七五三着物のアフターケアは?保管は?失敗しない5つのポイント
お子様の健やかな成長を祝う七五三は、無事にお済みになりましたか?「準備も色々大変だったし、すこし休みたい…」と思うご両親も多いことでしょう。でもちょっと待ってください!七五三で着た着物のアフターケアはきちんと済んでいるでしょうか?
七五三着物を着たままにしておいたり、アフターケアが不十分だと、保管している間に「カビ」や「変色」といったトラブルが起きてしまいます。
七五三の肩上げはすぐに外す方が良い?
- 3歳女の子向けの着物
- 5歳男の向けの着物
- 5歳男の子向けの羽織
- 7歳女の子向けの着物
七五三でお召しになった着物や羽織の肩の部分を外側に重ねて縫ってありますよね。これが「肩上げ」です。
「肩上げ」とは、元々は子どもの着物のサイズ調整のために行う実用的なものでした。しかし今では「肩上げをするほど小さな体が、肩上げ不要になるほど大きく成長するように」という願いを込めた装飾的なものとなっています。ですから喩えサイズがほとんどピッタリの着物でも、七五三では肩上げをするのです。
さてこの肩上げ、七五三で着たあとにはどうしたらいいのでしょうか?
次の予定があるならそのままで
七五三着物の次の着用予定がすぐ先に決まっている場合には、肩上げはそのままでも大丈夫です。例えば11月の七五三に着物を着て、翌年のお正月にも晴れ着として着物を着る…このような場合であれば、肩上げはそのままで一時的に保管しておいても構いません。
着る予定が無いならすぐに外す
七五三着物を着る予定が無かったり、半年~一年以上も先の場合には、すぐに肩上げは外しておきましょう。
長い時間を肩上げしたままだとその部分にクセがついて取れなくなります。また湿気が溜まりやすいので、カビ等の温床にもなりやすいです。
また一年も経てばお子様のサイズ感がまったく変わってしまいますから、その時の体のサイズ感に合わせて改めて肩上げをした方が良いです。
着物に風を通しましょう
人間は着物を着ている間にも無意識にたくさんの汗をかいています。特にお子様は体温が高いので汗をかきやすいです。七五三の着物はその水分をしっかり吸い込んでいます。
水分をそのままにして七五三着物を畳んで保管すると、「カビ」や「変色シミ」等のトラブルが起きやすくなります。また湿ったところは虫も好きですから、虫食い等のトラブルが起きる可能性も。きちんと風を通して、着物の水分を飛ばしましょう。
【着物を陰干しする方法】
- 直射日光の当たらないベランダか庭、または室内を選びます。
- 着物や羽織類をハンガーにかけるか物干しにかけます。
- 半日~3日程度干して風をあてます。外の場合は夜は取り込みます。
室内干しの場合には、扇風機やエアコンで風を送りましょう。より湿気をキチンと取ることができます。
干しながら汚れを探しましょう
着物を干している間に、着用中に汚れがつかなかったかよく確認しておきましょう。
- 衿・胸元の食べこぼし
- 裾の泥ハネ
- 袖口の周辺
上のような場所には特に汚れが付きやすいです!また着物を脱がせたあとの湿り具合等も覚えておいてくださいね。
シミ・汚れを見つけたら?
七五三着物にシミや汚れを見つけたら、アフターケアはどのようにすればよいのでしょうか。
油溶性のシミ汚れの場合
- 付いたばかりの皮脂汚れ
- オリーブオイルのシミ
- 口紅汚れ 等
油に溶ける「油溶性のシミ」は、範囲が狭かったり付いて間もない場合であれば、ご自宅のお手入れで対応できることがあります。当店のブログでも油溶性シミの対処法を詳しくご紹介しているので、ご参照ください。
水溶性・混合性のシミ汚れの場合
- 汗でびっしょり濡れた汚れ
- 雨による水シミ
- ジュースのシミ
- 牛乳のシミ
- ドレッシングのシミ 等
水溶性のシミとは、水に溶けやすい水分の多いシミのこと。また混合性の汚れは、水と油の両方が混じっています。これらの汚れを落とすには「水洗い」をするしかありません。
七五三着物は原則「ご家庭での水洗い」ができない正絹やシルク婚の着物です。そのためご家庭では残念ながら対処ができません。早めに専門店に相談し、シミ抜きをしましょう。
不溶性汚れの場合
- マスカラのシミ
- ボールペンの汚れ
- サビの汚れ 等
不溶性の汚れは、金属や岩石の粒子等を含む、水にも油にも溶けない汚れです。こちらは大変特殊な汚れなので、ご家庭では対処できません。また一般的なクリーニング店(洋服向けのお店等)でも断られる可能性があります。
着物専門のクリーニング、シミ抜きができるお店を選び、相談されることをおすすめします。
汚れの原因がわからない場合
汚れの原因が不明の場合にはムリにご自宅でシミ抜きやアフターケアをなさらないでください。例えば油溶性汚れに濡れタオル等を使うとシミが広がったり、かえって水シミができてしまうことがあります。早めにお店に相談をしましょう。
長襦袢のお手入れも忘れずに
着物の中に着ている長襦袢は、着物よりもしっかり汚れています。七五三で着たあとには早めにアフターケアしておきましょう。
化繊・水洗い可の長襦袢
ポリエステル等の化学繊維の長襦袢や、一部のウォッシャブル繊維の長襦袢であれば、七五三に着用したあとにご自宅で洗濯等のアフターケアができます。
- 肩上げ等を外します。
- 縫い付けてある半衿を外します。
- 長襦袢を畳んで、洗濯用のネットにできるだけ平らに入れます。
- 中性タイプの洗濯洗剤を使って、洗濯機で「ソフト洗い(ドライ洗い)」をします。脱水はシワの原因になるので、30秒程度に抑えてください。
- 柔軟剤で仕上げてもOKですが、無香料タイプをおすすめします。(香料が多いと保管中に他の着物等に匂いが移ります)6.バスタオル2枚で長襦袢を挟み、残った水分を吸い取ります。
- 半乾き程度の状態でアイロンをかけます。しっかりと引っ張って、形を元に戻すようにします。(スチーマーはでは洗濯による縮みを引っ張って戻せないので使えません)
- 直射日光の当たらない風通しの良い場所で自然乾燥させます。
正絹・水洗い不可の長襦袢
正絹(シルク100%)やシルク混の長襦袢はとても縮みやすいので、ご自宅での洗濯はおすすめができません。クリーニング専門店でのお手入れをおすすめします。
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タトウ紙と保存袋でしっかり保管
着物を包むタトウ紙は、着物の湿気を吸収したり、虫等から守る役割も負っています。何枚も詰め込むと吸湿力が下がるので、きちんと着物や羽織は分けて包みましょう。
古いタトウ紙は交換を
昔の七五三着物を使った場合には、タトウ紙は新しく交換をしましょう。古い紙のままで保管すると、湿気が取り切れずカビ等が生えやすくなります。
除湿剤や除虫剤を忘れずに
着物用の除湿剤・除虫剤を入れて保管することも大切。定期的にお取替えもしましょう。小物類等も意外とカビや虫害に遭いやすいので、管理には注意してください。
長期保管には専用保存袋が便利
和ダンスでの保管ができない場合には、着物専用の保存袋が便利です。なお布が傷んでしまうので、吊るしての保管やハンガーにかけたままの保管はやめましょう。
年に2回は陰干しを
空気の乾燥した季節を選び、年に2回程度は上でも解説した陰干しをしましょう。保管中に溜め込んだ湿気を飛ばすことで、カビ・虫害等を防止します。
おわりに
七五三着物のアフターケアや保管方法の情報はお役に立ちましたか?「七五三着物を汚してしまった」「大事な七五三着物にシミができた…」こんなトラブルが起こった時には、どうぞ当店『きもの創夢』にお気軽にご相談ください。
当店『きもの創夢』は着物のお手入れ全般を扱う悉皆屋(しっかいや)です。一般的なクリーニング店では断られるような着物の汚れはもちろん、古いシミ等の対処のご相談等も受け付けています。