車椅子でお出かけ・雨の日の対策は?7つのヒントをご紹介
車椅子でお出かけをする場合、大敵なのが「雨」です。特に電動車椅子は雨に弱いですし、雨天時の外出は非常にリスクが高いのが問題と言えます。
しかし例えばご家族やご友人の結婚式といった変更のできないイベントの場合、なんとか対策をして車椅子で外出をしたいと考える方が多いことでしょう。車椅子の雨対策には、どのようなものがあるのでしょうか。
手動車椅子のレンタルを検討
車椅子で雨の日の外出する場合、最大の懸念と言えるのは「電動車椅子の故障」です。簡易型電動車椅子は雨に弱く、雨天時にはできるだけ早く屋内に移動することが推奨されています。
重要な部分に一応の防水処理が施してはあるものの、万一バッテリー装着部や大車輪の駆動部に水が入った場合、完全に動かなくなるリスクがあるわけです。
「高額な電動車椅子が壊れてしまう」という大きなリスクを考えると、長距離の移動はタクシーなどに切り替え、その他の短時間の移動を自走式または介助式の手動型車椅子に一時的に切り替える、という方法を取ることも検討しておくことをまずお勧めします。
手動型車椅子はレンタルする場合、介護保険適用であれば月額数百円~、適用なしで月3,000円~5,000円が平均的な価格です。一日分のレンタルとしては安くない価格もありますが、高額な電動車いすの故障を考えると安上がりと言えるのではないでしょうか。
車椅子用レインカバーの利用
車椅子用のレインカバーとは、車椅子に乗った人と車椅子の両方をカバーする専用のカバーです。ポンチョのような形になっているものや、すっぽりと全体を覆う形のタイプもあります。
一般的なレインコートやレインポンチョですと、乗っているご本人を雨から守ることはできるのですが、車椅子が濡れてしまうのが問題です。
上でも触れましたが、まず電動車椅子は水濡れに非常に弱いです。また手動車椅子も錆びにくい素材は使われてはいるものの、繰り返しの雨濡れではダメージが溜まります。とにかく「できるだけ車椅子を濡らさない」が重要になるわけです。
車椅子用レインカバーであれば、車椅子の各部の水濡れをかなり軽減することができます。また通常のレインコートと異なり、車輪に巻き込みにくいデザインが取ってある点も車椅子用レインカバーのメリットです。
着物の場合「雨コート」も
着物で外出の場合、雨濡れに非常に弱い素材も多いため、より万全の雨対策をしておきたいところです。着物用の「雨コート」がありますので、これを使うことをおすすめします。
なお一体型の雨コートですと、車椅子ユーザーの方だと引っ張られて不快な思いをされることも。上半身・下半身がそれぞれ別になっている「二部式」の着物用雨コートを導入された方が着用もしやすく、快適に過ごすことができるでしょう。
バッテリーとコントローラーの保護
繰り返しになりますが、雨濡れで最も問題になるのが電動車椅子の故障です。制御盤・バッテリーは濡れにくいと思われがちですが、ここが万一濡れてしまうと大問題になります。
上でご紹介した車椅子用レインカバーで上・横からの濡れは保護できますが、万一のリスクを考え、できればビニールカバーなどで二重に保護しておくことをお勧めします。
また電動コントローラーは車椅子用レインカバーであれば保護ができますが、こちらも万一のカバーめくれなどによる雨濡れリスク可否のために、別途ビニール袋などで保護しておくと安心です。
反射材・反射テープの装着
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次に車椅子での雨の日の外出の「安全面」についての問題です。雨の日は晴天時に比べて暗く、視界が悪いため、自動車ドライバー側からの視界が悪くなりがちです。
また歩行者についても傘で前面を覆うため、通常時より車椅子に気づきにくくなります。通行時に周囲から車椅子が気づかれにくくなるため、衝突などの問題が起こりやすいわけですね。
このような問題の改善のため、車椅子には反射材や反射テープなどを付けておくことをお勧めします。ドライバーや周囲から早く見つけてもらうことで、少しでも安全性を高めましょう。
反射材は車椅子の前後左右、四方につけるのが理想的です。
走行ルートの選択
車椅子での雨の日の外出では、反射材などの利用に加えて、できるだけ安全性の高いルート選択も重要になります。上の「4」の項目でも述べましたが、雨の日には周囲から車椅子が視認しにくくなりますね。これに加えて路面の雨濡れによるスリップや、段差で滑りやすくなるといった問題点が出てきます。
万一の事故といった大きなトラブルを防止するためにも、次のようなルート選択を行うことが大切です。
歩道の広い道を選ぶ
傘をさした通行人とのすれ違いは、晴天時より危険性が高くなります。できるだけ広い道を選んだほうが安全です。
ガードレールのある道を選ぶ
前述した車からの視認性が低くなることを鑑みると、車道と歩道の間にガードレールがある道をできるだけ選択した方が良いでしょう。
できるだけ平坦な道を選ぶ
雨の日は晴天時に比べて路面の状態が悪くなります。特に下り坂については危険性が高いです。可能な限り平坦な道、傾斜の緩い道を選ぶことを強くお勧めします。
足元の保護・交換する靴の用意
車椅子で雨の日に外出する場合、車椅子用レインカバーを使っても、デザインによっては足元(靴など)が濡れてしまうことがあります。
お出かけの内容にもよりますが、お出かけ中はビニールカバーなどで靴を保護するか、走行中は濡れても良い靴にして、到着してから履き物を交換するといった方法を取るといった対策を取ることをお勧めします。
草履は到着先で履く手も
着物を着用した状態で車椅子で外出する場合、足元が草履になりますが、これはかなり雨濡れに弱いです。雨草履と言うカバー付き草履もあるものの、車椅子での雨ぬれは車輪のハネなどによって足元の横・後ろなどから起こる可能性が高く、雨草履で完全に濡れを防げるかというと不安が残ります。
草履は到着先で履き替えるようにするか、ビニールで上から保護をされた方が良いでしょう。または替えの足袋または足袋カバーを用意しておき、到着後すぐに取り替えると言うのも手です。
衣類の「裾」の対策
車椅子での雨天時の外出においては、足先だけでなく膝から下が濡れてしまいやすいのも問題です。衣類の雨濡れは、見た目に悪いだけでなく、車椅子をお使いになるご本人の体温を奪い、体調不良を招くリスクもあります。
また正絹(シルク)の着物など、水濡れに弱い衣類を着用している場合、濡れた部分が縮んで「水シミ」ができてしまうことも問題です。このようなトラブルが起こらないよう、できる限りの対策を取りましょう。
カジュアルシーンなら防水ボトムを
カジュアルなお出かけであれば、防水仕様や撥水仕様を施したボトム(レインパンツなど)を利用されるのが一番安心です。例えばゴアテックス素材のパンツなどは防水性が高く、雨が染み込むことをしっかり防いでくれます。これなら到着先でサッとタオルで拭くだけで大丈夫。裾対策は不要ですね。
フォーマル服や着物は「クリップ」で裾止め
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お出かけ先によっては、ブラックフォーマルや着物といった「礼服」を着て車椅子に乗るケースもあることでしょう。このような場合、クリップを使って一時的な裾上げをしておくと安心です。
着物の場合でしたら、裾を一枚ずつ筒のように捲り上げて、着付けの時に使う「着物クリップ」で帯部分に保定しておくと良いでしょう。こうすれば、着物の裾は膝くらいにまで上がりますから、雨濡れの心配はありません。上から前述した着物用の雨コートを着てしまえば、裾が捲られていることは見えません。
おわりに
今回は車椅子での雨対策について解説しました。上でも触れたとおり、車椅子での雨天時での外出はさまざまなリスクがあります。当ブログにつきましても日常的なお出かけを推奨するものではなく、あくまでも「やむをえず出かける」と言う場合のヒントであるという点をご理解頂きたく存じます。
当店『きものサロン創夢』では、車椅子ユーザーの方向けの着物レンタルや、着物リメイクサービスを行なっています。車椅子で着物を着る時のお出かけについてご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせくださいませ。