車椅子で入学式・卒業式に出る時の服装は?
車椅子で入学式や卒業式にでる時には、どのような服装をしたら良いのでしょうか?
車椅子着物考案者:障害者団体マルチスイッチの代表木村寛子様と
車椅子着物制作:株式会社 創夢 坂根克之
車椅子レンタルサービス
車椅子で入学式・卒業式に出る服装【女性編】
まずは女性が車椅子で入学式に出る場合や、保護者として参加する場合の服装について見ていきます。
洋装ならスーツかツーピース
【一般的な服装マナー】
・主役(学生)側 → 入学式はスーツが一般的、卒業式はワンピースや軽いドレス
・保護者側 → 入学式・卒業式ともにフォーマル感のあるツーピース、スーツ
【車椅子の場合】
・主役(学生)側 → 入学式はスーツ、卒業式はワンピースのように見えるツーピースやセットアップ
・保護者側 → 入学式・卒業式ともにフォーマル感のあるツーピース、スーツ
セットアップでラクさを上げる
女性のフォーマル向け洋装の場合、一般的にはワンピースやドレスのように上下がくっついている服の方がフォーマルとしての格が高いです。そのため卒業式に出る主役側の学生さんの場合、本来はワンピースやお昼に着るための軽いドレスなどが理想的と言えます。
ただ車椅子の場合だと、上下が連動している服は座っている時に引っ張られてしまい、疲れやすいです。パッと見てワンピースのような雰囲気に見える、同色型のツーピースやセットアップにすると、体の疲れや快適感が変わってきます。
体の状態に合わせボトムを選ぶ
トイレ介助が必要な場合には、ボトムはゴムタイプのズボン型、または巻きスカート型が便利です。
なおご自身で移動される方の場合、ボトムが長すぎると裾を踏んでの転倒といった恐れがあります。スカートの場合、裾は座って膝が出ない程度の長さの方が理想的です。
コサージュや髪飾りでドレスアップを
デザインにもよりますが、あまりシンプルなツーピースやセットアップだと、略礼装でもカジュアルに近く見えてしまうことも。胸元のコサージュ(花飾り)や大きめの髪飾りでドレスアップし、華やかな雰囲気に仕上げましょう。
和装なら車椅子用仕立ての着物がベスト
次に車椅子の方が和装で入学式・卒業式に出る場合の服装について見ていきます。
【一般的な服装マナー】
・主役(学生)側 → 卒業式の場合、振袖か振袖+袴
・保護者側 → 入学式・卒業式いずれも控えめな色柄の訪問着または色無地(紋付)
【車椅子の場合】
・主役(学生)側 → 卒業式の場合、車椅子仕立ての振袖(色留袖でもOK)
・保護者側 → 入学式・卒業式いずれも車椅子仕立ての訪問着、色無地
着物の場合、主役の方が良い着物(格の高い着物)を着ます。独身女性ですと振袖が礼装として最高格なので、卒業式などに着るにはベストです。
保護者は脇役ですから、略礼装である訪問着や紋付色無地などが良いでしょう。こちらは目立ちすぎない、色柄が控えめなものを選びます。
車椅子で出席の場合には、より着付けがラクで着用中にも快適に過ごせる「車椅子ユーザー向けの着物」を選ぶことをお勧めします。
車椅子ユーザー向けの着物とは?
車椅子ユーザーが発案した、ご家庭でも簡単に着付けができて、ラクに過ごせる特別仕立ての着物です。一般的な着物とは次のような違いがあります。
- 上下セパレート式なので疲れにくい
- ご家庭でもカンタンに着付けられる
- 帯や紐での締め付けが少なくリラックスできる
- 帯結びの取り外しができる
ちなみに当店『きものサロン創夢』でレンタルやリメイクができる着物の場合、着付け時間はたったの10分!一度もお尻を上げずに着付けができる、寝たきりでも着られるタイプもあります。
車椅子ユーザー専用レンタル着物(振袖)はもちろん、色無地などのご用意もあります。卒業式の主役となる方にはもちろん、保護者の方にもご利用いただけます。
レンタルだけでなくリメイクも手
現在では車椅子向け着物レンタルだけでなく、お手持ちの着物を車椅子ユーザー向けにリメイクすることもできるようになっています。
例えばお祖母様、お母様と受け継いできた振袖を車椅子ユーザー向けにリメイクして、卒業式に娘様が着ることもできるわけです。「借り物」に抵抗がある方も、リメイクならば安心ですね。
当店でも車椅子ユーザー向け着物のリメイクサービスを行なっております。お気軽にご相談ください。
車椅子ユーザー向け草履も
振袖や訪問着・色無地などで入学式・卒業式に出席する場合、一般的には足下には「草履(ぞうり)」を合わせます。しかし車椅子ユーザーの方の中には、一般的な草履の鼻緒(はなお)の形が足指に合わず、痛みが強くて装着が難しい方も大勢います。
当店『きものサロン創夢』では、より履きやすく痛みの少ないスリッパ型の草履もご用意しています。車椅子ユーザー向け着物のレンタルやリメイクと合わせ、ご検討してみてはいかがでしょうか。
車椅子で入学式・卒業式に出る服装【男性編】
次に男性が車椅子で入学式・卒業式に出る場合の服装について見ていきます。
主役も保護者もスーツを
男性の場合、主役も保護者側も洋装のスーツをお召しになるのが一般的です。本来であれば主役格は正装のブラックスーツということになりますが、現在では皆様が略式のビジネススーツが多いですね。
主役である学生さんの場合、特に卒業式は少し華やかな装いに。華やかな色合いのネクタイを合わせて、お祝い感をアップします。脇役である保護者の方は、少し控えめな色合いを選ぶと良いでしょう。
ジャケットを少し短めにオーダー
スーツのジャケットは、一般的に「立った姿」を重視して作られています。そのため車椅子に座った状態だとジャケットがダブついて見えてしまいがちです。
フルオーダーまたはセミオーダーで、ジャケットの丈を少し短めに仕立てると、スッキリとした見た目になります。
ゴム型ボトムにするのも手
トイレの介助が必要な場合、スーツのボトム(スラックス)はゴム式の方がスピーディでスムーズです。フルオーダーでは、お仕立てをゴムに対応可能なお店もあります。相談をしてみましょう。
入学式には少し控えめ、卒業式は華やかに
入学式は学生・保護者ともに「これからお付き合いする人たちとの顔合わせ」の場でもあります。お互いに慣れない緊張感もありますし、お祝いの場とは言っても、少し控えめなフォーマルさの方が場に馴染みやすいです。
反対に卒業式は、学生の方達の門出の場であり、学友たちとの最後の思い出の場でもあります。主役として、思い切り華やかに装っていただいて構わないわけです。
なお学生の父母や祖父母などの家族は、入学式卒業式のいずれにおいても「脇役」であり、フォーマルながら控えめであることが求められます。主役より略式で抑えめな色柄の服を選びましょう。また髪型なども派手すぎないよう、落ち着いた雰囲気に仕上げることが大切です。
終わりに
最近では車椅子ユーザー向け着物の登場によって、卒業式の服装に振袖を選ぶ車椅子の方も増えてきました。一生に一度の思い出のイベントですから、素敵な正装を思い切り楽しんでいただきたいですね。
上でも触れましたが、当店『きものサロン創夢』は多くの方に着物を楽しんでいただけるよう、車椅子ユーザー向け着物のレンタルや、お手持ち着物のリメイクサービスを行なっています。
卒業式や入学式に車椅子の方が着られるようなレンタル振袖やレンタル色無地も、もちろん多数ご用意があります!「車椅子で着物を着て卒業式に出たい」とお考えの時には、ぜひお気軽にご相談くださいね。