七五三の着物準備ガイド(肩上げ・腰上げ・縫い上げの縫い方と小物準備編)

お子様の健やかな成長を祝う七五三。お宮参りの時の初着や、ご両親が大切に保管していた着物を我が子に着せたいと考える方は多いはずです。
しかし、いざ準備を始めようとすると「サイズが合わない」「肩上げ・腰上げってどうやるの?」「小物はこれで足りている?」と、戸惑ってしまうことも少なくありません。

本記事では、ご自宅でもできる肩上げ・腰上げの縫い方から、年齢・性別ごとに必要な小物リストまでを分かりやすく解説します。この記事を読めば、自信を持って七五三当日を迎えられるはずですよ。
子ども着物の「縫い上げ」をしましょう
「縫い上げ」とは、お子様の成長に合わせて着物のサイズを調整する、和装独特の「サイズ直し」のことです。お宮参りの初着を七五三で着る場合や、お父様・お母様が大切にしていた着物を受け継ぐ場合など、今の体型にぴったり合わせてあげることで、着姿がぐんと美しくなります。
縫い上げは、親から子への「愛情のひと針」
「和裁の経験がないから難しそう…」と不安に思うかもしれません。でも、七五三の縫い上げ(肩上げ・腰上げ)は、一針ずつ丁寧に進めれば、ご家庭でも十分に行うことができます。
少し形が不揃いになっても、それはお子様の健やかな成長を願って一針ずつ縫い進めた「愛情の証」。当日、ぴったりのサイズの着物を着て嬉しそうに笑うお子様の姿を想像しながら、ぜひ挑戦してみてください。
自宅での「縫い上げ」ができる目安
一般的に、以下の作業であればご家庭での縫い上げが可能です。
- 肩上げ(裄丈の調整): 腕の長さに合わせます。
- 腰上げ(身丈の調整): 身長に合わせて着丈を決めます。
※お宮参りの着物(初着)を初めて七五三用にする場合など、袖の「袂(たもと)に丸みをつける」作業が必要なケースは難易度が高いため、無理をせず専門店へ相談するのが安心です。
準備する道具
作業を始める前に、以下のものを揃えておきましょう。
- 指抜き・針・糸(しつけ糸や手縫い糸)
- マチ針
- ものさし(またはメジャー)
- アイロン(折り目をつけるのに重宝します)
着物の肩上げの縫い方


1)着物の裄(ゆき)の長さを測ります。
「裄」とは、襟元の後中心(首の根元)から袖口までの長さです。
2)次にお子様の裄サイズを計測します。
お子様にまっすぐ立ってもらい、手を斜め45度に上げてもらって下さい。首の根元の中心部にグリグリっとした部分がありますので、この中心部から肩~手首までの長さを測ります。
3)1)で計測した着物サイズをA、お子様のサイズをBとします。
「A-B」で出た数値が、肩上げ寸法(肩上げをするサイズ)です。

4)着物の肩幅の半分(真ん中)の位置を肩上げ山とします。
後はは袖付け止まり(袖下側・身頃の接着点)から2センチ程の高さまでまっすぐに。
前側は袖側へ1センチ斜めに取りましょう。

5)肩上げ山から左右均等に、3)で出した肩上げ寸法の半分を摘み、マチ針で固定します。
後ろ側は3)で出した肩上げ寸法の半分よりも1センチ少なく固定します。

6)肩上げ山を袖側へと倒し、二目落としで縫っていきます。
表側が細かい目になるように縫いましょう。

腰上げの縫い方
1)着物の身丈(みたけ)を測ります。
身丈とは、襟元の後中心(首の根元)から裾までの長さです。

2)お子様の身丈を測ります。
お子様にまっすぐ立ってもらった状態で、首の根元の中心部(グリグリとした部分)から足首のくるぶし部分までを計測します。

3)1)で計測した着物サイズをA、お子様のサイズをBとします。
「A-B」で出た数値が、腰上寸法(C:腰上げをするサイズ)です。
4)上げ山の位置を決めます。
「着物の身丈(A)-腰上げ寸法(C)」で出した数値の「半分」が原則的な位置です。
しかし実際に羽織り、腰上げ山が帯の下に出るように調整をした方がバランスの良い仕上がりとなります。

5)腰上げ山から上下均等に、3)で出した腰上げ寸法Cの半分を摘み上げ、マチ針で固定します。
この時、下前(身頃右側)の衿端は1センチ分多く摘んで固定しましょう。
6)上げ山を下側に向かって倒し、二目落としで縫っていきます。
表側が細かい目になるように縫いましょう。
また上前(身頃左側)の衿端は、着た時に上になるように揃えて縫います。
七五三の準備ガイド:年齢・性別ごとの必要品リスト
年齢や性別によって、揃える小物は大きく異なります。当日「足りない!」と焦らないために、基本のセットから忘れがちな小物までチェックしましょう。
三歳女子:可愛らしい「被布(ひふ)スタイル」
三歳の女の子は、帯を結ばずに「被布」というベストのような上着を羽織るのが一般的です。締め付けが少なく、小さなお子様でも負担なく着用できます。
基本の衣裳セット
- 着物
- 三歳児に合わせて「身上げ(腰上げ・肩上げ)」を施したもの。
- 被布(ひふ)
- 着物の上に羽織る上着。
- 長襦袢(ながじゅばん)
- 着物の下に着る下着。
- 草履・バッグ
- お参り用の履物と小物入れ。
忘れがちな必須小物
- 足袋(たび)
- 履かせやすい「ストレッチ素材」がおすすめです。
- 腰ひも(2〜3本)
- 着物と長襦袢を固定するために必ず必要です。
- 髪飾り
- 被布に合わせて選ぶと、お顔まわりが華やかに。
あると便利なプラスアイテム
- 兵児帯(へこおび)
- 着崩れ防止になり、被布を脱いだ時も可愛く決まります。
- 肌着(肌襦袢)
- 汗取りや着崩れ防止に役立ちます。
七歳女子:大人顔負けの「帯スタイル」
七歳は「四つ身」という大きなサイズの着物を着て、大人と同じように帯を結びます。小物の種類がぐっと増えるため、事前のチェックが重要です。
基本の衣裳と帯
- 着物(四つ身)
- 華やかな絵羽模様の着物。
- 袋帯(または作り帯)
- 七歳用の帯。
- 長襦袢
- 刺繍衿(半衿)がついているとより華やかです。
和装小物(セットで揃えるもの)
- 帯揚げ・帯締め・しごき
- 帯周りを飾る三点セット。
- はこせこ・末広(扇子)
- 胸元に差し込む装飾品。
- 草履・バッグ
- 着物や帯に合わせた格式高いもの。
着付けを支える小物
- 足袋
- 七歳になるとコハゼ(爪金具)付きを選ぶ方も増えます。
- 腰ひも(3〜4本)
- 帯を結ぶため、三歳の時より多めに必要です。
- 伊達締め(2本)
- 衿元を安定させ、着崩れを防ぎます。
- 帯板・帯枕
- 帯の形をきれいに保つために使用します。
三歳・五歳男子:凛々しい「羽織袴スタイル」
男の子は、五歳(地域によっては三歳も)で羽織と袴を着用します。「袴セット」として販売・レンタルされていることが多いですが、中身の確認を忘れずに。
基本の衣裳
- 着物・羽織・長襦袢
- 勇ましい柄の羽織が主役です。
- 袴(はかま)
- 男の子らしい縞模様などが一般的。
袴セットに含まれる小物
- 角帯(かくおび)
- 袴を固定するための帯。
- 懐剣(かいけん)
- お守り: 袴の帯に差し込む装飾品。
- 羽織紐(はおりひも)
- 羽織の前を留める紐。
- 白扇(末広)・雪駄(せった)
- お祝い用の扇子と履物。
別途用意が必要なもの
- 足袋
- 男の子もストレッチタイプが動きやすくて安心です。
- 腰ひも(2本)
- 着物と袴の着付けに使用します。
- サスペンダー
- 袴がずり落ちてくるのを防ぐ、パパ・ママの強い味方です。
プロが教える「当日あると安心」な便利グッズ
- 履き慣れた靴
- 草履や雪駄で足が痛くなった時のために、スニーカーを持参しましょう。
- 大きめのクリップ
- トイレの際、長い袖や裾を留めておくのに非常に重宝します。
- 一口サイズのおやつ
- お子様の緊張をほぐすために。着物を汚さないラムネなどが最適です。
おわりに
お子様の健やかな成長を祝う七五三。慣れない「縫い上げ」や小物の準備は、少し大変に感じることもあるかもしれません。しかし、一針ずつ丁寧にお子様のサイズに合わせていくその時間は、きっと家族にとってかけがえのない思い出のひとコマになるはずです。
もし途中で「どうしても縫い方がわからない」「サイズが合っているか不安…」と迷ってしまったときは、どうぞお気軽に私たちプロにご相談ください。
大切なお着物を最高の状態で迎えるために
縫い上げの準備とあわせて、ぜひ一度お手持ちのお着物を広げてチェックしてみてください。「以前着た時のシミが残っている」「保管中にカビのような臭いがする」といったお悩みも、きものサロン創夢の技術で解決いたします。
最高にきれいな着物と、ぴったりなサイズ。
お子様の晴れの日が、ご家族全員にとって笑顔あふれる素晴らしい一日となりますよう、心より願っております。














