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着物の収納袋は使える?プロが教えるメリット・デメリットと失敗しない選び方

着物の収納袋
坂根克之
坂根克之
こんにちは。着物関係一筋50年 きものサロン創夢(そうむ) 坂根克之です。

着物の保管において、最も大切なのは「湿気」と「チリ・ホコリ」から守ることです。 手軽に使える「着物収納袋」は、現代の保管における強い味方ですが、実は「ただ入れるだけ」では不十分なケースもあります。

「市販の袋ならどれでも同じ?」「タトウ紙は入れたままでいいの?」といった疑問を解消するために、年間数多くの着物をケアするプロが、収納袋の正しい選び方と注意点をまとめました。この記事を読めば、あなたのライフスタイルに最適な保管方法が明確になります。

着物の収納袋とは

着物収納ケースアストロ 収納袋5枚付き

着物の収納袋とは、着物のサイズに合わせて作られている保管用の袋のことです。その多くは不織布(ふしょくふ)という、繊維を織らずにシート状にした布で作られています。不織布には様々な素材がありますが、着物の収納袋の場合だと、丈夫なポリプロピレン製の不織布等が用いられることが多いです。

収納袋は主に本畳をしてから二つ折りにしたサイズ、または三つ折りにしたサイズで着物を収納します。タトウ紙のまま入れられるタイプもありますが、タトウ紙なしで(タトウ紙の代用として)直接着物をしまえるタイプもあります。

着物の収納袋を使うメリット

ではまず、着物専用の収納袋を使うメリットから見ていきましょう。

チリ・ホコリから守ってくれる

チリ・ホコリから守ってくれる着物収納袋に使われている不織布は「織った布」ではない分だけ「織り目」が無く、細かいチリやホコリ等を通しにくいという利点があります。しまっている間に細かなチリが繊維に溜まってしまうリスクを防ぎ、キレイな状態で着物を保管し続けることができます。

通気性が良い

通気性が良い着物専用の収納袋は、一般的な不織布(ポリプロピレン製)で制作されているものの場合、比較的通気性が良いです。例えばプラスチックケース等だと湿気が繊維の中に溜まってしまいやすいですが、収納袋の場合には空気を逃しやすく、湿気対策が比較的取りやすい収納法であると言えます。

価格は比較的リーズナブル

価格は比較的リーズナブル着物専用の収納袋の価格は、1枚あたり500円~1,000円前後です。(高機能製品になると、1枚あたり2,000円~3,000円位になります。)「とても安い!」といえる価格ではないですが、例えば桐たんすや桐の衣装箱が数万円以上もすることを考えると、比較的リーズナブルと言える価格帯でしょう。

着物を持っている枚数が少ない人が、手軽に準備できる保管方法である点も魅力です。「とりあえず着物の収納袋から用意してみる」という人も多いことでしょう。

軽くて持ち運びやすい

軽くて持ち運びやすい着物の収納袋は不織布やポリエチレンフィルム等で作られていますので、本体はとても軽いです。着物を入れても、着物自体の重さとそこまで違いは出ないほどと言えるでしょう。

ご高齢の方等、重い荷物の持ち運びがしにくい方でも、着物の収納袋であれば比較的ラクに着物の衣替えや整頓等ができます。「軽さ」という面では、様々な着物の保管方法の中では一番と言えるのではないでしょうか。

高機能製品なら防虫・防カビ効果も

着物の収納袋の中には、不織布一枚の袋ではなく、抗菌剤や抗酸化フィルム、ガスバリアフィルム等の何層ものフィルムで作られた高機能な収納袋もあります。

このような高機能性の着物の収納袋ですと、一枚でカビ菌の発生や虫害の発生を防いでくれます。「防虫・防カビ・湿気対策」がキチンと付随している高機能タイプの着物収納袋であれば、あれこれと着物のトラブル対策をする必要はありません。とても手軽でラクに着物の保管ができます。

着物の収納袋を使うデメリット

様々な魅力のある着物の収納袋ですが、デメリットもあるのでしょうか。

収納力が弱い(収納枚数が少ない)

着物の収納袋の最大の問題点としては、収納力の弱さが挙げられます。着物の収納袋1枚が入れられるのは、基本的に着物1枚までです。つまり新しい着物を買って着物が増えたら、その都度、着物の収納袋を増やしていかなくてはならないわけです。

ちなみに1枚の収納袋に、ムリに何枚もの着物を詰め込むのはNG!着物が詰め込まれてシワになったり、通気性が悪くなってムレてしまい、カビ発生等の原因になります。

平らに設置しないとシワになる

着物の収納袋を使うデメリットとして、袋そのものには硬度が無いので、静かに平らに置いておく場所が必要という点も挙げられます。きちんとした広さがある場所に設置しないと、端が押されて着物がシワになってしまう…といったリスクも考えられるのです。

また収納袋を重ねて置くのにも限界があります。和ダンス等で引き出しがあり、その中に収納袋を重ねていくのなら、3~4枚程度は収納袋を重ねることもできるでしょう。しかしただ袋を重ねるだけだと、4枚程度でも山が崩れてきてしまうものもあります。

環境の湿気に左右されやすい

通気性が比較的良いのが魅力の不織布専用袋ですが、まわりの空気の状態に左右をされやすいのが欠点です。カンタンに言うと、「湿っているクローゼットの中に置いておいたら、その湿り気の影響は受けてしまいますよ」ということです。

これが例えば桐たんすや桐箱等であれば、表面の桐が水分をある程度吸ってくれて、内側に湿気が入り込まないようにして着物を守ってくれます。金属製の衣装箱だと更に防水性は強く、湿気はほとんど入り込みません。しかし不織布ですと、そこまでの防水性や湿気対策は見込めないというのが実際のところです。

虫害・カビ対策は別途必要

一般的な不織布タイプの着物保管袋(保存袋)の場合、防虫対策・防カビ対策は「別に行う必要がある」と考えておいた方がよいでしょう。袋の中に着物の防虫剤を入れる、シートタイプの湿気取りを入れておくといった対策を施すほか、保管袋を設置するクローゼットの中にも置型タイプの湿気取り(防湿剤)を置いて、湿気がこもらないようにすることが大切です。

安価すぎるものに注意

最近ではとても安い価格の着物保管袋が登場するようもなっています。コストをかけずに着物を保管できるのは魅力なのですが、あまりに激安な商品には注意しましょう。

不織布の品質が悪くて防塵効果が弱かったり、1年もしないうちに品質が劣化して、破けてくるといった粗悪な品もあります。

高機能製品は高価格

防虫対策から防カビ対策までしっかり行えます!というタイプの高機能な着物専用保管袋があることは上でも解説しましたね。このタイプはとても便利なのですが、いかんせん一枚あたりの価格が高いのが問題です。

価格はまちまちですが、一枚あたり安くても2,000円~3,000円位はします。何枚も着物をお持ちの方だと、高機能タイプの着物専用袋を用意するのはちょっとむずかしい…という場合もあるかもしれません。「大切な留袖等は高機能タイプにして、普段遣いの着物はリーズナブルな保存袋を」といった使いわけをするのも手ですね。

究極の着物保管方法「無酸素パック」

無酸素パック着物の無酸素パックとは、特殊なフィルムと脱酸素剤を使用して、保管袋の中を酸素ゼロの状態にする長期保管サービスです。その主な特徴は以下の通りです。

  • カビ・虫食いを完全にシャットアウト: 酸素をなくすことで、カビ菌の増殖や害虫の活動を抑え、大切な着物を守ります。
  • 変色(酸化)を防ぐ: 生地が空気に触れないため、時間が経つにつれて発生する黄変(黄ばみ)や色あせといった劣化を最小限に留めます。
  • 虫干しなどの手間が不要: 一度パックすれば数年間の保管が可能で、面倒な定期的なお手入れが必要なくなります。
  • 場所を選ばずコンパクトに収納: 湿気や外気の影響を受けにくいため、桐たんすがなくてもクローゼットや押し入れで安心して保管できます。

振袖や喪服など、次に着るまで数年以上あく可能性がある着物の保管に最適な方法です。

着物をプロレベルで保管

おわりに

着物専用の収納袋は、その手軽さやコンパクトさから人気となり、様々な種類が出回るようになりました。インターネット(Amazon・楽天市場等のショッピングモール)でも多種多様な着物専用収納袋が購入できますので、一度、製品の比較をしてみるのもおすすめです。

中にはウォークインクローゼットの中にメタルラック等を置いて、そこに着物専用袋を重ねる方式で着物をしまっている人も居るのだとか。ご自分のライフスタイルに合わせた使い方ができるのも、着物専用袋の魅力のひとつかもしれませんね。

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