットを観ていきましょう。
手漉き和紙・伝統的な和紙
楮(こうぞ)や三叉(みつまた)、雁皮等、天然の植物を溶かして漉いた、日本の伝統的な製法で作られている和紙製品です。
吸湿性に優れており、防カビ対策としては非常に良いものと言えます。適度な凹凸(おうとつ、でこぼこ)があるので、中で着物が滑りにくく、寄りシワ等ができにくいのも魅力的です。
また美しい色合いや加工を施し、見た目にも良いものが多いです。高級店の着物もほぼこのような高品質のタトウ紙に包まれて販売されています。ただ手漉き和紙は原材料も貴重ですし制作に手間がかかるので、1枚あたりの料金はかなり高くなります。
化学繊維を使った和紙
日本の伝統的な楮等の素材に、化学繊維やパルプ材、輸入の麻などを加えて作られた和紙によるタトウ紙です。伝統的な製法のものに比べると大量生産ができるので価格が下がり、手軽に使える点が大きなメリットとなっています。
和紙らしい柔らかさと凹凸感はあるので、着物との摩擦ダメージや防シワ効果等はある程度期待できます。ただ吸湿性等は純粋和紙に比べれば劣るので、除湿剤等の対策は必要です。
中性紙(洋紙)
和紙に比べると洋紙のタトウ紙は安いです。また中性紙は洋紙の中では比較的長持ちしやすい(酸化・変質しにくい)のが魅力となっています。
ただ通気性も和紙に比べれば格段に劣ります。一緒にシート型の除湿剤を入れる、適度に虫干しをするといった対策は必要です。
クラフト紙・パルプ紙(洋紙)
クラフト紙やパルプ紙は一般的な洋紙の素材に古紙・再生紙等を加えて作られています。とても丈夫で、一般的な洋紙に比べてリーズナブルなのが魅力です。
一般的なクリーニング店のタトウ紙ですと、クラフト紙(再生紙)を使用したタトウ紙が使われていることが多いです。しかし通気性という点はほぼ期待できません。長期保管には向かないと考えた方が良いでしょう。また織りによっては滑りやすいものも多いので注意が必要です。
たとう紙のサイズを選ぶ
たとう紙にはサイズがありますので、入れる着物・帯等のサイズに合わせて紙を選びましょう。
二つ折り用:長さ約83センチ
もっとも一般的なサイズのタトウ紙です。女性用の着物を本畳みする際、二つに折った長さを想定して作られています。一番ポピュラーなので、素材や柄等も豊富です。
大型サイズ、特大サイズ:長さ約87センチ
一般的な着物に比べて丈の長い着物を想定したタトウ紙です。「二つ折り特大」「二つ折り大型」等と呼ばれることもあります。近年では背が高い女性が増えたので、そのような方向けの女性用着物等をしまうのにも向いています。
三つ折り用、羽織用:長さ約64センチ
一般的な女性用着物を本畳みする際、三つに折りたたんだ長さを想定しています。コンパクトに保管ができるのがメリットです。また羽織等を入れるのにも適したサイズとなっています。
三つ折り小サイズ:長さ約55センチ
七五三・宮参り等のお子様向けの着物を入れるのに向いています。また長襦袢等をしまうのにも便利。その他、袋帯等の小物いれとして使う方もいます。
四つ折りサイズ:長さ約48センチ
女性用着物を本畳みする際、四つに折った長さを想定した小さいタトウ紙です。基本的に「携帯用」とされています。長期保管には向いていません。小ぶりなので、名古屋帯を入れたり、帯揚げ等の小物類を保管するのには適しています。
たとう紙の価格で選ぶ
たとう紙は定期的に交換をしていく「消耗品」です。そのためタトウ紙のランニングコストが気になるという人も多いことでしょう。たとう紙の主な価格帯についても解説していきます。
100円~200円前後のタトウ紙
ほぼパルプ紙・クラフト紙のタトウ紙となります。長期保管には向かないので、半年ごとの虫干しのたびに取り替えると行った「使い捨て」のやり方がベストです。
どんどん新しいものにしていく、頻繁に虫干しをする人ならば安いタトウ紙でも十分でしょう。
500円~800円前後のタトウ紙
中性紙等の高級洋紙が使われていることが多いです。クラフト紙・パルプ紙に比べれば品質が良いですが、長期保管にはやはり不向き。1年~2年のペースで取替をした方が良いでしょう。
1,000円~1,800円前後のタトウ紙
和紙製品になると1枚1,000円以上となることは避けられないでしょう。品質にもよりますが、洋紙に比べると長持ちするので、3年位は連続して使用ができるものが多いです。
3,000円~4,000円以上のタトウ紙
手漉き和紙等の高級品だと、加工によってはこれ以上の価格になることもあります。一級品の着物を入れるのに向いたタトウ紙です。とは言えこれも吸湿力は永遠ではありませんので、状態を見ながら5年程度を目安に取替をすることをおすすめします。
なおタトウ紙はまとめ買いをした方が割安になることが多いですが、あまりたくさん買って「余らせる」のは厳禁!紙は保管をしている間にも劣化してしまいます。ご自分の所持している着物の枚数を見ながらタトウ紙を購入するようにしましょう。
たとう紙を目的で選ぶ
入れる着物や目的に合わせてタトウ紙を選ぶのも手です。
普段着の着物をしまう
頻繁に着る普段着の着物、カジュアルな街着等であれば、リーズナブルなタトウ紙でも対応できることでしょう。シーズン終わりの時、衣替えの際にタトウ紙を交換する習慣をつけるのが良いですね。
礼装用着物をしまう
留袖・振袖・喪服着物等、フォーマル用の着物は正絹(シルク)でできていることがほとんど。カビや虫害からしっかり守ることが大切です。また登場回数が少ないので、それだけ湿気を溜め込みやすい傾向があります。
できれば和紙のタトウ紙できちんと保管をした方が良いでしょう。
子どもや知人に着物を受け渡す
最近では娘様やお孫様はもちろん、知り合いの方等に若い頃の着物を譲る方も増えています。でも着物はせっかく良いものなのに、包装紙であるタトウ紙が変色していたり古いままでは残念ですよね。
どなたかに着物を譲る場合等には、美しい加工をほどこした和紙タトウ紙に入れ直した方がお相手も喜ばれることでしょう。
おわりに
「たとう紙」は着物を保管するだけでなく、ショップバッグや包装紙としての側面も持っています。そのため「たとう紙」と一口に言っても、その価格帯や素材は幅が広いです。
どのような着物を入れるか?頻繁に取り替えられるか?誰かにあげるのか?等等、目的なご自身の着物スタイルに合わせて、ピッタリと来るタトウ紙を選んでくださいね。
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