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シミの対処方法

着物にカフェオレ・カフェラテの汚れ…シミ抜き方法徹底解説!

カフェオレ

コーヒーにたっぷりと牛乳を入れたカフェオレは、大人だけでなく子どもにも人気がある飲み物ですね。最近ですとスターバックスコーヒー等のシアトル系コーヒーの人気によって、カフェラテ等のラテ系飲料を楽しむ人もとても増えました。

そのため着物にカフェオレやカフェラテをこぼしてしまった!というシミ・汚れのトラブルを目にすることも以前よりずっと多くなっています。カフェオレ(カフェラテ)はコーヒー系飲料ですが、コーヒーのシミとはやや特徴が異なるため、着物のシミ抜きの場合には「カフェオレならでは」の対策をすることが大切です。

坂根克之
坂根克之
こんにちは。着物関係一筋50年 京都きものサロン創夢(そうむ) 坂根克之です。ここでは着物にカフェオレ(カフェラテ)の汚れを付けてしまった場合のシミ抜き方法について、詳しくご紹介をしていきます。

着物のカフェオレのシミは水では落ちない?

着物のカフェオレのシミ、コーヒーと同じ水性のシミだから水洗いでカンタンに落ちる!と思っている人はいませんか?着物にカフェオレのシミが付いた時に濡れタオルやオシボリ等で応急処置をして、その後に放置をしていたら取れないシミになってしまった…というトラブル、実はとても多いんです。

カフェオレ(カフェラテ)はたしかに水性の成分がとても多い汚れではあるのですが、一般的な「水性汚れ(水溶性汚れ)」とは異なる特徴を持っています。

そのため、濡れタオルやお湯で洗う等だけでの対処では汚れが落ちきらないんです。

牛乳の「脂肪分」が油性の汚れになる

カフェオレ(カフェラテ)に使われる牛乳には、多くの乳脂肪分が含まれています。この脂肪分はその名の通り脂(アブラ)であり、水には溶けにくい油性の汚れです。つまりカフェオレ(カフェラテ)のシミは、水性の汚れと油性の汚れの両方の特性を持つ「混合性の汚れ」に近いものであると言えます。

ですから水洗い等だけでは油性成分が繊維に残って、あとから油シミが浮いてきてしまうんです。

牛乳の「タンパク質」が固まってしまう

カフェオレ(カフェラテ)に使う牛乳には、動物性タンパク質も多く含まれています。こちらは熱を加えると固まる特性を持っているため、この点にも注意が必要です。熱いお湯を使ったり、ホカホカのオシボリ等を当てたりすると牛乳のタンパク質が固まって、取れにくい汚れになってしまいます。

着物にカフェオレ(カフェラテ)のシミ・汚れを付けた場合には、応急処置の際に熱を与えないことがまず大切!

柔らかいティッシュペーパー等で水分を吸い取っておきましょう。また応急処置だけで対処を終わらせず、必ずキチンとシミ抜きすることが大切です。

着物のカフェオレ汚れのシミ抜き方法は?

では、着物のカフェオレ汚れを自分でシミ抜きする方法について見ていきましょう。ここでは牛乳の脂肪分(油分)をベンジンを使って部分的に分解した後で、中性洗剤を使って水性汚れを取り除く方法を行います。

事前に確認しましょう!!
※着物のカフェオレのシミはベースが水性汚れなので、ご家庭では「水洗い」をしないと汚れが落ちません。お持ちの着物の洗濯表示や素材が水洗いに対応しているか等をよく確認して、シミ抜き処理は自己責任で行いましょう。

※乾いてしまっている汚れ、付いてから数日以上が経過している汚れは、コーヒーの色素成分が定着しているため、ご家庭ではシミ抜きができません。早めに専門店に持ち込みましょう。

用意するもの

  • ベンジン
  • 柔らかい布(色移り防止のため薄い色が理想的)
  • タオル(汚れても良いもの)
  • バスタオル2枚
  • 中性タイプの洗濯洗剤(おしゃれ着洗い用。エマール、アクロン等)
  • 洗面器等の容器
  • 洗濯用ネット(本畳みした着物が平らに入るサイズ)
  • 着物専用ハンガー(物干しでも代用OK)
  • アイロン、アイロン台、霧吹き、あて布

【下準備】
※窓を開けて換気します。ベンジンは揮発性で刺激が有るので、作業中や乾燥中は換気を必ず行います。

※ベンジンは引火性のため、火事の危険があります。ストーブ・ライター等の火器類の使用はすべて中止します。

※襟元の型崩れを防ぐため、安全ピン等で仮止めをするか、ざっくりと縫い止めておくことをおすすめします。


 

シミ抜きの手順

  1. 汚れても良いタオルを広げて、着物のシミがある部分を上に置きます。
  2. 柔らかい布にベンジンをたっぷり染み込ませます。
  3. シミを柔らかい布で軽く叩いて、油性の汚れを溶かしていきます。
  4. タオルや布に汚れが移るので、少しずつ動かしながらキレイな面が当たるようにして作業を続けます。
  5. 汚れが落ちたら、もう一度ベンジンで布を濡らしてからシミの周辺を叩いて「ぼかし」を入れます。
  6. シミがあった部分に冷水をかけて濡らします。
  7. 洗面器等の容器に水を少し入れて、中性洗剤を加えてから溶かして薄めておきます。
  8. 薄めた洗剤液をシミがある部分に付けて、指でよくなじませます。ゴシゴシこすり合わせないようにしましょう。
  9. 汚れが落ちたら、水でよくすすぎ、状態をチェックします。
  10. 1仕上げ洗いを行います。バスタブや洗面ボウルに水を入れて、中性洗剤を適量溶かします。使用量は製品パッケージ裏の説明書に書いてある「手洗い」の量を参考にしましょう。
  11. 着物を本畳みしてからネットに入れます。
  12. 着物をネットごと、水に全体的に漬け込みます。両手で優しく押して、全体を押し洗いしましょう。
  13. 水を2~3回入れ替えて、すすぎを行います。
  14. ネットのままで洗濯機に入れて、30秒程度軽く脱水させます。型崩れが不安な場合には省略してもOK。シワの原因になるので、長時間の脱水は避けましょう。
  15. バスタオル2枚で着物を挟んで優しく叩き、水分をザッと吸い取ります。
  16. 専用ハンガー(または物干し)に着物をかけて、形をよく整え、直射日光を避けた風通しの良い場所で自然乾燥させます。
  17. シミの状態をよく確認してから、アイロンでシワをよく伸ばし、形を整えて仕上げます。

【注意点】
※シミ抜き・洗濯にお湯は使わないようにしましょう。カフェオレの牛乳に含まれるタンパク質成分が凝固して、取れない汚れになります。

※ベンジンを含ませた布で強く擦ったり叩いたりはしないでください。表面が白っぽく色落ちして毛羽立つ「スレ」が起こると、元に戻せなくなります。

※シミ抜き・乾燥後には、状態をよく確認しましょう。万一シミ・汚れが残った場合には、その部分へのアイロンがけはNG。高温でシミが定着してしまいます。それ以上の自己処理は中止して、早めに専門店に相談します。

着物のカフェオレ汚れは「ドライクリーニング」では落ちない?

着物に付いたカフェオレのシミはベースが水性汚れなので、石油系溶剤を使う一般的なドライクリーニング(着物丸洗い)では汚れを落とすことができません。

カフェオレの汚れを落とすには、職人よる手作業音「シミ抜き」を行うか、程度によっては「洗い張り」等の作業が必要になります。

一般的なクリーニングのお店(洋服クリーニングのお店)だと、「着物の水性シミは落とせない」とお断りされてしまう可能性も考えられます。この場合には、悉皆屋(しっかいや:着物のシミ抜きやお手入れの専門店)や、着物専門のクリーニング業者等に相談をしましょう。

おわりに

カフェオレに含まれるコーヒーの色素は繊維を染める力がとても強く、放っておくとドンドン着物に定着してしまいます。時間が経ってしまった場合、シミ抜きだけでは色が取れず、専門の職人による漂白や染め直し等の作業が必要となることもあるのです。

自分でシミ抜きする場合でも、お店に持ち込む場合でも、できるだけ早く対処をすることが大切!「カフェオレのシミを付けたけど、どうしていいかわからない…」という時には、悉皆屋である当店『きもの創夢』ももちろんシミ抜き等の対応を受け付けていますので、お気軽にご相談ください。

他店で断られたシミ承ります!

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