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着物クリーニングの失敗例5選|後悔しない「信頼できる店」の選び方をプロが解説

着物クリーニングの失敗

「せっかく出したクリーニングなのに、シミが残ったまま帰ってきた…」「大切にしていた着物の風合いが変わってしまったらどうしよう」そんな経験や不安をお持ちではありませんか?

着物は、持ち主さまの思い出がぎゅっと詰まった大切な宝物。だからこそ、預ける先を選ぶのは、とても勇気がいることですよね。

実は、着物のクリーニングには、洋服とは全く違う「専門の知識」と「熟練の手仕事」が欠かせません。残念ながら、今のクリーニング業界では、着物の繊細さを十分に理解しないまま引き受けてしまうケースも少なくないのが現実です。

「もうこのシミは諦めるしかないのかな?」そう思って悲しい気持ちになる前に、一度立ち止まってこの記事を読んでみてください。

坂根克之
坂根克之
こんにちは。着物関係一筋50年 きものサロン創夢(そうむ) 坂根克之です。

当店が「なぜクリーニングで失敗が起きてしまうのか」という理由から、「あなたの大切な着物を安心して託せるお店の見極め方」まで、心を込めてお話しさせていただきます。

失敗の原因を知ることは、着物を守るための「第一歩」になります。あなたの大切なお着物が、また晴れやかな姿で袖を通せるものになるよう、私たちが全力でお手伝いいたします。

着物クリーニング「格安店」と「専門店」の決定的違い着物クリーニング「格安店」と「専門店」の決定的違い

着物クリーニングの失敗例と原因

「クリーニング店に着物を出したら失敗した」という話には、実際にどのような失敗例があるのでしょうか。具体的な例と、考えられる原因を見ていきましょう。

【失敗1】食べこぼしなどの「シミ」が落ちていない

着物クリーニングの失敗談で最も多いのが、「高いお金を払って出したのに、シミが残ったまま帰ってきた」というケースです。

「せっかくプロにお願いしたのに、どうして?」とガッカリしてしまいますよね。実は、これには着物クリーニング特有の「仕組み」が関係しています。

原因:機械洗いの「丸洗い」だけでは、シミは落とせません
多くの方が誤解されがちなのですが、着物の基本メニューである「丸洗い」は、洋服でいうところのドライクリーニングです。石油系の溶剤を使って、着物を畳んだ状態で専用の機械に入れてぐるぐると洗います。

この方法は、皮脂汚れや排気ガスなどの「油性の汚れ」を落とすのには向いていますが、醤油、スープ、お酒といった「水性の食べこぼし」を落とす力はほとんどありません。

「シミ抜き無料!」と謳っている格安店でも、実際には機械で洗うだけで、職人が一点ずつシミと向き合う工程を省いているケースが少なくないのです。

⚠️ 失敗を防ぐワンポイントアドバイス

こう伝えれば防げた!(注文のコツ)

「丸洗いをお願いします」だけで終わらせず、「ここに食べこぼしのシミがあるので、見積もりを含めて個別の『シミ抜き』が必要か見てください」とはっきり伝えましょう。場所と原因(何がついたか)を伝えるだけで、お店側の対応は大きく変わります。

プロならこう対応する!(信頼の基準)

腕の良い専門店なら、検品の時点で「このシミは丸洗いだけでは落ちません。〇〇円ほど追加になりますが、シミ抜きをしますか?」と必ず事前に確認を入れます。何も説明がないまま引き受けるお店は、少し注意が必要です。

【失敗2】大切な刺繍や金箔などの「加工」が剥がれた

着物には、洋服にはない「刺繍(ししゅう)」や「金箔(きんぱく)」、「絞り(しぼり)」といった繊細な細工が施されています。

クリーニングから戻ってきたら「刺繍の糸がほつれていた」「キラキラしていた金箔が剥げて色あせてしまった」というのも、実はよくある失敗の一つです。

原因:お客様とのメニュー相談と検品が甘い
これらの特殊な加工は非常にデリケートです。古い着物の場合、経年劣化で金箔を留めている糊(のり)が弱くなっていたり、刺繍糸が細くなっていたりすることがあります。

知識のある専門店であれば、洗う前に「この箔は剥がれやすい状態か」「この刺繍は保護が必要か」を一点ずつ指先で確認します。しかし、スピード重視の格安店や着物専門ではないお店では、検品を簡略化して他の着物と一緒に強い溶剤で洗ってしまうため、大切な加工がダメージを受けてしまうのです。

⚠️ 失敗を防ぐワンポイントアドバイス

こう伝えれば防げた!(注文のコツ)

「古い着物で刺繍や金箔が弱っているかもしれないのですが、洗っても大丈夫ですか?」と、あえて不安な点を具体的に相談してみてください。この一言で、お店側も「慎重に扱わなければ」と身が引き締まります。

プロならこう対応する!(信頼の基準)

専門の職人は、金箔の状態を見て「そのまま洗うと剥がれる」と判断した場合、箔の部分を保護する処置をしたり、機械を使わず「完全手洗い」に切り替えるなどの柔軟な対応を提案してくれます。

【失敗3】古い汚れや「黄ばみ・変色」がそのままで帰ってきた

「何年も前に付けたシミが茶色くなっている」「タンスから出したら全体的に黄ばんでいた」そんな着物をクリーニングに出したのに、「これ以上は生地を傷めるので落ちません」というタグが付いて、そのまま帰ってきた…。

実は、着物クリーニングで最も技術の差が出るのが、この「古いシミ」への対応です。

原因:「黄変(おうへん)抜き」ができない・説明を省略している
時間が経って茶色や黄色に変色したシミは、汚れが酸化して生地自体の色が変わってしまった状態です。これを「黄変(おうへん)」と呼びます。

この状態になると、通常の「丸洗い」や「染み抜き」ではビクともしません。特殊な薬品で一度色を抜き、そこへ再び筆で色を乗せて周囲と馴染ませる「染色補正(色掛け)」という高度な職人技が必要になります。

一般的なクリーニング店や、自社に専門の職人がいないお店では、この「黄変抜き」という工程自体がメニューにないため、「落ちません」の一言で済まされてしまうのです。

⚠️ 失敗を防ぐワンポイントアドバイス

こう伝えれば防げた!(注文のコツ)

受付で「古いシミがあるのですが、『黄変抜き(おうへんぬき)』や『色掛け』まで対応可能ですか?」と聞いてみてください。この専門用語が出るだけで、お店側は「このお客様はよく知っている」と判断し、安易な返答ができなくなります。

プロならこう対応する!(信頼の基準)

熟練の職人は、シミの状態を見て「どこまで薄くなるか」「生地が耐えられるか」を正直に伝えます。もし生地が弱すぎて抜けない場合でも、「上から柄を描き足して隠す(柄足し)」といった、着物専門店ならではのリカバリー案を提案してくれます。

【失敗4】カビのニオイや黒いポツポツが消えていない

「タンスを開けたら着物がカビ臭かった」「白いポツポツとしたカビが生えてしまった」慌ててクリーニングに出したのに、戻ってきても「まだなんとなく臭う…」「黒いシミのようなものが残っている」といったトラブルも非常に多いケースです。

原因:カビ取りクリーニングが行われていない
カビのトラブルで最も知っておくべきことは、「カビは丸洗い(ドライクリーニング)だけでは死なない」ということです。

丸洗いに使う溶剤は、表面の白いカビを一時的に洗い流すことはできますが、繊維の奥深くに入り込んだ「カビ菌(胞子)」まで根絶することはできません。また、カビが進行して生地を腐食させた「黒カビのシミ」は、通常の染み抜きではビクともしないほど頑固です。

カビ専用の「殺菌洗浄(カビ取り)」という工程がないお店に出してしまうと、一時的に綺麗に見えても、数ヶ月後にはタンスの中で再びカビが繁殖してしまうのです。

⚠️ 失敗を防ぐワンポイントアドバイス

こう伝えれば防げた!(注文のコツ)

「カビっぽいので洗ってください」とだけ伝えると、通常の丸洗いだけで済まされる危険があります。「カビのニオイが気になるので、殺菌まで行う『カビ取りクリーニング』をお願いします」と、菌を死滅させる工程を希望していることをはっきり伝えましょう。

プロならこう対応する!(信頼の基準)

専門知識のある店なら、カビの状態を見て「裏地まで菌が回っていないか」をチェックします。また、カビ臭さを消すためのオゾン殺菌や、特殊な除菌液による丸洗いを提案し、再発のリスクを最小限に抑えるよう努めます。

【失敗5】「着たい日」までに仕上がりが間に合わなかった

「来月の結婚式に着るつもりで出したのに、まだ戻ってこない!」「急ぎでお願いしたのに、仕上がり予定日を過ぎても連絡がない…

着物クリーニングの失敗談として、意外と多いのがこのスケジュールのトラブルです。大切な予定に合わせて準備していたのに、直前で焦ってしまうのは本当に困りますよね。

原因:手仕事にこだわる店ほど、本来は納期がかかるもの
洋服のクリーニングなら「当日・翌日仕上げ」が当たり前ですが、着物の場合はそうはいきません。

特に「シミ抜き」や「カビ取り」など、職人が一点一点手作業で向き合う工程が含まれる場合、どうしても時間が必要になります。着物の生地を傷めないように、乾燥も自然乾燥に近い状態でゆっくりと行う必要があるからです。

納期トラブルが起きる原因の多くは、お店側が「職人の混み具合」や「シミの状態による作業時間の伸び」を正確に把握せず、安易に早い納期を約束してしまうことにあります。あるいは、下請け工場へ送るだけの取次店の場合、進捗状況が全くわからないというケースも少なくありません。

⚠️ 失敗を防ぐワンポイントアドバイス

こう伝えれば防げた!(注文のコツ)

「できるだけ早く」ではなく、「〇月〇日の〇〇(結婚式・お宮参り等)で使いたいのですが、間に合いますか?」とはっきり使用日を伝えましょう。もし納期が厳しい場合、誠実な店ならその場で「その日までは難しい」と正直に教えてくれます。

プロならこう対応する!(信頼の基準)

着物の状態を見て「このシミを落とすには3ヶ月かかる」といった正確な見通しを最初に伝えます。また、繁忙期(成人式や卒業式の前後など)の混雑状況を考慮し、余裕を持ったスケジュール提案をしてくれるのが本当の専門店です。

もう後悔しない!大切なお着物を安心して預けられる「店選び」8つのポイント

では着物クリーニングに失敗しないために、どのような点に気をつければよいのでしょうか。8つのポイントをご紹介していきます。

1.「洋服のついで」ではなく「着物専門店」であること

大切なお着物を守るなら、洋服メインのクリーニング店ではなく、「着物専門店」または「悉皆屋(しっかいや)」を選びましょう。

洋服メインの店舗は、着物を外部の業者へ「送るだけ」の窓口であることが多く、受付スタッフに専門知識がないケースが目立ちます。

専門店であれば、その場でお着物の状態(生地の弱りやシミの種類)を正しく見極め、適切な処置を判断できるからです。

2.「丸洗い」以外の細かいメニューが充実しているか

着物の汚れは、全体を洗う「丸洗い」だけでは決して落ちません。メニューの豊富さは、そのまま「対応できる技術の幅」を表しています。

なぜメニューの多さが大事なの?
着物には、食べこぼし、汗、カビ、古い変色など、さまざまなトラブルが起こります。「丸洗い」しかメニューがないお店は、汚れを薄く広げるだけで終わってしまうことも。「シミ抜き」「汗抜き」「カビ取り」「洗い張り」など、目的別のメニューが細かく分かれているお店を選びましょう。

3. シミ抜きが「一律無料」ではなく「見積もり制」か

一見お得に見える「シミ抜き無料」という言葉。ですが、実はここにも失敗の落とし穴が隠れています。

なぜ「見積もり制」が安心なの?
「無料」でできるシミ抜きには、どうしても作業時間に限界があります。落ちきらない汚れも「無料の範囲内ではここまでです」と、不完全な状態で戻ってきてしまう原因になります。
一方、見積もり制のお店は、そのシミを落とすために必要な手間と時間をプロが適正に判断している証拠です。

4. 職人による「黄変抜き」の技術があるか

時間が経って茶色く変色してしまったシミは、通常のクリーニングでは落ちません。これに対応できるのが「黄変(おうへん)抜き」という高度な専門技術です。

なぜ「黄変抜き」が重要なの?
古いシミは生地自体の色が変化しているため、特殊な薬品で色を抜き、筆で色を補う「染色補正」が必要です。この技術がないお店では「これ以上は無理です」と断られてしまいますが、腕の良い職人がいる店なら、他店で諦めたシミでも綺麗に修復できる可能性があります。

5. お直しや寸法直しまで相談できる「悉皆(しっかい)」の知識

着物を洗うだけでなく、仕立て直しや染め替えなど、着物のことなら何でも解決してくれるプロを「悉皆屋(しっかいや)」と呼びます。

なぜ「悉皆」の知識が大事なの?
着物は、クリーニングが必要なタイミングで「ほつれ」や「裏地の黄ばみ」「サイズの不一致」が見つかることが多いものです。

悉皆の知識があるお店なら、洗うついでに「ここの糸が弱っているから直しておきましょうか?」「身丈を少し伸ばせますよ」といった一歩先の提案をしてくれます。

6. リスクも含めて、事前に丁寧な説明があるか

良いお店ほど、クリーニングの「限界」や「リスク」をあいまいにせず、作業前にしっかり伝えてくれます。

なぜ「リスクの説明」が大事なの?
着物は一点ごとに状態が異なります。古い生地や繊細な加工は、洗うことで多少の風合い変化や、隠れていたダメージが表に出る可能性がゼロではありません。

メリットばかりを強調せず、「このシミはここまでしか落ちない可能性がある」「この加工は少し弱っている」と正直に伝えてくれるお店こそ、本当の意味で誠実といえます。

7. 「安さ」だけで選ばない(格安店に潜むリスク)

「着物クリーニング 〇〇円〜」という破格の安さには、必ず理由があります。価格だけで選ぶと、結局あとで高くつく可能性があるため注意が必要です。

なぜ「安さ」だけで選ぶと危険なの?
格安店の多くは、手間のかかる手作業を極限まで省き、大型機械で一斉に洗うことでコストを下げています。

その結果、「シミが全く落ちていない」「プレスが甘く着物の形が崩れた」「生地が傷んだ」といったトラブルが起きやすく、結局別の店でやり直すことになれば、余計な費用と時間がかかってしまいます。

8. 余裕を持って「早め」に相談する

「来週着るから、それまでに綺麗にして!」と慌てて出すのは、トラブルの元。良いお店を選ぶなら、納期に余裕を持った早めの相談が鉄則です。

なぜ「早め」が大事なの?
熟練の職人がいる専門店ほど、一つひとつの工程を丁寧に行うため、どうしても一定の期間が必要です。

無理な短納期で依頼すると、乾燥が不十分になったり、落とせるはずのシミ抜きを妥協せざるを得なくなったりします。また、余裕があれば、お店側も「もっと綺麗にするための提案」をじっくり行うことができます。

最後に:失敗したくないあなたへ「魔法の質問シート」

「いざお店に行くと、何を伝えたらいいか忘れてしまいそう…」そんな不安を解消するために、これだけ伝えればプロが状況を完璧に把握できる「魔法の質問シート」を用意しました。

以下の内容をコピーして、お問い合わせやご来店の際にお役立てください。

【着物クリーニング相談シート】

  1. 着物の種類:(例:訪問着、振袖、七五三の着物など)
  2. 一番の悩み:(例:食べこぼしのシミ、カビ臭い、全体的な黄ばみなど)
  3. シミの詳細:
    ・原因:(例:ワインをこぼした、ファンデーションがついた等)
    ・時期:(例:数日前、5年以上前など)
  4. 着用予定日:(例:〇月〇日の結婚式で着たい / しばらく着る予定なし)
  5. 他店での相談歴:(例:他店で断られたことがある / 初めて出す)

相談すること自体が「失敗しない」第一歩です
このシートの内容を伝えたとき、「このシミなら〇〇という方法で落とせますよ」「この時期までには仕上げますね」と、具体的で根拠のある回答をくれるお店なら、安心して大切なお着物を託せます。

もちろん、当店『きものサロン創夢』でもこのシートに沿ったご相談を大歓迎しています。
「こんな古いシミ、恥ずかしくて見せられない……」なんて思う必要はありません。職人にとって、古いシミや汚れは「やりがいのある挑戦」です。

大切なお着物を、もう一度美しく。まずはお気軽に、このシートを使ってあなたのお悩みを聞かせてください。

本場京都の職人品質。

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