足袋のシミ・汚れはどう落とす?洗い方・干し方のコツ
着物を着る時に欠かせないのが足元を包む「足袋(たび)」です。足袋は全体が常に外気にさらされているので、泥汚れや雨汚れ等の汚れが付いてしまいがち。
また、足の皮膚から出る皮脂汚れなどもたくさん溜まるので、きちんと足袋のシミ抜き・お手入れをすることが大切です。
足袋を洗いましょう
一般的な白足袋(しろたび)は、ご自宅で洗ってお手入れすることができます。使用するたびにキチンと洗っておけば、キレイな状態を長く保つことができますよ。
準備するもの
- 中性タイプの洗濯用洗剤(エマール、アクロン等のおしゃれ着洗い用のもの)
- 洗濯用の固形石鹸(ウタマロ石鹸等)
- 洗濯用ブラシまたはシューズ洗濯用ブラシ(100均でも購入可能。小さめのものが使いやすい)
- バスタオル
※綿・麻等の足袋は洗濯をすると縮み型崩れをするので、その後の「アイロンがけ」のプロセスがとても大切です。この後に解説する「2.アイロンがけ」「3.伸ばして干す」の項目まですべて読んでから、作業の準備を始めましょう。
※ここでご案内する「洗える足袋」とは、白等の薄色の足袋で、なおかつプレーンな生地の素材のものを意味します。レース足袋等の特殊な足袋は洗えない場合がありますのでご注意ください。
洗い方の手順
- 洗面ボウルや洗面器等に30℃程度のぬるま湯を入れ、中性洗剤を適量溶かします。
- 足袋を全体的に漬けて、12時間程度浸け置きにしておきます。
- 足袋は内側から洗っていきます。ブラシに固形石鹸を少量付けて、足首の裏側等を軽くこすって洗います。
- 今度は外側を洗います。足袋に手を入れてふくらませましょう。汚れが気になる部分に石鹸をつけて、ブラシで軽くこすっていきます。指の間等は汚れが溜まりやすいので、とくに丁寧に。
- ぬるま湯でよくすすぎます。
- バスタオルで挟んで、ポンポンと軽く叩き、水分を吸い取ります。(型崩れ防止のため、洗濯機での脱水は避けます)
※一晩浸け置き洗いをすることで、汚れが溜まりやすい足袋の裏の部分の汚れをしっかりと浮かせます。浸け置き洗いを省略してしまうと、後から黄ばみや匂い等が目立ちやすくなりますのでご注意ください。
アイロンをかけましょう
洗った足袋は生地が縮んで、洗濯前より小さくなってしまっています。またどうしても型崩れも起こりがちです。洗ったら干す前にすぐにアイロンをしっかりかけて、生地を元の状態に伸ばしましょう。
※一部の化繊の足袋(普段使い用の足袋等)は、アイロン不要の場合もあります。しかしフォーマル用・礼装用足袋等はアイロン掛けが必要です。足袋製品の使用説明書や洗濯表示等をよく確認しましょう。
準備するもの
- アイロン
- アイロン台
アイロンをかける手順
- アイロンは素材に合わせた温度に設定しておきます。足袋は洗って脱水した状態で始めます。
- アイロン台のへりを使って、履いた状態で内側になる方を出しておきます。足の甲の部分からかけ糸に向かってアイロンを回すようにしながらアイロンをかけていきます。
- 足袋を裏返しにして、底のヘリの部分にアイロンをかけていきます。反対側の手で少しずつ足袋を回転させるようにしながら動かしていくのがポイントです。
- 足袋を表に戻して、かかとから親指に向かってアイロンをかけます。
- 足袋を反対向きにして、4本の指が入る方にアイロンをかけます。
- 足袋の内側を手前に向けて、足首側の方までしっかりとアイロンをかけます。シワになりやすいので注意。
- アイロン台の角に沿わせるようにして、コハゼがある部分に外側からアイロンをあてて仕上げます。
※完全に自然乾燥させてからだと生地が縮みきってしまい、元に戻せなくなってしまいます。アイロンは脱水後または半乾きのうちに必ず行ってください。
しっかり伸ばして干しましょう
アイロンをかけたら後は自然乾燥をさせますが、この時にも型くずれを防止することが大切です。
準備するもの
- 洗濯はさみまたはピンチハンガー
足袋を干す前の手順
- 足袋の底の両端を持って横に引っ張るようにして伸ばします。
- 足袋の底のつま先・かかとの部分を持って縦に引っ張ります。
- 足の甲の縫い目の両端を持って、引っ張って伸ばします。
- 足首部分を引っ張ってよく伸ばします。
- シワが無いか全体をチェックします。気になる点がある場合は、乾かす前に再度アイロン掛けを行っておきます。
- 内側に手を入れて、形を整えてます。
- コハゼを止める糸の部分を挟んで、足袋を吊るします。(布の部分を挟まなしこと)
- 直射日光があたらない風通しの良い場所でしっかりと自然乾燥させます。
※シワがよったまま足袋を干すと、シワが取れなくなってしまい、着用時にもとても目立ちます。どこかにシワがあったり型崩れがある場合には、干す前にかならず形を整えましょう。
足袋の汚れが落ちない時の漂白・シミ抜き方法は?
足袋の汚れが落ちきらない、黄ばみ等の汚れが気になる…このような時には、液体タイプの酸素系漂白剤を使って漂白を行います。
用意するもの
- 酸素系漂白剤(液体タイプ)
- ラップまたは蓋
※金属(コハゼ)による変色を避けるため、粉末タイプの酸素系漂白剤や塩素系漂白剤の使用はできません。
シミ抜き・漂白の手順
- 洗面器・洗面ボウル等に35℃~40℃前後のお湯を入れます。
- 酸素系漂白剤の使用説明書に従って、適量をお湯に溶かします。
- 作った漂白液に、足袋を全体的に漬けます。
- ラップまたは蓋を使って洗面器を密封し、お湯の温度が下がるのを防ぎます。
- 30分~60分程度浸け置きにしておきます。
- 上の「1.」の洗い方で、もう一度洗濯を行います。
家では落とせない汚れもあります
次のような足袋の汚れ・シミは、ご家庭では落とすことができません。
- 時間が経過したシミ:汚れが付いてから時間が経って繊維に定着しています
- 色素が多いシミ:ワイン、ぶどうジュース、一部の紅茶等。繊維が染まってしまっています
- 黄変、黄ばみ:汗やタンパク質汚れ等が時間をかけて酸化し、変色シミになっています
- カビによるシミ:青カビ・黒カビの他、白カビによるオレンジ~茶色のシミもあります。カビ菌は家庭では除去できません
- インクのシミ、マスカラのシミ:不溶性の汚れは家では分解・除去ができません
上のようなシミに無理に漂白等を繰り返すと、足袋の生地が傷んでしまったり、激しい型崩れ等が起きる原因になります。早めに専門店に相談しましょう。
足袋のお手入れが不安な時・汚れが落ちない時は
- 家にアイロンが無い
- 足袋のアイロンがけがうまくできない
- 足袋を縮ませるのが不安
- 色足袋やレース足袋等の特殊な足袋
- シミや黒ずみが落とせない
上のような場合には、足袋をクリーニングに出しましょう。クリーニング料金は400円~1,000円位です。
着物に強いお店を選ぶ
足袋をクリーニングに出す場合には、着物や浴衣等の和装を専門に扱うお店を選ぶのがおすすめです。洋服クリーニングの場合だと足袋が受付NGだったり、受付をしてくれてもアイロンがうまくかけられていないことがあります。
酷い汚れは「シミ抜き」をオーダー
シミ・汚れの種類によっては、全体的なクリーニングだけでは汚れが落ちきらないことがあります。酷い汚れの場合には、「シミ抜き」ができるお店を選びましょう。
おわりに
足袋のシミ・汚れを自分でキレイにするには、とにかく早く対処をすることが大切です。着物のお出かけをして帰ってきたら、すぐに足袋を浸け置き洗いをするのが理想的。遅くとも翌日までには足袋のお手入れをする習慣をつけましょう。