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シミの対処方法

着物の母乳のシミを防止!予防対策と応急処置

着物の母乳のシミ

母乳が出るときに着物を着ると、長襦袢や着物に母乳のシミが付いてしまうのでは……?と心配ですよね。でもお宮参りやお正月、また結婚式等のハレの日に着物をお召しになりたいお母様も多いことでしょう。

今回は着物に母乳のシミを付けないための予防策や、出先で着物に母乳が付いた時の応急処置、その後のシミ抜きについて等を解説していきます。「大切な日に着物を着ようか?どうしよう?」と悩んでいる人はぜひご一読ください!

着物の母乳シミを付けない!6つの予防対策

まず最初に、着物の母乳シミは付いてしまうとかなり手強いシミです。着物の母乳シミの対策では「着物にシミを付けないための予防策」を徹底的に取る必要があります。多少の手間とコストがかかりますが、ぜひ「シミが付いた場合の方が大変」と考えて、できるだけの対策を取ることをおすすめします。

1.母乳パッドが入りやすい和装ブラを準備

普段からお使いの母乳パッドは必須となります。ただ着物を着る場合ですと、日常の装いとは違ってワイヤー等が入った洋装向けのブラジャーは使えません。和装向けのブラを肌襦袢の下に身につけることになります。

和装ブラは母乳パッドや、後述するおむつ等が入りやすく固定をしやすいものを選びましょう。いくら分厚いパッドを付けても、ズレてしまったらまったく意味がなくなります。適度なフィット感があり、帯等で締め付けてもズレにくいものを慎重に選んでください。

2.ナプキンかおむつも重ねる

礼装用の着物の着用中には、残念ながら授乳をすることはできません。そのため胸が張る方の場合、通常の母乳パッドだけでは吸収力が足らず、長襦袢等に染み出してしまうことになります。

母乳パッドの上から生理用のナプキンやおむつ等を重ねて、吸収力を上げましょう。ただ多少ゴワゴワしますし、母乳パッドに比べると肌荒れは起こしやすいです。敏感肌の方、アレルギー系の皮膚炎等をお持ちの方はご注意ください。

3.着付け直前の授乳または搾乳

搾乳または授乳は、着付けの直前に行いましょう。できるだけ直前に搾乳しておくことで、胸が張ってくるまでの時間を長くします。

4.着付けの際には「授乳中」と相談を

着付け師の方には、現在まだ母乳が出る状態であることを必ず申し添えて相談をしましょう。経験豊富なプロならば、帯を少しゆるめにする等、胸が張っても苦しくないような着付けを意識してくれます。ただ、それでも「胸が苦しい」と感じる方は多いようです。

5.着物着用は最大4時間!スケジュールを工夫

ここまで様々な着物の母乳シミ対策をしても「着物を問題なく着ていられるのは3時間~4時間が限度だった」という方が多いです。

できる限りスケジュールを工夫して、着物の着用時間を3~4時間に抑えることをおすすめします。

着付けは式典の直前に

昼からの式なのに、着付けは朝の9時…このようなスケジュールは残念ながら難しいです。早めに気付けの予約を取って、できるだけギリギリに着物を着るようにしましょう。

式典と撮影をまとめる

お宮参り等の場合、最近ではお参りと撮影をセットにしている神社も多くあります。着物の装いが必要となりそうなイベントを3時間以内にまとめて、お食事回等は後回しにするスケジュールが無難です。

途中で洋服に着替える

神社や結婚式場には着替え・靴等も持参し、途中で着替える方も多いです。例えば結婚式ならばお式までが着物で披露宴は洋服、お宮参りならばお参りは着物で食事会は洋服で…といった具合ですね。

結婚式場や披露宴会場、神社等でゆとりを持って着替えができるスペースがあるかどうか、よく確認しておくことも大切です。

6.撥水加工で被害を小さく

ここまで工夫をしても、胸が張る方の場合には急に母乳が染み出してしまった……というトラブルが起こる可能性は否定できません。

万一の事態を考えて、着物にあらかじめ撥水加工(はっすい・かこう)・ガード加工を施すのも手です。水を弾きやすい加工を施しておくことで、濡れた場合のシミ抜き等を行いやすくします。

着物に母乳シミが付いた時の応急処置

では、実際に出先で母乳を着物にこぼしてしまった時にはどのように応急処置をしたら良いのでしょうか。

お湯を絶対に使わない!

母乳はタンパク質を多く含むシミです。タンパク質は熱を加えると凝固し、着物の繊維にこびりついて取れにくいシミになります。出先での応急処置の際には、熱いお湯はもちろんのこと、ぬるま湯を使うのも避けた方が良いでしょう。

「おしぼり」「ウェットティッシュ」もNG

着物の母乳の汚れには、飲食店で出てくる「おしぼり」や、除菌用のウェットティッシュ等もシミ抜きに向きません。おしぼりやウェットティッシュに含まれるアルコールなどの除菌成分や香料が、デリケートな着物の繊維を傷める原因となることがあるためです。

乾いたハンカチ・絞ったタオルで応急処置

着物に母乳が付いた時には、次のような手順で最低限の応急処置を行います。

用意するもの

  • ハンカチ 2~3枚
  • タオル

※ガーゼ素材等、柔らかいものが望ましいです。
※できるだけ白または薄い色のものを持参しておくと安心です。

応急処置の手順

  1. 濡れた部分に乾いたハンカチを優しくあてて、まずは水分を吸い取ります。水分量が多い場合、ティッシュペーパーを使ってもOK。ただしゴシゴシとこすらないように気をつけましょう。
  2. タオルを水で濡らしてからできるだけ固く絞り、シミが付いた部分をトントンと軽く叩いておきます。
  3. 乾いたタオルまたはハンカチで、2.で与えた水分を吸い取るように軽く叩いて仕上げます。

※タオルはしっかりと固く絞りましょう。水分が多すぎると、特に正絹着物のウォータースポット(水シミ・水滴シミ)ができる原因になります。
※母乳シミは応急処置で完全には落ちません。無理にこすったり何度も叩かず、目立たなくなった程度で処置を終えましょう。

着物の母乳のシミは自分でシミ抜きできる?

着物のシミは、種類によってはご自宅でシミ抜きのお手入れができるものもあります。しかし残念ながら、母乳のシミについては自分でのシミ抜きができません。

これは母乳のシミが「水分」「乳脂肪分(油脂)」「タンパク質」という3つの構造を持つ、とても落としにくいシミであるためです。カンタンに言えば、多少の水や油(ベンジン等)だけでは汚れが落としきれない上に、タンパク質がいつまでも繊維に残る厄介なシミというわけですね。

応急処置だけでシミを放置すると、時間が経つごとにタンパク質が変性して黄色っぽい変色ジミに変化します。母乳のシミや黄変や酸化ジミ・カビ・虫害等の原因にもなりやすいです。

母乳のシミを付けてしまったら、できるだけ早くプロの手でシミ抜きやお手入れをしてもらう必要があります。

着物に母乳のシミが付いたら「着物のお手入れ専門店」へ

長襦袢母乳のシミ長襦袢の母乳シミ【ビフォー】
長襦袢 母乳のシミ取り長襦袢の母乳シミ【アフター】

着物についた母乳のシミは、一般的な着物のクリーニング方法である「きもの丸洗い」だけでは落とすことができません。着物丸洗いはカンタンに言えば「洗濯機洗い」なのですが、母乳のシミを落とすには職人の手作業による汚れ落としが必要となります。

  • 汚れの範囲が小さい、シミの程度が浅い → シミ抜き(手作業で部分的に汚れを抜いていく方法)
  • 汚れの範囲が大きい、シミの染み込み方が激しい → 洗い張り(着物を一旦ほどいて、水洗いをする方法)

このような「着物のシミ抜き」や「洗い張り」等のメニューは、「着物対応OK」としているクリーニング店でも扱っていないことが多いです。母乳のシミを着物に付けた場合には、次のような専門的なお店に相談しましょう。

  • 悉皆屋(しっかいや):昔からある着物のお手入れ専門業者です。今で言うクリーニングやシミ抜き、仕立直し等にも幅広く対応します。
  • 着物を購入した店舗:購入した呉服店が仲介して、悉皆屋に着物を渡してくれます。ただし購入点を挟む場合、仲介手数料(マージン)等でシミ抜き料金が高くなることもありますので注意しましょう。

おわりに

着物の母乳シミ対策では、上でも案内したとおり「とにかく予防を徹底する」ということがとても重要です。また万一少しでもシミが付いてしまった場合、着物が臭いや変色等を起こしやすくなるので、できるだけ早く悉皆屋等の専門店に相談しましょう。

持ち込むのが早ければ早いほど、着物の母乳シミを落とす難易度も下がりますし、シミ抜きの料金を抑える要素にもなりますよ。

他店で断られたシミ承ります!

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