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すぐわかる!振袖と他の着物の4つの違い

振袖と他の着物の違い

振袖(ふりそで)は成人式などで着られることの多い着物であり、TVや雑誌でもよく紹介されるのでご存知の方も多いはず。でも振袖と他の着物の違いをキチンと知っていますか?

坂根克之
坂根克之
こんにちは。着物関係一筋50年 きものサロン創夢(そうむ) 坂根克之です。ここでは振袖のそのほかの着物の違いについて、4つのポイントから分かりやすく説明していきます。振袖の特徴をすぐにわかることができますよ!

振袖はミスのための着物

振袖とほかの着物の最大の違いとして「独身女性・未婚女性(Miss)だけが身につける」という点が挙げられます。普段着である小紋や、略礼装などにも使える訪問着が「誰でも着られる着物」であるのに対して、振袖はハッキリと着用者が限定されているのです。

振袖

  • 独身・未婚女性用の着物。七五三のお祝いでも女の子の7歳のお祝いには振袖を着ます。昔は結婚する平均年齢が低かったので、大体20代前半くらいまでの未婚女性が身につける祝いの着物という認識がされていました。近年では結婚年齢やライフスタイルなどの変化によって、着用年齢などの考え方にも変化が見られます。

その他の着物

  • 留袖(とめそで) → 既婚女性・ミセスのための礼装着物。地色が黒の「黒留袖」と、その他の色の「色留袖」があります。ただし色留袖については近年、いわゆるアラサー世代以降の独身女性もお祝いの席に身につける傾向が見られます。
  • 訪問着(ほうもんぎ)→ 誰でも着られます
  • 色無地(いろむじ)→ 誰でも着られます
  • 小紋(こもん)→ 誰でも着られます
  • 喪服着物 → 誰でも着られます

振袖は「正装用」の着物

振袖とその他の着物の違いとして「正装・礼装用(フォーマル向け)」であるということ、さらにフォーマルの中でも格の高い着物であるという点が挙げられます。洋服に普段着とフォーマル向けがあり、さらにフォーマルにもセミフォーマル・純フォーマルと段階があるように、着物にもフォーマルとカジュアル、さらにフォーマルの段階(格の違い)があるのです。

フォーマル向けの着物

  • 振袖 「準礼装」であり、未婚女性が通常に身につけるフォーマルの中では最も格が高い着物です。(ちなみに一番に格の高い正礼装は花嫁衣装など、ということになります) 成人式、結婚式への参列、卒業式、お見合い、お正月の祝いなど、あらたまった特別な場にだけ身につける着物です。
  • 留袖 ミセス向けの「正礼装」で、既婚女性が身につける最も格の高いフォーマル着物です。新郎新婦の両親や親族が結婚式で身につけたり、非常に格の高い式典(叙勲など)で身につけるなど、こちらも特別な場に身につけるフォーマルです。
  • 訪問着 「略礼装」という、簡略化されたフォーマル着物です。洋服で言うと振袖や留袖がドレスなら、訪問着はワンピースです。だいぶ軽めになりますよね。結婚式ですと同僚やご友人などは参列時に訪問着を着用する方も多いです。
  • 色無地 家紋が背中に一つ入っている「一つ紋」の色無地は、略礼装としてフォーマルに着られます。こちらも訪問着と同様、フォーマル向けワンピースといった具合です。

お出かけ・街着・普段着・カジュアル向けの着物

  • 訪問着 訪問着にも柄行が色々あるので、フォーマルと言うよりは観劇や軽いパーティ向けといったものも多々あります。ワンピースも柄や素材で用途が変わりますよね。それと同じです。
  • 色無地 紋なしの色無地は普段着です。お友達同士での軽いパーティー、街着として着るといった具合です。
  • 小紋 完全に普段着向けの着物です。街歩き、お買い物、カフェに行くなどの普段の遊び向け。スーツで来る人がいるような場所にはきられません。
  • 浴衣 元々が下着の扱いであり、現在も普段着(Tシャツやジーンズ、サンダルと同じ)の扱いです。カフェや居酒屋、街歩きなどはOKですが、格の高いレストランなど、ドレスコードがある場所には着られません。

振袖は「一生でもそんなに沢山は着ない特別なドレス」といった扱いであると言えるかもしれません。昔は着物をよく着るご家庭の場合だとお正月に娘様たちが振袖をお召しになったりもしますが、現在ではそのような習慣も少なくなってきました。普段のお出かけにも着られるその他の着物と比べると、振袖は本当に特別な着物なのです。

振袖の特徴は「袖の縦の長さ」

振袖とその他の着物の違いとして、見た目にもハッキリとわかりやすいのが「袖の縦の長さ」です。この違いが大きいため、着物に慣れない人でも振袖の他の着物は見分けやすいことでしょう。

他の着物の袖の縦の長さ

洋服の場合の袖の長さは、手首までの「長袖」肘の上までの「半袖」その中間の「七分袖」などですよね。しかし着物の場合、このような袖の長さ(袖の横の長さ)にはデザイン的な違いはほぼなく、手首まで隠れるようになっています。裄丈というサイズによって、手首が完全に隠れたり、少し手首が出てしまうこともありますが、基本的に洋服で言うところの長袖になるわけです。

しかし着物の場合、これにさらに「袖の縦の長さ」が加わります。洋服の袖が筒のような形をしているのに対し、着物の袖は下に向かって垂れ下がるような形をしていますね。普段着の着物の場合、袖の縦の長さは45センチ~50センチくらいです。袖の形が正方形程度になるような感覚です。訪問着・留袖などのフォーマル向け着物だと少し長めになり50センチ~55センチくらいですが、それでも「とても長い」と感じる人は少ないことでしょう。

振袖の着物の袖の長さ

さて振袖の袖の縦の長さを他の着物と比べてみましょう。振袖もその長さで3種類に分けられるので、それぞれの長さをみます。

  • 他の着物 45~55センチ
  • 小振袖 85センチ前後 やや軽めの振袖。袴と合わせて卒業式に着用することが多い
  • 中振袖 100センチ前後 近年のいわゆる一般的な振袖。成人式、ご友人の結婚式、お見合いなどに着用。
  • 大振袖 114~120センチ 花嫁のお色直し、レトロスタイルの花嫁衣装など。

いかがでしょうか?小振袖でも他の着物に比べて圧倒的に袖が長いですよね。袖がヒラヒラと長く振れる様をみれば「振袖だ」とすぐにわかるというわけです。

もちろん、振袖の中に着る長襦袢も「振袖専用」であり、振袖と同じように長く作られていますよ。

振袖は自分では着付けできない

最後に振袖と他の着物の違いとして、「自分では着付けができない」という点が挙げられます。

一般的な着物は、小紋などの普段着はもちろん、着物に慣れている方であれば留袖などのフォーマル着物でもご自分で着付けることが可能です。今から習って練習すれば、一般的な着物はどなたでも着られるようになります。

しかし成人式などにお召しになる「振袖」だけは、ご自分では着ることができません。華やかで長い袖のある振袖に負けないように大きく帯を飾って結ぶので、物理的に「帯を前で結んで回す」と言うことができないのです。

振袖については有資格者である「着付け師」に依頼をして着付けてもらうことになります。美容院などでヘアメイクと共に着付けをしてもらうか、訪問着付け師にご自宅まで来てもらうかのどちらかが一般的です。

おわりに

今回は振袖とその他の着物の違いについて、4つのポイントから解説しました。振袖のそのほかの違いというと、その他の着物に比べて振袖はクリーニング代が高くなりやすい・・・という点が挙げられるかもしれません。

振袖は袖が長く、染めや刺繍などの加工が細かく施されているので、どうしてもほかに較べて手間がかかり、料金が一段上がってしまうんですよね。しかし高級な振袖はきちんとお手入れすれば、娘様へ、さらにはお孫様へと何年も受け継いでいけるものなので、ぜひ大切にしていただきたい!というのが着物お手入れ専門店『創夢』の気持ちです。

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