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七五三の着物の柄に込められた「意味」や「願い」を知りましょう

七五三の着物の柄 鷹

秋になったら忘れてはいけない行事に「七五三」がありますね。七五三にお子様が着る着物には様々な柄行がありますが、現在でも多くの方が古典柄(昔ながらの柄行)を選ぶ傾向が見られます。これには「七五三」という行事と関連し、着物の柄に多くの意味と願いが込められているからなんです。

七五三とは、お子様の健やかな成長を願う行事。昔も今も、ご家族はお子様に様々な夢や願いを込めてきました。

坂根克之
坂根克之
こんにちは。着物関係一筋50年 京都きものサロン創夢(そうむ) 坂根克之です。ここでは意外と知らない「七五三の着物の柄の意味」や柄の選び方について、詳しく解説をしていきます。

鶴(つる)の文様は、おめでたい柄である吉祥文様(きっしょうーもんよう)の代表格のひとつです。「鶴は千年」という言葉、聞いたことがありますか?鶴は古来より「神様の鳥」とされ、千年以上も生きる長寿の鳥とされてきました。

鶴の柄にはその長寿にあやかり、子どもに元気で長生きをして欲しいという思いが込められています。また純白の羽や飛ぶ姿・立ち姿の美しさや上品さも人気の理由となっているようです。

亀甲

亀甲(きっこう)とは、亀の甲羅(かめのこうら)を模した伝統的な文様のこと。六角形のような形をしています。上で「鶴は千年」と言いましたが、これに対応する言葉が「亀は万年」。つまり一万年も生きるような長寿の動物とされてきたわけです。

亀甲文様は飛鳥時代頃には中国から伝わり、長寿と繁栄を願う柄として好まれてきました。また亀の甲羅を使った亀甲占いは貴族だけができるものだったので、その「貴族らしさ(上流階級らしさ)」も亀甲文様が後に人気となった理由とされているようです。

兜(かぶと)は武将が戦時に頭にかぶった武具です。かつて日本を群雄割拠した勇壮な武将達にあやかり、強く勇ましい雰囲気の武具の柄は特に男の子の七五三の着物で好まれる柄となっています。

中でも大きな飾りのついた兜は軍を率いる「将」がかぶるものでしたから、人を束ねる強さ、才のある人となる願い、「剛健」「大成」などの思いが強く込められていると言えます。特に龍頭(りゅうず)という龍の飾りが付いた兜は、古来より龍が神に近い動物であり、縁起の良い飾りであるとして高い人気を誇ります。

軍配

軍配(ぐんばい)も、兜と同じくらい人気のある勇壮な柄行きです。武将がかつて戦の際に兵達の動きを指し示したものであり、強いリーダーシップ、統率力等の象徴とも言えるアイテムです。また「決断をする」という意味合いも強いため、人生の節目で正しい道を選び、自らにとって良き道を自分で決められる人になってほしいという願いも込められています。

松竹梅

松竹梅(しょうちくばい)とは、松・竹・梅を組み合わせた柄行のこと。こちらも鶴亀模様に負けず劣らず有名な吉祥文様(おめでたい柄)です。松は冬でも枯れることがなく常に美しい緑を保つため「長寿繁栄」を、竹は成長が早く折れにくいため「健やかな成長と生命」を、そして梅はどの花より早く春に咲き、良い香りをさせることから「喜びや気高さ」を象徴する植物として好まれてきました。

ちなみに現在では「松竹梅」というと松が一番上で梅が下のように扱われがちですが、これは間違い。元々は松竹梅はいずれも同じレベルの「ありがたい柄」なんですよ。

四君子(蘭・竹・菊・梅)

四君子(しくんし)とは、蘭・竹・菊・梅を組み合わせた柄行きのこと。もともと「君子」とは古代中国語で得と礼儀を得た素晴らしい人のことを意味し、4つの植物はそれぞれ君子のようであることから名付けられました。

蘭のほのかな香りや気品の高さ、竹のまっすぐで青々とした生命力、菊の寒さに負けぬ鮮やかさ、梅の雪を割って咲くような強さ。蘭が春・竹が夏、秋が菊、冬が梅をあらわすことから、四季のいずれにも使える柄である点も好まれています。

橘(たちばな)は源氏物語等にも登場する日本で古来から好まれる花です。初夏にかわいらしい花をつけるミカン科の常緑低木ですが、実は「不老不死の理想郷に生える木である」とされ、長寿の印として長いこと好まれてきました。

吉祥文様の多くは古代中国から伝わってきたものなのですが、橘は日本で生まれた柄というのも珍しいポイント。花の文様だけでなく、果実をつけた橘の木を文様化するのが一般的で「子孫繁栄」の意味も持っています。

牡丹

牡丹(ぼたん)は古代中国でも珍重されたきた高貴な花。その華やかな見た目から「百花の王」とも呼ばれてきました。また丁寧な手入れによって貴族等の庭に咲き誇る花であることから「富有」の象徴ともされており、「豊かで鮮やかな人生を送ってほしい」といった願いが込められています。

宝尽くし

宝尽くし(たからづくし)とは、吉祥文様ばかりを集めたとてもおめでたい柄のこと。降れば背が伸びたり欲しい物が手に入るという「打ち出の小槌(うちでのこづち)」や、平安時代にとても貴重なスパイスで薬でもあった「丁字」、お金を入れる袋である金嚢(きんのう)等、貴重でありがたい「お宝」がたくさん集められた柄です。
なお「宝尽くし」にどんなモチーフが入るのかは、地方によっても微妙に異なります。しかしいずれも吉祥文様(とてもおめだたく有り難い柄)であるということには変わりはありません。

檜扇・貝桶・几帳・牛車

檜扇(ひおうぎ)・貝桶(かいおけ)・几帳(きちょう)・牛車(ぎっしゃ)とは、いずれも平安時代に貴族達が使ってきた道具やインテリアです。王朝(王様達)がお使いになる道具を描いたものなので「王朝趣味」「王朝文様」等とも呼ばれます。

いずれも宮中で檜扇や几帳を典雅に使っていた貴族のように、子どもが繁栄し、雅やかな人生を送れるようにといった心が込められています。檜扇はヒノキの板で作った扇で、とても良い香りのする道具。扇は末広がりなので、さらに長寿繁栄といった意味も込められます。

檜扇や貝桶は見た目にも女の子らしいかわいらしさがあり、四季を通じて着られる柄というのも人気の秘訣となっているようです。

桜(さくら)は梅に続いて春を告げる花であり、「物事の始まり」「縁起の良いことの始まり」を表す花であると言われています。春が始まるように明るい日々が開けることを祈った柄行というわけですね。

なお、写実的な細かな柄行ですとより強く「春」をイメージさせます。そのため七五三等の幅広いシーズンに身につける着物には、より抽象化・デザイン化させた桜文様が好まれやすいです。

また地域によっては、桜は「早く散る」ことから、あまり七五三の着物の文様としては好まれないこともあります。

鷹(たか)は目が良く遥か遠くまでを見渡し、素早く獲物を見つけて捉える鳥です。その勇猛さから武将達にも好まれ、愛されてきました。鷹の柄の着物には、武将由来の勇壮さとともに、本質を見極める目と幸運やチャンスを逃さない人生であるようにといった願いが込められています。

おわりに

七五三の着物の柄に込められた意味や願いは、いずれも「長生き」や「豊かで実り多い人生であること」「良いご縁があること」等、子どもの幸福を願うものばかりです。今も昔も、子どもに良い人生が待っていることを親は願ったのですね。

着物の柄で優劣が決まるわけではありませんが、やはり柄行というのは気にあるところ。七五三の着物選びの際には、ぜひこのような「柄の意味」も知った上で大切な一枚を決めましょう。

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