七五三は神社?お寺でやれる?選び方は?よくある質問を解説
秋に行う七五三は、日本の子どもたちに取って欠かすことができないイベントのひとつです。でも七五三は神社でやるのかお寺でやるのか、どちらが正解かご存知ですか?またどのように七五三詣りをする寺社を選べばよいのか、迷う人も多いのではないでしょうか。
身近なイベントほど、意外と基礎的なポイントを知らないままになっていることはあるものです。「あれ?」と思った時に、きちんと正しい知識を身に着けておきたいですね。
七五三は神社でやる?お寺ではやらない?
「七五三=神社」と思われがちですが、仏教寺院(お寺)でも七五三の参詣や読経を受け付けているところがあります。どちらが間違いというわけではありません。どちらも正解です。
「神社」と「寺院」の違い
まずは「神社」と「寺院(お寺)」について、カンタンにその違いを説明しますね。
神社とは
「神道(しんとう)」という日本独自の宗教の施設です。祀っているのは日本の神様。キリスト教等のように一神教ではなく、八百万(やおよろず)とも言われるほどたくさんの神様がおり、神社によって違う神様をお祀りしています。
入り口に独特の形状をした「鳥居」があり、神社によっては狛犬(こまいぬ)が両脇に並んでいることも多いもの。お参りの際には柏手(かしわで)を鳴らします。
寺院(お寺)とは
インド・中国から伝わってきた「仏教」の施設です。天台宗・日蓮宗・真言宗・浄土真宗等、日本では十三の宗派に枝分かれしています。本尊となっているのは、ブッダやそれぞれの宗派の開祖、観音像等さまざまです。
神社には鳥居がありますが、寺院にはありません。そのかわり出入り口には山門(さんもん)と呼ばれる門が置かれたり、本堂の他にブッダの骨をおさめたと言われる「塔」があったりします。お参りの際には柏手等は鳴らしません。
七五三の歴史
七五三は元々、それぞれの土地を守る神様である「産土神(うぶすなかみ)」に子どもが無事に育っていることを報告し、今後のさらなる健やかな成長を祈るための祭事として始まりました。
お子様が生まれて小さな時に「お宮参り(おみやまいり)」をなさった方も多いことでしょう。あれが土地神様への「顔見世」であるとすれば、七五三は「あの時に顔見世した子どもが三歳(五歳、七歳)になりました」と報告しに行くお祝いの場というわけです。
神仏混交の日本では七五三ができる寺も多い
産土神(うぶすながみ)や土地神は、日本独自の神道から生まれた神様です。とすると七五三=神道の神社で行うものなのでは?となりそうですが、そうとは言い切れません。
というのも日本では奈良時代に仏教が伝来して以来、仏教と神道が混じり合い「神仏混交」という形で浸透をしていくことも多かったのです。例えば寺院の敷地内に神社があるところも多いですし、地元のお寺が神社と同じようなお祭りや祭事を行うところもあります。そのため寺院の中にも「七五三」に対応するところがたくさんあるのですね。
どこの寺社でも七五三の祈祷ができる?
七五三の「お詣り」だけであれば、どこの寺社でも自由に行うことができます。しかし「祈祷」をお願いする場合には、あらかじめ対応の有無を確認し、予約をして初穂料等を支払う必要があります。
「お詣り」と「祈祷」の違い
まずは「お詣り」と「祈祷」の違いを知っておきましょう。
お詣りとは
神社(またはお寺)に行って、本堂前等で自分自身で祈るのが「お詣り」です。宗派によって多少違いはありますが、鐘を鳴らしたり拍手(かしわで)を打ってから本堂前にある賽銭箱等にお金を入れて、お祈りをします。初詣等で神社に行く場合と同じですね。
祈祷とは
祈祷とは、神社の神主様やお寺のお坊様と依頼主達が一緒になって神様や仏様にお祈りを捧げる儀式です。祈祷の場合には、定められた時間に神社や寺院の「本堂」の内側に入り、御祭神やご本尊に近い場所に座ります。
神主(禰宜)は祝詞(のりと)という神様に何かを伝える時に使う古体の文章を使い、依頼主のお子様が三歳(五歳・七歳)になったことを御祭神に報告し、今後の一層の成長を祈ります。
とてもカンタンに言えば、「祈祷」は神様・仏様へのお願いをプロに仲介してもらう…といったところでしょうか。祈祷の方がより本格的な神様仏様へのご報告であり、「お詣り」はより簡易的な「挨拶」であるとも言えます。
祈祷の対応は寺社により異なる
七五三のために寺社に「お詣り」をするだけであれば、特に対応の有無を気にする必要はありません。お詣りは誰でもできますし、日時等についても規定が無いからです。
時間帯についても特に規制はなく、概ね明け方頃から日が暮れる前頃まで(山門等が開いている時間ならば)いつでもお詣りすることができます。
しかし「七五三の祈祷をしたい」となると、当日に行けば好きな時にやってもらえるわけではありません。まずは希望する寺社で七五三の祈祷ができるかを確認を。近年では神社でも神主様の高齢化等によって七五三祈祷ができないというところも増えています。
次に七五三の祈祷の予約を取ります。人気のある神社だと、11月周辺の週末はすぐに予約がいっぱいになってしまうことも多いもの。予約は早めに行うことが大切です。
なお七五三の祈祷には、初穂料という御礼のお金を支払います。七五三の初穂料がいくらになるかは神社によっても違いますので、先に確認をしておくと良いでしょう。
神社の選び方のポイントは?
七五三でお詣りや祈祷を依頼する神社を選ぶのに、特に決まりはありません。しかし「地元や縁のある神様か」「施設の設備」といった点を考慮に入れるのがおすすめです。
地元の神社や縁の有る神社を
上でも軽く解説しましたが、七五三は元々「産土神」「氏神」というその土地の神様にお参りをして、子どもの健やかな成長を願う催しとして始まりました。
日々の暮らしを過ごし、成長していく中で地元の神様に見守ってもらう…七五三には、そのような意味合いも含まれてるわけです。ですから七五三をご家族で暮らす地元の神様であったり、お父様やお母様がお生まれになった土地等のなんらかの「縁(ゆかり)」がある神社を選ぶのがおすすめと言えます。
まったく縁の無い神仏に「七五三の時だけ」お祈りをするよりも、お宮参り、三歳の七五三祝、そして五歳(七歳)の七五三祝…と同じ神様に繰り返し「元気に過ごせています、これからもどうぞお願いします」とお祈りをした方が効果がありそうに思えませんか?
施設の設備もポイント
上の項目で、七五三ではお詣りだけで済ませるご家族と、祈祷も依頼するご家族が居ることは解説しましたね。「お詣りだけで済ませる」ということであれば、神社の設備には特に気を使わなくても良いでしょう。滞在時間も比較的短いですし、その場での着替えではなくご自宅から着物を着てくる方がほとんどだからです。
しかし「祈祷」となると少々話が変わってきます。滞在時間も長くなりますし、場合によっては遠方から神社まで行くということもあるでしょう。そうなると、次のような施設がきちんとあるのか?という点も重要になります。
- 駐車場
- トイレ
- 待機室の有無
- 着替えの場所があるか 等
上のような設備の有無は神社とその規模によってまちまちです。事前によく確認をしておきましょう。
おわりに
最近では七五三の際に着物を着て撮影はするけれど、神社でのお詣りはしない…という方もいらっしゃるようです。もちろんそれがいけない!というわけではないのですが、七五三は元々「これからも元気で大きくなって欲しい」と神様や仏様にお願いするもの。縁起物という意味でも、できればお詣りだけでもしていただいた方が気持ちよく過ごせそうですね。
ご自宅や撮影スタジオの近隣にも、意外と神社があるかもしれませんよ。お子様の成長を祈る大切なイベント。良い神社をしっかり選びましょう。