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長襦袢を洗濯してみよう!簡単6ステップ

長襦袢

着物の中に着る長襦袢には、少し着用するだけでたくさんの汗汚れが付いています。長襦袢を自分で洗濯して、スッキリとさせてみませんか?

坂根克之
坂根克之
こんにちは。着物関係一筋50年 京都きものサロン創夢(そうむ) 坂根克之です。ここでは長襦袢のお洗濯やお手入れの方法や注意点を詳しく解説していきます。

まずは素材を確認

長襦袢の洗濯をする前に、まずは長襦袢の素材の確認を。長襦袢にはポリエステル等の気軽な化繊素材や、正絹(シルク)などのデリケートな素材があります。素材によって長襦袢の洗濯の難易度が変わるので、注意が必要です。

化学繊維の長襦袢(ポリエステル等)
基本的に丈夫で縮みにくいです。中には洗濯機で洗える長襦袢や、アイロン不要でシワが取れる長襦袢もあります。普段によく使うなら化学繊維の長襦袢がおすすめです。東レ「シルック(R)」のような、一見すると絹のような風合いなのに水洗いが簡単にできる素材もあります。

正絹(シルク)の長襦袢、シルク混紡の長襦袢
シルク(絹)は水を通すことでかなり縮みます。アイロンで強く引っ張って元に戻す作業が必須です。初めての方には難易度が高く、失敗しやすい長襦袢です。古い長襦袢等で練習することをおすすめします。

事前の注意点
次のような長襦袢は特に洗濯で縮んで失敗しやすかったり、失敗が目立ちやすいです。

  • 正絹(シルク100%)
  • 水を通したことがない長襦袢(初洗濯)
  • 素材がまったくわからない
  • 礼装用の長襦袢(振袖用、留袖用等。着物のサイズぴったりに仕立ててあるため、縮むとズレが目立ってしまう)

フォーマル着物の長襦袢はご自宅での洗濯をしない方が良いです。特にシボのある長襦袢はご自宅で洗濯しないでください。

長襦袢用の洗濯グッズを準備

次に長襦袢の洗濯に必要なグッズを揃えましょう。

  • 液体タイプの中性洗濯洗剤(エマールやアクロン等)
  • 柔軟剤(無香料のタイプが理想的)
  • 洗濯用ネット(畳んだ長襦袢が平らに入るサイズ)
  • バスタオル2枚
  • アイロン、アイロン台
  • 着物用ハンガー(物干しでも代用できます。洋服用ハンガーは型崩れの原因になるのでNGです。)

※スチーマー、スチームアイロンはNG!※
長襦袢の洗濯では、水に通して縮んだ素材をアイロンで引っ張って戻す作業が必要です。衣類の吊るして蒸気を当てるタイプのスチームアイロン、スチーマーでは縮みを元に戻せないのでNGです!アイロン台と組み合わせ、押しながら伸ばすタイプの「アイロン」をご利用ください。
※酵素洗剤や漂白剤は使えません※
酵素入り等の弱アルカリ性洗剤、漂白剤等は縮みや変質・変色の原因となるため使用できません。

長襦袢の半襟を外す

長襦袢の洗濯時に半襟をつけっぱなしだと、半襟の形が大幅に崩れてしまいます。半襟の縫い目をほどいて外します。半襟は別にして洗ってください。次回着用時には半襟を改めて付け直すことになります。

※クリーニングでは半襟は付けたままでOK※
長襦袢をクリーニングに出す場合には、半襟ごとクリーニングできるお店が多いです。半衿を外したり縫い付ける手間を省きたい方にはおすすめです。ただお店によって対処が違うことがあるので、事前に店舗に確認しておきましょう。

長襦袢を洗う

では長襦袢を洗っていきましょう。ここからアイロンまでは一気に行うので、時間に余裕を見てくださいね。

  1. 長襦袢の汚れをチェックします。通常は少ないですが、万一油性の汚れ(食べ零し等)が付いている場合には、事前にベンジンでのシミ抜きをしておきましょう。
  2. バスタブや洗面ボウルに水を入れて、中性タイプの液体洗剤を適量入れてよく溶かします。使用量は製品パッケージの裏側に書いてある「手洗いの場合の使用量」を参照してください。
  3. 長襦袢を畳みます。汚れが気になる部分があったら、その面を表に出すようにして畳みましょう。
  4. 畳んだ長襦袢を洗剤液に漬けます。両手で優しく上から押して、全体を押し洗いします。
  5. 汚れが気になる部分は、洗剤をほんの少し原液で漬けてから指でなじませ、振り洗いして「部分洗い」をしておきます。
  6. 水を取り替えて「すすぎ」を行います。この場合も両手で上から優しく押してください。ギュッと絞らないようにしましょう。
  7. 2回目のすすぎで柔軟剤を少量入れて溶かし、全体によくなじませます。その後、真水でよく濯ぎます。
  8. 洗濯ネットに長襦袢を入れて、洗濯機の脱水機能で30秒程度脱水します。(1分を超えるような脱水はシワの元になるので厳禁です)
  9. バスタオル2枚で長襦袢をはさみ、ポンポンと叩くようにして水分を取ります。

長襦袢にアイロンをかける

長襦袢を洗ったら、水気が残っているうちにアイロンをかけて縮んだ生地を元に戻していきましょう。長襦袢が乾いてからだと繊維の状態が固まってしまい、縮みが元に戻らなくなります。

※ポリエステル長襦袢等の場合、アイロンフリーでシワ取りができるものもあります。このような製品の場合、アイロンがかけられないことがあります。詳しくは製品の洗濯表示をご確認ください。

  1. アイロンは低音に設定しておきます。
  2. 濡れた状態の長襦袢を広げます。
  3. 長襦袢の生地を強めに引っ張りながらアイロンをかけていきます。
  4. 慣れないうちは完全にアイロンをかけきらず、半乾き程度までで仕上げます。

長襦袢を乾かす

アイロンで半乾き・生乾き程度にまで仕上げたら、あとは自然乾燥をさせましょう。

  1. 乾燥させる場所は屋内でも屋外でもOK。ただしどちらの場合も、直射日光に当てないことが大切です。日光にあたると色褪せが起きやすく、特に赤色系の色が激しく褪色します。
  2. 着物専用のハンガーに長襦袢をかけます。ずれたままで乾かすとその形で固まってしまうので、よく形を整えてください。シワが気になる場合はもう一度アイロンをやり直します。
  3. しっかりと乾燥させます。室内乾燥の場合、エアコン・扇風機等で風を送って乾かしてもOK。特に長期保管の前にはしっかりと湿気を飛ばしましょう。

長襦袢の洗濯ができない・心配な場合には

  • 正絹(シルク100%)の長襦袢を縮ませたくない
  • 半衿の外し方・付け方がよくわからない
  • アイロンがけの自信が無い
  • フォーマル向け長襦袢なので大切にしたい
  • 長襦袢に取れないシミがある

上のような場合には、無理にご自宅でお洗濯をせず、長襦袢をクリーニングに出しましょう。

汗抜きクリーニングがオススメ

長襦袢は、着物の中でムレてかいた「汗」をたくさん吸い込んでいます。汗は「水溶性の汚れ」なので、石油系溶剤を使う一般的なドライクリーニングだけでは汚れが落ちきりません。

長襦袢をクリーニングする場合には、汗の汚れもスッキリと落とせる「汗抜きクリーニング」等を選ぶことをオススメします。

長襦袢の黄色・茶色のシミは落とせません

長襦袢に黄色~薄茶色のシミや黄ばみがある…そのシミ、ワキや背中などんに集中していませんか?それは「黄変」かもしれません。

汗の汚れが残ったままで時間が経つと、汚れが少しずつ酸化して「黄ばみ」となり、徐々に濃い茶色に変化していきます。残念ながら、長襦袢の黄変はプロでもお直しすることができません。

黄変を抜くには熟練の職人による丁寧な漂白作業が必要なのですが、襦袢は生地が薄いため、プロの手でも漂白等に耐えられずに傷んでしまいます。専門店でも「長襦袢の古いシミはお断り」となってしまうのは、このような理由です。

早め早めに自分での洗濯やクリーニングで汗の成分を取って、黄変シミができないように予防しましょう。

おわりに

長襦袢の洗濯やお手入れは、慣れてくると段々コツがわかってきます。最初は中古の長襦袢等で練習を積んでみるのが良いですよ。着物ライフを楽しみたい方は、ぜひ慣れておくことをおすすめします!

なお「普段は着物を着ないしわからない」という方は、どんどんプロにまかせましょう。当店『きもの創夢』でも長襦袢クリーニングをお受けしています。「これが古いシミなのかわからない」といったご相談も、ぜひお気軽にお尋ねください。

妥協しない予洗いの工程!

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