着物のハギレを活用したい!よくある質問を解説します
着物のハギレを使った小物やアクセサリーなどの人気は、近年の着物ブームの再燃によってますます高まっています。当店『京都きもの創夢』でも店舗で着物ハギレ販売を行なっていますが、特に若いお客様が着物ハギレをたくさん購入されることが増えました。「私も着物のハギレでハンドメイドしてみたい!」と思っている人も多いのではないでしょうか。
でも「着物のハギレって、単なる和柄の布とは違うの?」「どうやって着物ハギレを活用すれば良い?」などなど、初めての着物のハギレの扱い方に戸惑う人も少なくないようです。
着物のハギレは一般的な布とは違う?特徴は?
「着物のハギレって単に和柄の小さな布じゃないんですか?」といった質問を寄せられることも増えました。そもそも着物のハギレとは何か?ということですね。
現在の「洋服のハギレ」というと、個人でハンドメイドをしている人が余った布をハギレとして活用していたり、布地屋さんが売れ残った布を細かく裁断してから「ハギレ」として再販売していることが多いです。これに対して着物のハギレは、「着物を仕立てた時に出る余布」のことをハギレとして扱っています。
着物は基本的にオーダーメイドなので、それぞれのお客さまの身長や身幅に合わせてお仕立てをします。サイズに合わせて布を断つので、着物を仕立てれば必ず「ハギレ」ができる…というわけです。昔はこのようなハギレは着物と一緒に手元に残し、自分で活用される方が多かったですが、最近ではハギレは手放す人が増えました。そのため、「ハギレが欲しい」という方のために、ハギレ販売を行う店舗も登場しています。
着物のハギレと一般的な洋服向けの生地のハギレの違いとしては、次のような点が挙げられます。
絹などの高品質な素材が主流
着物の素材には様々なものがありますが、振袖や留袖などの礼装用着物の多くは正絹(しょうけん)というシルク100パーセントの布で作られています。単にシルクであるというだけでなく、メンテナンスをすれば数十年も着られることができるほどの上質な素材です。木綿・麻などの素材も同様で、着物の素材は「長く着ること」を前提にして織られています。
言うなれば最高級のドレスのために作られた布の一部、それが着物のハギレなのです。ハギレであっても、その品質の高さは変わりません。手触りが優しいのはもちろん、品の良い光沢感、年を追うごとに出る味わいなどの上質さを楽しむことができます。
柄が無いハギレも多い
「着物のハギレ=和柄」と思われやすいのですが、実際には無地のハギレもたくさんあります。例えば「色無地」という柄の無い着物からできたハギレはその全てが無地です。また、振袖や留袖などのハギレでも、カット部分によっては柄が出ないため、無地になることも。意外と無地を好んで使われるハンドメイド好きさんも多いです。
厚みのあるハギレもある
着物のハギレだけでなく「帯」もハギレが出ます。そのため着物ハギレを扱うお店では、帯ハギレも売っていることが多いです。帯のハギレは厚みがあり、しっかりとしているのが特徴。帯のハギレを使い、自立するバッグなどを作ることもできます。
着物のハギレはどこで買えますか?
洋服のハギレに比べると、着物のハギレはどんなお店で売っているのかがわかりにくい、というご質問を受けることも多いです。確かにハギレのみをメインで売るお店はほとんど無いので、お店探しが難しいですよね。どんなお店でも確実に売っているわけでは無いのですが、次のようなお店で着物ハギレ探しをしてみてはいかがでしょうか。
アンティーク着物ショップ
大正ロマン、昭和レトロ人気などを受けてアンティーク着物を販売するお店が増えましたね。アンティーク着物や中古着物を専門にハギレ販売するお店では、同じくアンティークの着物ハギレを扱っていることが多いです。
なおアンティークのハギレについては、経年劣化によって布地が脆くなっていることも多いので、その点には十分にご注意を。また、状態の良くない中古着物を扱っているお店だと、ハギレがカビや虫食いの温床となっていることもあります。
売れないようなシミだらけの着物をバラして、シミの無い部分だけをハギレとして販売するようなお店もあるのです。信頼できるお店を選ぶことが大切と言えそうです。
呉服店
最近では新品の着物を扱う呉服店(着物販売店)でも、着物ハギレを取り扱うお店が増えています。「着物文化から離れていた人にも気軽にお店を訪れてみてほしい」という気持ちもあるのかもしれませんね。ただ、一般的な呉服店の場合、ハギレ在庫はそこまで豊富では無いことが多いです。
悉皆屋(しっかいや)
悉皆屋(しっかいや)とは、着物のクリーニングやサイズ変更などのお直し、染め直しなど、様々な着物のリペア・リメイクを一手に引き受ける「着物直しの専門店」のことを言います。着物のお仕立ての職人さん、お直しの職人さんなど着物製作業との繋がりが厚いため、着物のハギレなども多数取り扱うお店も多いです。
当店『京都きものサロン創夢』も、着物のシミ抜きやカビ取り、お仕立て直しなど、様々な着物のご相談を受け付けている悉皆屋です。オンラインでは着物のクリーニングやお直しなどのご相談を受け付けていますが、実店舗では在庫数10,000以上の豊富なきものハギレをご用意しています。
着物のハギレはどんな風に活用できる?
人気の着物ハギレですが、「どうやって活用したらいいかピンと来ない」という人もまだ多い様子。着物ハギレを使ったハンドメイドアイテムのアイデアをご紹介します。
着物に合うサブバッグやマイバッグ
着物のオシャレを楽しみたい時、「和装バッグに荷物が入りきらない」と困ったこと、ありませんか?最近では大きめの和装バッグも登場しているとは言うものの、見た目と容量と価格のすべてを満たす和装バッグってなかなか見つからないですよね。
かといって風呂敷だと持ちにくい…そんな時には着物のハギレでサブバッグを作ってみるのがおすすめです。マチのあるタイプなら容量もしっかり入るので、荷物が多い日にもピッタリ。もちろん気軽なマイバッグ風に作ることもできます。
帯のハギレを使ったバッグなら自立もしますし、洋装にも合うトートバッグ風に作るのも便利。アイデア次第で、様々なタイプのバッグを作ることができます。
着物ハギレで小物ポーチやがま口ポーチ
上質な着物のハギレで作られたポーチ類は、ちょっと取り出した時にも見た目が良いものです。シンプルに巾着風に作ることもできますが、ファスナーやがま口を付けて本格的なポーチにするのも人気。最近ではポーチ作りのためのキットもお安く手に入れられるので、ハンドメイドに挑戦したい方にはおすすめのアイテムです。
また手頃な大きさのポーチは、ちょっとした贈り物等にもピッタリ。スマホのバッテリー入れ等、相手に合わせた小物入れを作ってあげるのも素敵ですね。
着物ハギレでボタン・バッヂ
着物ハギレと「くるみボタンキット」や「バッヂキット」を組み合わせて、オリジナルのくるみボタンやブローチを作ってみませんか?シンプルなくるみボタンやバッヂは、着物のハギレの質感がよく映えます。
洋服やバッグ等に付けて楽しむのはもちろん、ゴム紐を通して髪留め・髪飾りなどにしても。和洋折衷の新しいハンドメイドを楽しめます。
着物ハギレでアクセサリー
最近の若い女性にも人気なのが、着物ハギレで作るアクセサリーです。マスコット風に縫ったハギレをピアスにしたり、細く割いたハギレを編んでネックレスにしたり、ヘアバンドを作ったり……「こんな新しい雰囲気になるのか」と驚かれる方も多いですよ。
着物ハギレで作るアクセサリーは軽いので肩が頭が疲れにくく、シニア世代の方にも人気があります。こちらも現在ではアクセサリー制作キットが豊富なので、一度ネットで探してみてはいかがでしょうか。
着物ハギレでインテリアパネル
着物ハギレの活用で作れるのは、ファッションアイテムだけではありません。例えば額装をして布を飾ったり、最近ではお気に入りの布でインテリアパネルを作る若い方も増えています。
北欧モダンな雰囲気に和の布をひとさじ加えてみたり、メンズライクなインテリアに藍染のハギレをプラスしてみたり…上質な着物のハギレは、お部屋全体の雰囲気アップにも役立ってくれます。
着物ハギレで人形&人形の服作り
伝統的な着物ハギレの活用方として根強い人気があるのが、吊るし雛等の人形作りです。裏地のハギレなどの柔らかく光沢感のあるハギレは、素朴でかわいらしいひな人形作りにもピッタリ。また最近では、ご自分のお気に入りのお人形やぬいぐるみのお洋服や着物作りのために、着物ハギレを活用する若い方も増えています。
見本織・見本裂とは?ハギレとの違いは?
着物ハギレ活用の上級者になってくると、「見本織・見本裂」を探す方も増えてきます。キレイに柄の入っている見本裂を見て「あれはどこで売ってるんだろう」と不思議に思っている人も多いかもしれませんね。
見本織・見本裂とは、職人さんが「お試し制作」をした布です。カンタンに言えばサンプルのようなもので本番の布ではないのですが、質感も柄の良さも実に良いものがたくさんあります。
ハギレは上でも説明したとおり、着物を仕立てた「あまりの布」です。ですから一番良いところの柄がキレイに出るわけではないですよね。でも見本織や見本裂であれば、留袖や訪問着の「ここだ!」という美しい柄行が出た布をお手軽に手に入れられるのです。
見本織・見本裂は珍しいものですし、どこでも売っているというわけではありませんが、当店『京都きもの創夢』では見本織も取り扱っています。「もっと素敵な柄入り布がほしい」と思った時には、ぜひお立ち寄りくださいね。
着物のハギレを保管する時に注意点はある?
着物のハギレ、すぐに活用しないでしばらくは手元において、何を作るか考えよう…という人も多いはず。着物のハギレを保管する時には、次のような店に注意が必要です。
直射日光を避ける
着物のハギレなどの布地は、紫外線による褪色(ヤケ)を起こしやすいです。机の上などにおいておいたハギレが、いつの間にか部分的に色が変わっている…せっかく買ってきたハギレがこんなことになったら、悲しいですよね。ハギレの保管は、直射日光を避けるようにしましょう。
ビニール袋保管はNG
ハギレをまとめて保管する時、何に入れていますか?「わかりやすいから」という理由で透明のビニール袋やジッパー袋等に入れている人も居るようですが、これはあまりおすすめができません。
ビニール・ナイロンなどの袋は極端に通気性が悪く、湿気を溜め込みやすいからです。
正絹などの着物ハギレは、カビなどのトラブルが起きやすい傾向があります。湿気のこもった場所でビニール袋にいれておくと、せっかくのハギレがカビだらけ…といったトラブルになる可能性も大。ハギレはカゴや桐箱等の通気性の良い箱や、不織布でできた保存袋、または缶に入れて防湿剤を入れるといった方法で保管するのがおすすめです。
また、いわゆるアンティーク着物のハギレ(極端に古い着物のハギレ)については、他の着物ハギレとは別に保存した方が無難。繊維の奥にカビなどのトラブルの温床があった場合、他のハギレに被害が広がるのを防げます。
ちなみに当店『京都きものサロン創夢』で取り扱っている着物のハギレは、一部の骨董品価値を持つ物を除いては、すべてが新品で状態の良いハギレです。取り扱いやすく、安心してご利用いただけますよ。
防虫剤・防湿剤を入れる
ハギレを長期保管する場合には、保管する箱や袋に防湿剤や防虫剤を入れるようにしましょう。シルクやウールは、カツオブシムシ等の布を食べる幼虫が好んで食べる素材です。
「さあ着物のハギレで小物を作ろう!」と袋をあけたら虫食いだらけ…こんなトラブルが起きないように、しっかり防虫剤などを入れて、定期的に交換しましょうね。
おわりに
今回は着物ハギレの活用術や保管の注意点などについて解説しましたが、「着物ハギレを使ったハンドメイドに興味はあるけど、手が不器用で…」という人ももしかしたら居るのでは?と思い、最後にご案内をします。『京都きものサロン創夢』では、ご希望のハギレを使ったトートバッグや草履の鼻緒などの制作を代行するサービスも受付中です。
どんな風に着物ハギレを組み合わせて良いか迷った時には、店舗スタッフがご相談に乗りますので、どんどん質問してみてくださいね。京都きもの創夢では、礼装用着物から藍染、紬など、様々な着物ハギレを10,000点以上も販売しています。きっとあなたが探している着物ハギレが見つかるはず。京都方面へお越しの際には、ぜひ当店にお立ち寄りください!