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カビの対処方法

着物や袴のカビ対策は?よくある質問をプロが解説!

袴

「着物や袴を保管している間にカビが生えてしまった」これは湿気の多い日本ではとても多いトラブルの一つです。完全にカビが生えていなくても、着物や袴からカビ臭いニオイがしていたら、既にカビ菌が発生している可能性が非常に高くなります。

坂根克之
坂根克之
こんにちは。着物関係一筋50年 きものサロン創夢(そうむ) 坂根克之です。

ここでは着物や袴にカビ症状が見られた場合の対策について、着物クリーニングのプロがよくある質問を解説していきます。

着物や袴のカビ、応急処置はできる?

着物や袴のカビ、応急処置はできる?着物や袴に生えたカビは、軽い白カビであればとりあえずの応急処置(見た目を目立たなくする処置)はできます。また、一時的にカビの匂いを軽くする応急処置もあります。黒カビ、青カビや、カビがシミになってしまっている場合には、残念ながら応急処置はできません。

着物・袴に生えた白カビの応急処置

フワッとした白カビは、布を軽く撫でたり、裏側から叩くことで表面部の症状を目立たなくさせることができます。ビロードなどの起毛の布を使って優しく撫でるのが理想的です。「裏側からトントンと叩く」→「表面を布で撫でる」を繰り返して、白カビを落としていきましょう。なお、カビ菌が空気中に舞い散るので、作業は屋外でやるか、換気をしながら行いましょう。

着物・袴のカビの匂いの応急処置

カビっぽい匂いは、着物や袴を干して空気にさらすことでかなり減らすことができます。繊維の中にこもっている空気を入れ替えることで、カビを含んだ匂いを飛ばしていくのです。直射日光に当てて干すと着物や袴が紫外線によるダメージを受けるので、日光は避けて、風通しの良い場所で干すことを繰り返しましょう。

カビの程度にもよりますが、1週間程度の陰干しを繰り返すと、カビの匂いはかなり抑えられます。ただしカビ菌が消えるわけではないので、匂いは何度でも再発します。着物を着用しイベントが済んだら、早めにカビ取りの処置を行うことが大切です。

着物は袴のカビ、水洗い等の自己処理で落ちる?

洗える着物や袴の場合、軽い白カビの表面的な症状が水洗いで目立たなくなることはあります。しかし、カビ菌自体がいなくなっているわけではないので、匂いやカビの症状は再発します。また青カビ・黒カビなどの症状をご家庭で目立たなくすることはできません。

水洗いでカビ菌は根絶しない

カビ菌は目に見える部分だけでなく、布全体のあらゆるところに根を伸ばしています。この菌の根は、水洗い等だけでは根絶することができません。中途半端に水洗いをして乾燥が甘いと、カビ菌の大好きな水分を与えたことになり、かえって症状を酷くさせてしまうこともあります。

家庭の殺菌処理だと色抜け・変色が起きる

カビ菌を根絶するには、ご家庭の場合、塩素系漂白剤を使わなくてはいけません。雑巾やふきんなどの白い雑布であれば、塩素系漂白剤を使ってカビ菌対策ができるわけです。

ところがこの塩素系漂白剤は、着物や袴の染料を破壊するほど強い漂白剤です。使った部分が全部、激しく色抜け(変色)しちゃうんですよね。そのため残念ながら、「ご家庭では着物や袴のカビ処理はできない」ということになります。

着物や袴のカビ、とにかくクリーニングに出せば良い?

カビが生えた着物や袴の場合、カビ菌を滅菌するための特殊な対応をしないといけません。「カビ取りクリーニング」または「洗い張り」など、カビ着物・袴むけの対応ができるコースを指定する必要があります。ちょっと面倒かもしれませんが、きちんと着物や袴のカビに対処できるお店を選んだ方が、クリーニング代の節約にもなりますよ。

丸洗い(ドライクリーニング)ではカビが消えない

着物や袴のクリーニングで一番ポピュラーなのは「丸洗い」という方法なのですが、残念ながらこの方法ではカビは取れません。「丸洗い」とはいわゆるドライクリーニングで、石油系の溶剤で全体を洗浄する方法です。カビ菌を殺菌するような成分は入っていませんので、ドライクリーニングするだけではカビは再発する可能性の方が高いです。

よく「着物や袴をクリーニングに出してもカビに意味がなかった!」という情報をネットで拝見しますが、これはおそらく丸洗い(ドライクリーニング)しかしていないためであると考えられます。

カビ取りまたは洗い張りでカビ菌を除去

カビ症状が起きている袴や着物には、オゾン殺菌など専用の「カビ取り処理」を行う「カビ取りクリーニング」を行うのが一般的です。またカビの程度によっては、一度着物を解いて反物の状態に戻し徹底的に洗う「洗い張り」という方法が必要になることもあります。「カビ取り」や「洗い張り」など、さまざまな対処ができるお店に相談した方が良いですね。

染色補正が必要になることも

着物や袴にカビが生えてから長い時間が経つと、カビの部分がオレンジ?茶色のシミになっていたり、変色を起こしている場合もあります。こうなるとカビを取るだけではなく、部分的な染め直し(染色補正)が必要になることも。程度にもよりますので、まずは着物に強いお店でスタッフに検品してもらうことをお勧めします。

カビ取りクリーニングすれば着物や袴にカビは生えない?

日本ではとても衣類にカビが生えやすいです。いくら丁寧にカビ取りクリーニングでカビをとりのぞいても、お手入れや保管の仕方によっては、別の原因でカビが生えてしまうことは考えられます。「カビ取りクリーニングしたから大丈夫」ではなく、常にカビ予防の対策をとることが大切です。

着物を着たら陰干をしましょう

私たちは自分が思っているよりも多量の汗をかいていて、その汗は衣類に染み込んでいます。着物や袴を1回着ただけでも、湿気を吸い込んでいるわけです。そのままクローゼットにしまいこむと、この「湿気」がカビ菌を繁殖させる大きな原因になってしまいます。一度着物や袴を使ったら、必ず陰干をして、着物の布の奥の湿気まできちんと飛ばすようにしましょう。

年に2回は空気の入れ替え

なかなか着ない着物や袴、タンスにずっと保管したままになっていませんか?日本はとても湿気の多い気候なので、クローゼットやタンスの中にも湿気が溜まり、これがカビ発生の原因にもなります。着物や袴のカビ対策としては、年に2~3回は着物を取り出して、空気に充てる「虫干し」を行いましょう。

除湿剤はマメに交換!

クローゼットやタンスの引き出しの中には、必ず除湿剤を置いて、湿気を吸い取るようにしましょう。除湿剤は製品にもよりますが、4~6ヶ月程度で効果が切れるものが多いです。定期的に交換し、常に湿気がたまらないようにすることが大切です。

見えないシミでも早めにシミ抜きを

着物や袴に汚れを付けたとき、「拭いたら見えなくなったから」とそのままにしてはいないでしょうか?食べ物や飲み物のハネ、お酒のシミなどは、たとえ目に見えなくなっても汚れ成分は繊維に残っています。そして栄養たっぷりの汚れ成分は、カビキンの大好物なのです。汚れをつけてしまった時には早めに専門店で部分的なシミ抜きを依頼し、汚れを取り去っておきましょう。

カビ臭いけれど、見た目は綺麗です。このまま着ても(しまっても)大丈夫?

結論から言うと、見た目が綺麗でも「カビ臭い」状態は非常に危険です。そのまま放置せず、早めの殺菌処置をおすすめします。

「汚れは見当たらないのに、なんだかカビ臭い……」
実は、着物のお手入れ相談で非常に多いケースです。見た目に問題がないと「陰干しすれば直るかも?」と思われがちですが、プロの視点では「すでにカビ菌が繊維の奥で活動を始めているサイン」と捉えます。

なぜ、見た目が綺麗でも放置してはいけないのか、その理由は3つあります。

1.「菌の根」は目に見えない

カビの胞子は非常に小さく、目に見える「ふわふわした白カビ」や「黒いシミ」として現れるのは、菌が大量に増殖したあとの姿です。
「臭う」ということは、すでに目に見えないレベルで菌が繁殖し、ガスを発生させている証拠。そのままタンスに戻すと、他の着物にまでカビ菌が移る「二次被害」の原因になります。

2.突然「変色」や「シミ」に変わる

カビ菌は着物の染料や生地のタンパク質を栄養にして育ちます。今は無色でも、ある日突然、化学反応を起こして「黄変(おうへん)」と呼ばれる茶褐色のシミに変わることがあります。
こうなると、単なる「カビ取り」だけでは落ちず、高額な「染色補正(色を塗り直す作業)」が必要になってしまいます。

3.健康への影響

カビ臭い着物をそのまま着用すると、動くたびにカビの胞子を吸い込むことになります。アレルギー体質の方や、小さなお子様が触れる可能性がある場合は、衛生面の観点からもおすすめできません。

カビた着物の隣にあった帯や小物は、そのまま保管して大丈夫?

残念ながら、そのまま保管するのは非常に危険です。目に見えるカビがなくても、カビの胞子が移っている可能性が極めて高いからです。

カビは「生き物」です。カビが発生した着物のすぐ隣に保管されていた帯や小物は、いわば「菌が降り注いでいる状態」にあります。たとえ今、見た目が綺麗であっても、そのままタンスに戻すのは「カビの種」を温床に戻すようなものです。

以下の「3つのチェックと対策」を必ず行ってください。

1.「たとう紙」は迷わず捨ててください

カビが発生した着物を包んでいた「たとう紙」はもちろん、その上下に置かれていた予備のたとう紙も、すべて新しいものに交換してください。和紙は湿気を吸いやすく、カビ菌が最も定着しやすい場所です。紙に残った菌が、せっかくクリーニングした着物に再付着するケースが後を絶ちません。

2.帯や小物を「隔離」して陰干しする

カビた着物を取り出した後、残った帯や小物もすべてタンスから出し、風通しの良い場所で数日間「陰干し」をしてください。その際、カビの臭いが移っていないか、金糸や銀糸が変色していないかを念入りにチェックします。もし少しでも「カビ臭い」と感じたら、すでに菌が繊維の奥に入り込んでいます。

3.タンスの引き出し自体の「除菌」を忘れずに

意外と見落としがちなのが、収納場所そのものです。着物だけをクリーニングに出しても、タンスの引き出しに菌の胞子が残っていれば、またすぐに再発します。引き出しの中を空にし、乾燥させた後、エタノール等で軽く拭き掃除をして、完全に乾燥させてから新しい着物を戻すようにしましょう。

古い着物だけど、カビ取りする価値はある?

その着物に「想い」があるなら、価値は十分にあります。ただし、状態によっては「買い替えた方が安い」場合もあるため、プロの目による仕分けが重要です。

「何十年も前の古い着物だし、カビまで生えているなら捨てた方がいいかしら……」と迷われる方はとても多いです。しかし、古い着物には今の時代では再現できない職人技や、良質な生地が使われていることも少なくありません。

修復するかどうかを判断する、プロのアドバイスをまとめました。

1.「代えがきかないもの」は直す価値あり

  • お母様や祖母様から譲り受けた形見の品
  • ご自身の成人式や結婚式の思い出が詰まった振袖
  • 今では作ることが難しい、希少な技法の伝統工芸品

これらは一度手放すと二度と手に入りません。カビ取りや染色補正の技術を使えば、驚くほど美しく甦り、次世代へ繋ぐことができます。

2.「コスト」と「思い入れ」のバランスで考える

カビの程度が軽く、数千円〜程度の「カビ取り」で済むなら、新調するより圧倒的に安く済みます。
一方で、重度の黒カビや広範囲の変色があり、数万円以上の修復費用(洗い張りや染め直し)がかかる場合は、慎重な判断が必要です。

3.「リメイク」という選択肢も

「着物として着る機会は少ないけれど、捨てるのは忍びない」という場合は、カビのない綺麗な部分だけを使って、バッグやタペストリー、数寄屋袋などの「小物」へリメイクするのも一つの方法です。

おわりに

着物や袴のカビは、一度発生してしまうとご家庭では対策が取れず、専門店頼みになってしまいます。また軽い症状であれば安い料金で対処ができますが、症状が重くなればなるほどさまざまな処方が必要になり、着物を元に戻すための料金が高くなってしまいがちです。(例えはヘンですが、虫歯と同じようなものだと考えてもらうと良いかもしれません)

「着物や袴がカビ臭いかも」「小さいけれどカビ症状を見つけた」という初期症状の段階でも、後回しにせずに早めにお店に相談されることをお勧めします。

当店『きものサロン創夢』は着物クリーニングやリペア全般を扱う専門店ですので、着物や袴のカビ対策についてももちろんご相談を受け付けています。全国宅配対応もしていますので、お近くに着物・袴のカビ取りができるお店がない時には、ぜひお気軽にご相談ください。

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