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夏の日に!車椅子の暑さ対策6つのヒント

車椅子の暑さ対策

地球温暖化の影響により、猛暑日を記録する日が増えています。車椅子でのお出かけでも、暑さによる不快感や体力低下などの問題が気になっているという人が多いのではないでしょうか。

暑さが気になって外出の回数や頻度が減ってしまうのは残念なことですよね。

坂根克之
坂根克之
こんにちは。着物関係一筋50年 きものサロン創夢(そうむ) 坂根克之です。ここでは車椅子での外出時における暑さ対策について、いくつかのヒントをご紹介していきます。

車椅子用シェードの活用


車椅子用日よけ T-シェード暑さ対策 紫外線対策 サンシェード UVケア

外出時の暑さ対策としてよく知られているのは「日傘」ですね。環境省や自治体の調査によっても、的確な日傘の活用は暑さを和らげ、体感温度を下げる効果があるとされています。

しかし車椅子の場合、いわゆる「日傘」をさすのはおすすめができません。片手が塞がり危険度が高まるためです。そこで検討をしてみたいのが「シェード」と言うことになります。


車椅子用レインコート電動車いす傘キャノピーオーニング、サンシェードレインカバー

車椅子用のシェードとは、車椅子の上部に取り付ける日除用の部材のことを言います。軽い雨除け効果のあるナイロン性のものや、取り付けたまま折り畳める物など、近年ではさまざまなタイプが登場しています。

  • 手が塞がらない(自走式でも使用可能)
  • 頭部への直射日光を軽減できる

上記の2点はシェードのメリットと言えるでしょう。ただし車椅子シェードは視界の確保のため深い作りにはできず、紫外線を完全にカットすることはできません。また保管時に場所を取るタイプもあり、ご利用環境をやや選ぶ製品とも言えます。

冷感型・冷却背もたれの活用

近年では車椅子のシート(背もたれ部分)をひんやりとした感触にできる冷感型シートも登場しています。

汗のこもりにくいクールマット素材であったり、保冷剤を入れられるポケットがついていたりと、工夫の仕方も様々です。ご利用の車椅子とサイズさえ合っていれば、このような製品の導入を検討してみても良いでしょう。

シートを装着するだけで良いという手軽さもありがたいですね。ただ、保冷剤使用タイプの場合、冷却できる時間が15分?20分程度と限定されているため、あくまでも近所のお出かけ向けと考えておいた方が良いかもしれません。

座面用の使用はNG

注意をしておきたいのが、冷却シートタイプでも座面用のものは避けること。「車椅子用」と書いてあっても、座面にキチンと固定ができないタイプの製品が多く販売されています。

車椅子は傾斜時にお尻の部分がズレてしまうと、前面に向かって体が落ちてしまう可能性もあり、大変危険です。座面部はオプションを付けずに使用しましょう。

遮光型ハットで涼しく


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車椅子用のシェードを取り付けるのはちょっと難しい・・・このような場合には、サッと被れる「帽子」の素材に着目してみましょう。

遮光性の高い素材を使った帽子を活用することで、紫外線のカット効果が高まり、日傘を使っているような効果を得ることができます。ただ遮光率が高い素材は風を通しにくいので、帽子全体が遮光素材だと頭がムレてしまうことも。ブリム(つば)の部分にのみ遮光素材を使った製品だと、通気性と紫外線カットの両方を手に入れられます。

ブリムの形に注意

車椅子ユーザーの方が帽子を選ぶ場合、自走式の場合にはブリム(つば)の前・横が広すぎるものは避けた方が無難。ブリムが広すぎると視界が遮られてしまい、走行中の危険度が高まってしまいます。首の後ろ側のブリムが広いタイプを選ぶと良いでしょう。

気加熱冷却型アームカバーでヒンヤリ


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「アームカバー」とは、手の甲または手首から二の腕の上部にかけてを覆う、筒のような形のカバーのことを言います。一般的には「日焼け防止のためのアイテム」と思われがちですが、実はこれが「車椅子の暑さ対策」のためにも役立ってくれるのです。

直射日光を遮りチリチリ感を軽減

車椅子を操作する手先はどうしても直射日光がしっかりと届いてしまい、暑くなってしまいがち。チリチリと焼け付くような辛さを感じている人も多いのではないでしょうか。

遮光効果の高いアームカバーを着用すれば、このような「焼け付く日光の暑さ」をカット。長袖を羽織るのとは違い背中や胴部を覆わないのも良い点です。

気加熱効果でさらに涼しく

気加熱冷却効果のあるアームカバーの場合、濡らして軽く絞って使うことで、吸熱効果が得られます。気加熱による吸熱効果は、30分あたり最大で7℃?8℃近くにもなるのだとか。両腕をヒンヤリさせることで、体全体の体温上昇も抑えられると言うわけです。

ただし濡れた衣類の感触を嫌う人もいるので、その点は注意しましょう。また濡らしたアームカバーを使うことで、着ている衣類が多少湿ってしまうことがあります。

カジュアルな衣類であれば問題はありませんが、例えば正絹(シルク)の着物など、水濡れに弱い素材、濡らすと縮むような素材の衣類を着用するときには、アームカバーは濡らさない方が良いですね。

冷却剤・冷凍ペットボトルの活用

車椅子ユーザーの方の場合、屋内にいることが多いため汗をかきにくく、少し屋外に出た時に汗が出ずに体温がこもり、熱中症などになりやすいというリスクがあります。

短時間の外出の際にもできるだけ体温を下げるよう、冷却剤や冷凍したペットボトルなどを使ってみましょう。

「ひんやりシート」では体温は下がらない

額に貼ったり、体を拭いたりする「ひんやりシート」や「涼感シート」にはさまざまな製品がありますね。しかし残念ながらこれらの製品はあくまでも「体をサッパリさせるため」「不快感を軽減させるため」のものであり、体温を下げる効果はありません。

熱中症対策をキチンと行いつつヒンヤリした感触を求めるのであれば良いのですが、体温上昇を抑え熱中症対策をするのであれば、しっかりと冷却できる「保冷剤」「冷却剤」などを使う必要があります。

首・脇・鼠蹊部を冷やす

首の両横、両脇、鼠蹊部(そけいぶ、足の付け根)の部分には太い血管が走っており、この部分が体温を下げるための重要ポイントとなっています。

お出かけ中にも少しでも体温を下げるには、冷却剤を脇に挟んだり、首に冷却剤を当てるなどするのが理想的です。
※保冷剤や冷却剤は長時間素肌に当てると凍傷を起こす恐れがあります。必ずハンカチやタオルなどに包んで使用しましょう。

凍らせたペットボトルを使う手も

保冷剤を用意できない場合には、水を入れたペットボトルを凍らせておき、一時的な冷却材として使用することもできます。ただし水をたっぷり入れてから凍らせるとペットボトルが割れるので、半分程度入れるだけにすること。また周辺部が濡れやすいので、タオルでしっかり包むことが大切です。

日差しを考慮したルート・時間選択

車椅子での外出時には、直射日光をできるだけ浴びないようにルート選択を取りましょう。例えば太陽の向きに合わせ、なるべく日影側の道を歩くだけでも、体温の上昇を軽減することはできます。また、木陰の多い並木道を選ぶと言うのも手です。

また影の小さくなりやすいお昼時よりも、影が大きくなり、気温もわずかながら下がる午前・夕方の方が、体温上昇を防ぎやすいです。時間を選べる場合であれば、できるだけ体へのダメージが少ない時間帯を選択するようにしましょう。

おわりに

今回は車椅子ユーザーの暑さ対策について考えてみました。車椅子ユーザーは路面からの照り返しによる温度上昇の影響を受けやすく、また、発汗による体温低下を行いにくいことから、熱中症などのリスクが高い点が指摘されるようになっています。

短時間の外出であっても、きちんと暑さ対策を行うことが大切です。とは言え「濡れた感触が嫌だ」「冷たすぎるのが不快だ」など、ユーザーによってはお身体や嗜好に合わない対策もあることでしょう。

特にご高齢のユーザーや、こだわりの強い方の場合、無理にすべての対策を取るのではなく、ユーザーに合った対策であるかどうか、少しずつ試していくことをお勧めします。

車椅子ユーザーによる発案!

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