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シミの対処方法

着物にジュースのシミをつけたら?応急処置・しみ抜きのQ&A

オレンジのシミ

オレンジジュースやぶどうジュースや果汁のシミを着物につけてしまった……お酒を飲まない方はもちろん、七五三や卒園式等のお子様が多いイベントでは、このような「着物にジュース・果汁のシミが付いた」というトラブルが多いものです。

Tシャツやトレーナーと行った一般的な洋服でしたら、ジュースのシミはすぐに洗えばそこまで怖いものではありませんね。しかし着物の場合ですと、ジュース・果汁のシミは対処が難しい存在になります。

着物にジュースや果汁のシミが付いた場合にどのような応急処置やシミ抜きの対処をしたら良いのか?

坂根克之
坂根克之
こんにちは。着物関係一筋50年 京都きものサロン創夢(そうむ) 坂根克之です。ここでは代表的な疑問にお答えするQ&Aをご紹介していきます。

着物の応急処置に濡らしたタオルを使って良い?

濡れタオルを使う前に、その着物が「水洗いできるかどうか」を確認しましょう。着物にジュースのシミが付いた場合、水洗い不可の着物だと、応急処置に濡らしたタオルを使わない方が良いこともあります。

水洗いOKの着物の場合

  • ポリエステル着物
  • ウォッシャブルウールの着物 等

濡らしてから固く絞ったタオルは使ってもOKです。軽くトントンと叩くようにして、汚れを優しく取り除きます。その後は別の乾いたタオルで軽く叩いて、水分を取り除きます。

水洗いNGの着物の場合

  • 正絹(シルク)の着物
  • 先染め織物の着物
  • 天然染色製品の着物 等

水分をそれ以上含ませず、乾いたタオルやハンカチでシミの汚れを吸い取るだけにしましょう。正絹着物等の場合、水を含ませることで濡れた範囲が広がって生地の収縮が余計に激しくなり、後からのしみ抜きが大変になってしまうことがあります。

ジュースのシミの応急処置におしぼりは使える?

応急処置に飲食店の「おしぼり」は使用しない方が良いです。「おしぼり」が紙製でも布製でも同じです。

着物に果汁やジュースのシミが付いた時、つい「ハンカチやタオルが汚れてしまうから」と手近にあるおしぼりを選ぼうとする人が多いですが、おすすめできません。

おしぼりには、殺菌のための洗浄剤や香料等が意外と多く使われています。ジュースのシミの応急手当のためにおしぼりを使うと、これらの洗浄剤や香料が着物の布地にうつってしまい、別のシミや変色を作る恐れがあります。

ジュースのシミの応急処置には、色の薄いタオルやハンカチ、手ぬぐい等を使うようにしましょう。

応急処置でシミの色が取り切れないのですが?

ぶどうジュース等の色素が多いシミの場合、「外出先の応急処置だけでは色を目立たなくさせられない」と考えたほうが良いです。

シミの色を取ろうとしてムリに応急処置を続けると、次のような二次被害が起こりやすくなります。

  • 水濡れによる激しい収縮
  • 布地の毛羽立ち
  • 色ハゲ(染料のハゲ)

二次被害の症状が酷いほど、専門店でのしみ抜きやケアの料金も高額になってしまいます。また最悪の場合、専門店でも着物を元に戻せなくなる可能性が出てきます。

ムリに応急処置を続けるのではなく、外出先ではショール等でシミを隠すと行った対処法を取っておくことをおすすめします。

シミの色が見えなくなれば「しみ抜き」は不要?

着物にジュースや果汁のシミが付いた場合には「しみ抜き」は絶対に必要です。応急処置だけで済ませて着物を保管してしまうと、時間が経ってから次のようなトラブルが起こります。

  • 変色ジミ:ジュースの果汁成分が少しずつ布地に定着して繊維を染めてしまい、成分が酸化して変色したシミになる
  • カビの発生:ジュース・果汁の栄養価の高い成分がカビ菌の餌となり、白カビ・青カビ・黒カビ等を生やす温床となる

必ずご自分でしみ抜きをするか、専門店にしみ抜きを依頼しましょう。

着物のジュースのシミは自分でしみ抜きできる?

着物についたジュース・果汁のシミを家でしみ抜きできるかどうかは「水洗いの可・不可」で決まります。

水洗いOKの着物の場合

  • ポリエステル着物
  • ウォッシャブルウールの着物 等

付いたばかりのジュース・果汁のシミであれば、洗濯用の中性洗剤を使ったしみ抜きがご自宅でできます。

用意するもの

  • 中性洗剤(おしゃれ着洗い。エマール、アクロン等)
  • 洗濯用ネット(着物を畳んで入れられるサイズ)
  • 柔軟剤
  • 洗面器または浴槽、洗面所ボウル等
  • アイロン(スチームアイロンはNG)
  • 着物専用ハンガーまたは物干し竿

※自分でシミ抜きができるのは「付いたばかりのジュースのシミ」までです。数日以上が経過して乾いたシミ、いつ付いたかわからないシミはご自宅ではしみ抜きできません。
※染料によっては、洗濯用の中性洗剤でも色落ち・変色が起きる可能性はあります。事前に目立たない箇所でテストを行っておくことをおすすめします。
※刺繍・金箔等の箔押し・ビーズ・レース等、特殊加工のある部分のしみ抜きや水洗いはできません。

しみ抜きの方法

  1. 洗面器等に水をはってから、中性タイプの洗濯用洗剤を適量入れます。(使用量は製品説明書を参照しましょう)
  2. 着物をシミがある部分を表に出して畳み、全体的に水にひたします。
  3. 上から両手で軽く押すようにして、優しく押し洗いをします。
  4. シミがある部分には、少量の洗剤原液をつけて、ごく優しく振り洗いをします。強くこすらないようにしましょう。
  5. 水を取り替えて、2回すすぎます。
  6. 洗面器にもう一度水を入れて、柔軟剤を適量入れます。
  7. 柔軟剤が入った水に着物を全体的に浸します。
  8. 着物を畳んだ状態でネットに入れて、洗濯機で40秒~1分程度脱水します。
  9. 着物を専用ハンガーまたは物干し竿にかけて、陰干しで半乾きまで乾かします。
  10. アイロンで仕上げます。
  11. もう一度陰干しをして、完全に乾燥させます。

水洗いNGの着物の場合

  • 正絹(シルク)の着物
  • 先染め織物の着物
  • 伝統工芸品の着物
  • 天然染料を使った着物 等

自宅で水洗いができない着物については、残念ながらジュース・果汁のしみ抜きは自分で行うことができません。

ジュース・果汁のシミは、水に溶ける「水溶性の汚れ」です。そのため、しみ抜きには必ず「水」を使う必要があります。

ところが正絹等の着物の場合、水を使うと大幅に縮んでしまいます。やり方によっては、色が変色することもあります。

専門技術を持っている職人さん等でないと、しみ抜きをしようとして着物自体をダメにしてしまうのです。水洗いができない着物にジュースや果汁のシミが付いた時には、できるだけ早く専門店に相談をしましょう。

着物のジュースのシミを取るお店はどう選ぶの?

着物にジュースや果汁のシミが付いてしまった場合は、次のような専門店にしみ抜きを依頼します。

  1. 着物のクリーニングやお手入れを専門に扱う店(洋服クリーニングも行う店はおすすめしません)
  2. 職人による「手作業のしみ抜き」ができる店
  3. 「洗い張り(あらいはり)」という水洗いによる着物の洗濯に対応できる店

着物についたジュースや果汁のシミは、一般的なドライクリーニングである「丸洗い(きもの丸洗い)」では落ちません。手作業でのしみ抜きや、洗い張り等、水溶性の汚れをキチンと落とせるお店を選ぶことが大切です。

おわりに

着物についたジュース・果汁のシミは、時間が経つほど「取れないシミ」になっていきます。これは自分でしみ抜きする場合でも、専門店でも同じです!

早めに専門店に相談すれば、着物のしみ抜き等の料金を抑えることにも繋がります。「色が目立たないから」等と対処を後回しにせずに、早めにお店に相談しましょう。

他店で断られたシミ承ります!

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