それはダメ!着物のタバコ臭さを取るNG対処法と正解は?
着物で出かける場所では、パーティーや飲み会等のお祝い事も多いですよね。このような場所では、喫煙する人もたくさん居ます。自分がタバコを吸うという人はもちろんですが、吸わない人でも「帰宅したら着物がタバコくさい」というケースが少なくありません。
着物についたタバコの匂いのとり方は、一般的な洋服とはだいぶ違います。洋服のつもりで着物のタバコの匂い取りをすると、着物をダメにしてしまうこともあるんです!
着物のタバコの匂い対策 3つのNG対処法
着物は正絹(シルク)や天然染料等、とてもデリケートな素材で作られています。そのため洋服や家具向けのタバコの消臭対策を行うと、着物にシミができたり、縮んでしまうことが多いです。
消臭スプレーをかける
タバコの匂いが服についた時には、ファブリーズやリセッシュ等の消臭スプレーを使うという人が多いことでしょう。しかし、着物(和服)にはファブリーズやリセッシュを使うことができません。
これらの消臭スプレーには水分が多く含まれています。正絹着物等の着物をスプレーで濡らすと、その部分だけが縮んでシミのようになる「ウォータースポット」ができたり、濡れ方によっては色滲み等ができてしまうことがあります。
アルコールをかける
着物のタバコ対策として、アルコール(エタノール)等をスプレーする方法も不向きです。
着物の場合、アルコールによる濡れも水濡れと同じように「水シミ」となってしまうことが多々あります。また着物に使われている染料は、アルコール等で変色を起こすリスクも。
アルコール類等で着物が変色を起こしてしまうと、専門店でも着物を元に戻せなくなってしまう可能性も考えられるのです。
そのまま保管する
「着物のタバコの匂い、この程度なら大丈夫かも」とそのまま保管していませんか?タバコの匂いはしっかり対策をしておかないと、繊維の奥に染み付いてしまいます。完全に染み付いたタバコの匂いについては、ご自宅では対処できなくなってしまうことも。
少しでも「着物がタバコ臭いかな」と感じたら、早めにタバコの消臭対策をすることが大切です。
着物のタバコくさい匂いを取る方法は?
では着物のタバコの匂いを取るには、どのように対処をしたら良いのでしょうか。
長く陰干しする
着物のタバコの匂い対策で一番シンプルなのが「陰干しをして空気にあてる」という方法です。
用意するもの
- 着物用のハンガーか物干し
- 室内の場合は扇風機やサーキュレーター
陰干しの方法
- 直射日光が当たらない場所を選びます。
- 着物ハンガーか物干しに着物をかけます。
- 室内の場合はエアコンをかけ、扇風機等の風もあてます。
- 1週間~2週間程度空気にさらして、匂いを飛ばします。
※直射日光にあてると色あせの原因になります。
※外干しする場合には、夜間は取り込んでください。
陰干しをして着物を乾いた風にさらすと、繊維の奥にこもっていた空気が少しずつ外に出てきます。こもっていたタバコの匂いが少しずつ薄れてくるというわけです。
時間はかかりますが、湿気を飛ばすことで虫害(虫食い)などの被害も防ぎやすくなるのも嬉しいポイント。着用するごとの習慣にしたい対策です。
置型消臭剤を使う
消臭スプレーは着物のタバコ臭さには使うことができませんが、置型の消臭剤であれば対策に取り入れることができます。「陰干しでは着物のタバコの匂いが取れない」という時におすすめです。
用意するもの
- 置型消臭剤:台所用等、必ず無香料のものを使用する
- ビニール袋:大きなゴミ袋等、畳んだままで着物を入れてさらに余裕があるサイズ
置型消臭剤を使った消臭対策の手順
- 着物は本畳みにしておきます。
- ビニール袋に畳んだ着物を平らに入れます。
- 袋の隅に、置型消臭剤を置いておきます。
- 袋の口を閉じます。
- 一週間~二週間程度、そのまま置いておきます。ときどき封を開けて、匂いの状態を確認しましょう。
- 匂いが取れたら、上で解説した「陰干し」を3日程度行って、こもった湿気を取り除きます。
※香料月の消臭剤は絶対に使わないでください。香りが着物にうつって取れなくなります。
※ビニール袋は風通しの良い場所に置きましょう。直射日光があたる場所、湿度の高い場所は避けることが大切です。
カビっぽい着物には絶対NG
「着物がカビくさい」「着物にカビっぽいシミがある」等、カビの症状が見られる場合には、置型消臭剤を使う方法は絶対にNGです。ビニール袋に入れて空気をこもらせることでカビが活性化し、カビ菌による被害が悪化してしまいます。
スチームアイロンをかける
着物の種類によっては、スチームアイロンで熱と蒸気をあてることでタバコの匂いが取れることがあります。
陰干しや置型消臭剤に比べると消臭効果が比較的早く出るので、急いでいる時にも使える方法です。
用意するもの
- 着物用のハンガー
- スチームアイロン
- 扇風機かサーキュレーター
※着物の種類によってはスチームアイロンがかけられません。必ず下の注意事項まですべて読んでから準備をしましょう。
アイロンを使った着物の消臭対策の手順
- 着物を和装専用のハンガーにかけておきます。
- スチームアイロンは素材に合わせた温度に設定しておきます。
- 着物の布地から1センチ程度離して、アイロンの蒸気を当てていきます。
- 袖等のタバコの匂いが付きやすい場所には、特にていねいに蒸気を当てます。
- 匂いが消えたら、扇風機やサーキュレーターで乾いた風を当て続けます。最低でも1日、できれば3日以上は風をあてて陰干しし、水分をしっかり取り除きます。
※スチームアイロンで蒸気をあてた着物は、特にていねいに陰干しをしてください。湿気が繊維の中に残ると、カビの発生、虫害等の原因になります。
スチームアイロンがかけられない着物もある?
次のような着物は、スチームアイロンで着物のタバコの匂い取りをすることができません。
- 正絹着物(シルク)の着物
- しぼりの着物
- 縮緬(ちりめん)の着物
- その他「水洗い」に非対応の着物
- 箔押し(金箔・銀箔)の加工がある着物
- 刺繍がある着物
- レース加工がある着物
- ビーズ・スパンコール等の縫い付けがある着物
- その他、特殊加工がある着物
上記のような着物は、スチームアイロンの蒸気で縮んでしまったり、加工が剥がれる・変色するといった恐れがあります。アイロンでの消臭は避け、上でご案内した「陰干し」等の対策を取りましょう。
おわりに:タバコの匂いが取れない時は専門店へ
着物についたタバコの匂いのとり方の情報はあなたの着物のお手入れに役立ちそうですか?
タバコの匂いは「煙」という形で染み込むので、かなりガンコです。早い段階で消臭対策を行わないと、ご自宅では取れないこともあります。
上でご案内した消臭対策でタバコの匂いが取れない場合には、専門店に相談をしましょう。着物丸洗い(ドライクリーニング)だけでは匂いは取り切れないので、キチンと対策が取れるお店を選ぶことが大切です。
もちろん当店『京都 きものサロン創夢』でも、タバコの匂い等の着物トラブルのご相談を受け付けています。お近くに着物のお手入れの専門店が無い時には、どうぞお気軽にご相談ください!