振袖クリーニングの料金相場は?汚れ状態別4パターン解説
成人式やご友人の結婚式等で着る振袖。「着たことがある」という女性は多いですが、振袖のクリーニングの料金相場がいくら位かかるのかはご存知ですか?礼装である振袖はその多くが「正絹」というシルク100%で作られた高級着物であり、洋服類とはクリーニングにかかる料金相場も違ってきます。
また振袖の汚れの程度や、カビの有無、汗の付き方等によっても、やっておいた方が良いクリーニングのメニューは違うものです。
振袖全体をお手入れ→丸洗い8,000円~15,000円
まずは「着物丸洗い」の振袖クリーニング料金相場を見ていきます。
丸洗い(着物丸洗い)とは?
洋服のドライクリーニングに近い洗浄方法です。石油系の溶剤を使って、着物をほどかずに全体を機械で洗浄していきます。
振袖を丸洗いする場合とは?
- しばらく着る予定が無いのでクリーニングしておきたい
- 目立つシミや汚れは無い
- 振袖を借りたので洗って返したい
- 長くしまっていた振袖を出したのでサッパリさせたい 等
着物丸洗いが落とす汚れは、全体に付いたチリ・ホコリ等の汚れや、付いたばかりの軽い皮脂汚れ等です。「目立つような汚れは無いけれど、サッパリさせてから振袖をしまっておきたい」といった時に使います。
また、次に解説する「シミ抜き」等の部分的なお手入れと、全体のお手入れの丸洗いを組み合わせることも多いです。
振袖丸洗いクリーニングの料金相場は高め
振袖の丸洗いクリーニングの料金相場は、だいたい8,000円~15,000円位です。
振袖は高価で繊細な着物である上に、袖などが長く布地にボリューム感があります。そのため、一般的な袷の着物や小紋の普段着、訪問着等の着物に比べると、「振袖」の丸洗いクリーニングの料金相場は高めです。
飲み物や化粧品等のシミ→シミ抜き1ヶ所500円~800円
次に「振袖のシミ抜き」の料金相場を見ていきます。
シミ抜きとは?
振袖に付いた飲み物や食べ物、泥ハネ、水シミ等の汚れを取り除いていくことを言います。シミ抜きをするのは、着物のシミ抜き専門の職人さんです。シミの原因に合わせて溶剤や洗剤を変えながら、1ヶ所毎の汚れをていねいに除去していきます。
振袖をシミ抜きする場合とは?
- 振袖にファンデーションの汚れを付けた
- 振袖に口紅やグロスの汚れを付けた
- 食べこぼしのシミをつけた
- 飲み物をハネさせた
- 裾に泥ハネが付いてしまった
- 振袖に水がハネたらシミのようになった
- 振袖に目立つ皮脂汚れがある 等
振袖に「見てわかる汚れ・シミ」がある場合には、手作業でのシミ抜き(シミ取り)の作業が必要になると考えた方が良いでしょう。
シミ抜き料金は「大きさ」「原因」で変わる
振袖のシミ抜き料金相場は、直径1センチ位の大きさで1ヶ所あたり500円~800円位です。
なおシミ抜き料金は、シミの大きさによって段々高くなっていきます。シミの範囲が直径1~2センチ大きくなる毎に、数百円ずつ上がっていくと考えてください。
またシミの原因が「赤ワイン」等の色素が多く取り除きにくいものの場合だと、シミ抜き料金が上がることがあります。事前にお店で振袖の状態を見てもらって、見積もり(シミ抜きにいくらかかるかの予算)を出してもらいましょう。
カビくさい・カビが生えた→カビ取り12,000円~20,000円
続いて「カビ取り」の振袖クリーニング料金相場を見ていきます。
カビ取りクリーニングとは?
カビは一度生えてしまうと繊維に深く根を残し、何度でも繰り返し生えてきます。一度カビが発生してしまうと、ご家庭ではカビ除去ができません。またお店の「丸洗いクリーニング」でも落とし切ることができないのです。
そこで登場するのが、オゾン殺菌等を行って繊維の中のカビ菌も除去する「カビ取りクリーニング」です。振袖にカビ症状が見つかった場合に、このクリーニングが使われます。
振袖をカビ取りクリーニングする場合とは?
- 振袖がカビくさい
- 振袖に白いふわふわのカビが付いていた
- 振袖に青カビ・黒カビのシミがある 等
「カビくさいニオイ」がしたら、それはもう振袖にカビ菌が取り付いている証拠です。カビが外側に生えてくる前に、早いうちにカビ取りクリーニングをした方が安心です。
カビ取り料金相場は状態によって変わる
振袖のカビ取りクリーニングの料金相場は12,000円~20,000円前後です。
単に「カビ臭い」という程度であれば基本料金のみで済みますが、カビによるシミができている場合等には、別途シミ抜き料金が必要となることもあります。
古いシミや黄ばみがある→黄変抜き1ヶ所1,000円~
最後に振袖を「黄変抜き」する場合の料金相場を見ていきましょう。
黄変抜きとは?
「黄変(おうへん)」とは、汗等の汚れが酸化してできる黄ばみや、さらに状態が悪化して起こる薄茶色~茶色のシミのことを言います。とてもカンタンに言えば「古いシミ」です。
付いたばかりのシミなら「シミ汚れの原因」を取ればキレイになります。しかし酸化したシミ(黄変)は変色してしまっているので、強い漂白をしたり、染色補正をしてカバーするといった対策が必要になります。これを「黄変抜き」と言います。
振袖を黄変抜きする場合とは?
- 振袖に黄ばみや薄茶のシミがある
- 振袖がところどころ変色している
- 振袖を出したら原因不明のシミを見つけた 等
振袖の黄変は、汚れが付いてすぐに症状が出るものではありません。2~3年以上保管していた振袖、タンスに長年眠っていた振袖等が黄変しており、対策が必要となるケースがほとんどです。
黄変抜きの振袖料金相場は変動が大きい
振袖の黄変抜きの料金相場は直径1センチ1ヶ所あたりで1,000円~1500円前後ですが、これはあくまでも目安です。
上の「シミ抜き」と同様に、黄変の大きさ(直径1センチごと~2センチごと)に料金が上がっていきます。
また黄変の程度によっても料金が変わることが多いです。なお、黄変抜きができる職人さんは現在はとても少ないため、一般的なクリーニング店では「古いシミ(黄変)は取れない」と断られてしまうことがほとんどです。
古いシミ、酸化シミ、黄変を振袖に見つけた場合には、悉皆屋(しっかいや:着物のお手入れ全般を扱う専門店)等、着物の取り扱いに強いお店に相談しましょう。
おわりに
振袖クリーニングの料金相場について、状態別に4パターンをご紹介しました。一口に「振袖のクリーニング」といっても、振袖の汚れ方等で料金が大きく変わってしまうわけですね。
例えば振袖に目立つ汚れがほとんど無い場合には「丸洗い」の料金のみで済みますが、シミがいくつか付いている場合には、1ヶ所ごとにシミ抜き料金が発生します。ですから「料金相場どおり」に行くかどうかは、見積もりを取ってもらわないとわかりません。
なお、最近では「安い振袖クリーニング!」と言いながら、実際には「丸洗い」だけしかできず、食べこぼしや泥ハネ等の汚れが落とせていない状態でお客様の手元に振袖をお返しする粗悪な業者も居ることが問題になっています。いくら料金が安くても、振袖がキレイになっていないのでは意味がありませんよね。
振袖クリーニングの値段だけでなく「きちんとした職人がキレイにしてくれるのか」「状態に合わせた様々なお手入れができる業者なのか」をよく確認して、お手入れをご依頼なさることをおすすめします。