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車椅子でも着物を楽しむには?よくある疑問をプロが解説

車椅子でも着物を楽しむ

最近ではバリアフリー化の徹底によって、車椅子で外出を楽しむ方も増えましたね。「車椅子で着物のおしゃれを楽しみたい」というお声もよく聞くようになりました。当店『京都きものサロン創夢』でもそのようなお声を受けて、車椅子ユーザー専用の着物レンタルサービスを行っています。

しかしまだ「車椅子用着物のことがよくわからない」「普通の着物と何が違うの?」といったご質問をいただくことは多いです。

坂根克之
坂根克之
こんにちは。着物関係一筋50年 きものサロン創夢(そうむ) 坂根克之です。ここでは車椅子ユーザーの方からよくお受けする着物についての質問を、Q&A形式でプロが詳しく解説していきます。車椅子で着物おしゃれを楽しみたい方の参考になれば嬉しいです。

1.車椅子だと着物は難しいのですか?

症状によっても違うのですが、一般的な着物の場合、車椅子ユーザーの人には「着付けのための立位」ならびに着用中の「着崩れ」「帯」「トイレ」の4つが問題になりやすいです。

着付けの立位時間が長い

着物の着付けは、着る人がまっすぐに立った状態で行います。また一般的な着物は洋服のようにサッと着付けはできません。肌着、長襦袢、着物をそれぞれ紐で固定しつつ、最後に帯を結ぶ作業があります。そのため目安として、次の程度の時間は直立姿勢を保つ必要があるわけです。

【一般的な着物の着付け時間目安】

  • 小紋などの普段着、色無地など :30分前後
  • 留袖・訪問着など :30分~40分前後
  • 振袖:45分~70分前後(帯結びの形により変動が大きい)

途中休憩を挟むことも可能ではありますが、その分だけ着崩れは起きやすくなります。また着付けに時間がかかる分だけ、着付け料金が値上がりしやすいというのも問題のひとつです。

着崩れが起きやすい

女性向けの着物は筒のような形に胴を包み、それを紐でたくし上げて固定するような着付け方をしています。車椅子に座った状態だとお尻の部分が強く下に引っ張られるため、着崩れが起きやすいです。また「衣類が突っ張り、下方向に向かって引っ張られる不快感を覚えた」という方も大勢居ます。

帯で快適に座れない

着物では帯を胴に巻きつけてから、余った部分で背中側に帯結びを作ります。これが車椅子ユーザーの方には大きな問題となるわけです。いくら小さめの太鼓結びにしたとしても、洋服のときとは背中のボリューム感がまったく違ってしまいます。

いつものように車椅子に腰掛けることができないので不快感を覚えたり、浅く座ったことで疲労感を覚える人も。また帯結び等が背中にあたり、痛みを感じたという人もいます。

トイレが難しい

着物でトイレを済ませるには、立位体制になってから着物や長襦袢を順にめくりあげ、筒のようにすっぽりと持ち上げて固定させた上で便座に座る必要があります。

車椅子ユーザーに限らず着物に慣れない人にとってトイレは大きな難関なのですが、「立位状態で自分で裾をめくって固定する」という作業は、車椅子ユーザーにとっては特に負担が大きいと言わざるをえません。

【チェックポイント】

  • 立位で30分以上フラつきなく体勢維持ができるか?
  • 車椅子や椅子に自分で介助無く座れるか?
  • 座る際に服のゆとりを自分で引っ張って作れるか?
  • 浅い腰掛け方ができるか?痛みなどは起きないか?
  • 車椅子での移動時間・座っている時間は短いか?

一般的な着物を車椅子ユーザーが着用して問題ないかどうかの判断には、上記のような点が目安となります。ひとつでも不安点がある場合には、車椅子ユーザー向けの着物を視野に入れることをおすすめします。

2.車椅子ユーザー用の着物の違いや特長は?

車椅子ユーザー向けの着物は、着物の着付けや着用中の問題点を考え、車椅子ユーザーが快適に着られて、おしゃれも両立することを目的とした着物です。

仕様はメーカーや店舗によっても違うわけですが、当店『京都きものサロン創夢』が開発協力し、現在レンタル取扱をしている車椅子ユーザー向け着物には次の5つの特徴があります。

上下がセパレートになっている

車椅子用 着物は上下セパレート
『京都きものサロン創夢』で扱う車椅子用着物は、上下がセパレートになっています。そのため着用中に上に着物が引っ張られて裾が乱れたり、痛みや不快感などを覚えることがありません。動きやすく、快適に過ごせることを重視しているのです。

誰でもすぐに着付けができる

車椅子用着物 誰でもすぐに着付けができる
一般的な着物だと、着付けをするには専門的な知識と技術が必要です。「自分で着物を着られる」という人でも、人に着せるのは苦手という人も多いもの。そのため着付け師さんをわざわざ読んだり、着付けのために美容院等に行く必要がありました。

しかし『京都きものサロン創夢』の車椅子用着物は、初めての人でもカンタンに着付けをすることができます。ご家族の方はもちろん、病院や福祉施設のスタッフさんによる着付けもスピーディに行えるわけです。

座ったまま10分で着付けができる

車椅子着物 座ったまま10分で着付けができる
一般的な着物ではどうしても着付けに30分はかかります。まず「立ち続ける」が難しい車椅子ユーザーも多いですし、着付けのために多大な体力を消費してしまう点も問題でした。

しかし車椅子ユーザー専用着物であれば、車椅子に座ったまま、10分程度で着付けを行うことができます。楽しいイベントや大切なお祝い事の日に疲れを覚えることなく、着物おしゃれを楽しめるのが魅力です。

お尻部分がU字にカットされている

車椅子用着物 お尻部分をU字くり抜き
京都きものサロン創夢が開発協力した車椅子ユーザー専用着物は、おしりの部分がU字にくり抜かれているのも大きなポイントです。こうすることで着用中の快適度が上がるだけでなく、トイレをスムーズに安心して済ませることができるようになりました。

帯結びが付け外しできる

車椅子用着物 帯結びが付け外しできる
車椅子ユーザー向け着物では、帯を結ばずに巻くだけで固定できるため、帯結び部分のわずらわしさを気にする必要がありません。また当店『きものサロン創夢』開発協力の着物では、振袖用などには華やかな作り帯型の帯結びを用意。

後ろではなく前側にも付けられるデザインをご用意しています。車椅子に座ったままで、美しい帯結びを楽しんでいただけるのです。

作り帯の帯結び部分は、カンタンに取り外しが行なえます。例えば食事中などには前の帯結び部分を外し、快適に過ごすことも可能です。

3.車椅子用着物も色々あるけど選ぶポイントは?

障害者団体マルチスイッチの代表・木村寛子さん障害者団体マルチスイッチの代表・木村寛子さん

車椅子用着物を出すメーカー・店舗も増えたので迷うと思いますが「車椅子ユーザーの視点が入っていること」「着物会社がキチンと関わっていること」の2点はチェックした方が良いでしょう。

車椅子ユーザーの開発や協力があるものを

車椅子ユーザー向け着物が増える中で、良いものの見分け方に困っている人も多いのではないでしょうか。まず最初の目安として、車椅子ユーザーの声がキチンと開発に届いているものかどうか、この点は確認すべきです。

ちなみに当店『京都きものサロン創夢』の取り扱う車椅子専用着物は、障害者団体マルチスイッチの代表・木村寛子さんによる発案のものです。木村さんはご自身も脳性麻痺による車椅子ユーザーであり、「障害の有無に関わらず、多くの人が着物を楽しめるように」という思いからこの製品開発を思い立ちました。

車椅子ユーザーならではの使い心地に対する厳しい目線、リアルな体験による製品チェック、そこから生まれた車椅子着物であるからこそ「本当に車椅子ユーザーに優しい着物」となるはず…と、技術協力をした当店は考えております。

着物関連企業の製品や技術提供がありますか?

車椅子ユーザー向け着物を選ぶ上で、ぜひ確認してほしいのが「作っているのがキチンとした着物関連の店なのか?」という点です。

最近では車椅子着物の人気を受け、様々なお店が「バリアフリー感のある着物」の制作を宣伝するようになりました。

しかし中には残念ながら「そもそも着物に詳しくない」というアパレル店が混じっているのも見受けられます。本物の着物地ではなく単なる和柄の布地を使った安い仕立ての服、仮装向け・舞台向けのような帯を「障害のある方向けに」と謳って貸し出しているのも現状なのです。

車椅子ユーザーの方が「着物を着たい!」と言うとき、それは成人式であったり、特別なお祝いの日であったり、晴れ着として着物を身につけたいと思うはず。そんな時には、やはり見た目も質感も高級感のある「本物の着物らしさ」を求める方が多いことでしょう。

呉服店や着物専門の店など、キチンと着物を扱うお店の「車椅子向け着物」であれば、生地や仕立てに間違いはありません。当店『京都きものサロン創夢』も着物加工・クリーニングなど着物のメンテナンス全般を扱う専門店です。

当店が技術協力をした車椅子向け着物は、高品質な生地から着物職人さん達がひとつひとつ手仕事で作り上げています。どんな場所にも堂々と着てゆける着物です。当店に限らず、ぜひ安心して任せられる「着物の店」を選ぶことをおすすめします。

4.車椅子用着物は見た目でバレませんか?

キチンとしたお店で作っている車椅子ユーザー向け着物なら、セパレート着物であるといったことは見た目にはわかりません。安心して車椅子向け着物をご利用ください。

実際のユーザーの着物写真をチェック!

車椅子用着物のサイトでは、その多くがモデルさんが着物を着て写真を撮っていますよね。見た目に美しく惹かれるところはあるのですが、モデルによる宣伝写真だけだと「実際に着てみるとどういう感じなんだろう」と不安になる方も多いのではないでしょうか。

確かにモデル着用の宣材写真だと、何もかもがキレイに加工されてしまっていて、実際のところがわかりにくいこともあります。ぜひ実際の車椅子ユーザーが着物を着用した写真をチェックして、その見た目感などを確認してみることをおすすめします。

ちなみに当店『京都きものサロン創夢』が技術協力した車椅子ユーザー向け着物は、様々なユーザーさんが着用されてメディアにも登場しています。滋賀県長浜市で着物姿の女性が集うイベント『長浜きもの大園遊会』で車椅子ユーザーが着物で参加し話題となったり、NHKのテレビ取材を受けて、さらに多くの方の目にも触れました。

ぜひ一度リアルな車椅子ユーザーさん達の着用例をご覧になって、「普通の着物に見える!」と驚いて欲しいところです。

5.車椅子用着物を借りる時の注意点はある?

車椅子ユーザー向けの着物を借りる時には「草履(ぞうり)」について、そして「着物の種類」や「クリーニング代」について事前確認しておくことをおすすめします。また早めの注文も大切です。

草履が辛い車椅子ユーザーも多い

車椅子用着物 鼻緒が無い草履
着物を着る時には、一般的には草履(ぞうり)という履物を合わせます。しかし草履の鼻緒(はなお)に足の指を通したことがなく不快感があったり、甲の高さが合わずに痛みを覚える人も少なくありません。

当店の車椅子ユーザー向け着物レンタルサービスでは、画像のような車椅子ユーザーの「足元」の問題を考え、鼻緒が無くラクに履けるタイプの草履もご用意しています。

しかし全てのレンタル店舗がこのような対応をしているわけではありません。事前に草履を買って鼻緒を拡げておくといった準備が必要となることもありますので、早めに検討しておきましょう。

着物の種類はTPOに合っている?

いくら素敵な車椅子向け着物でも、TPOに合っていなかったら台無しですよね。車椅子用レンタル着物店にどのような着物の種類があるのか、早めに確認を取っておきましょう。

ちなみに当店『京都きものサロン創夢』では、以下の4種類の着物をご用意しています。

  • 振袖:ミス向けの礼装着。成人式や結婚式などに。
  • 黒留袖:ミセス向けの正礼装。結婚式に。
  • 訪問着:結婚式や入学・七五三など、幅広いシーンに。
  • 色無地:ちょっとしたパーティーや観劇、入学式等に。

もちろん当店の車椅子着物は、すべて高品質の正絹で作られています。上質な着物は質感や見栄えが違いますし、ここぞ!という時のフォーマルシーンにピッタリです。着物の選び方等のご相談も受け付けているので、悩んだ時にはお気軽にご相談ください。

クリーニング料金はどうなっている?

車椅子ユーザー向け着物を借りる時には、クリーニング代がレンタル料金込みになっているのか、追加料金が発生するのかをよく確認しましょう。

追加料金発生型だと、レンタル料金は一見安くても、後からシワ・汚れ等の対処のために高いクリーニング代を請求されてしまう恐れがあります。基本使用の範囲内であればレンタル料金で対応可であると明記されているお店を選ぶことが大切です。

なお当店『京都きものサロン創夢』の車椅子着物レンタルサービスも、もちろん追加料金は発生しません。レンタル中にしわや汚れがついても、通常の使用範囲内であればそのままお繰り返していただいて大丈夫です。

レンタル着物は早めに注文を!

レンタル着物・レンタル振袖は早く借りる注文をすることが大切ーーというのは一般的にどこも同じなのですが、車椅子用では特に「スピード」が重要になります。そもそもレンタル可能な点数が少ないからです。

「着物を着たい」というイベントの日が決まったら、できるだけ早く問い合わせや申込みをしましょう。

車椅子着物を着た感想をいただきました

車椅子用着物 すごく楽しいですすごく楽しいです
車椅子用着物 新鮮な感じでうれしい着物を着てあるくことか無かったので新鮮な感じでうれしいです

おわりに

車椅子専用着物についてよくある疑問・質問を解説していきましたが、疑問点は解決できたでしょうか?ぜひ車椅子ユーザー向け着物で、着物おしゃれを目一杯楽しんでみましょう。

当店の車椅子着物レンタルサービスやお仕立てについては、以下の公式サイトでも詳しくご案内しています。ぜひ合わせてチェックしてみてください!

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