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お宮参り着物での授乳対策は?よくある疑問をプロが解説

授乳

お宮参りは赤ちゃんとお母さんの初めての大きなイベントであり、また着物を楽しむのにピッタリの機会でもあります。ただお宮参りの場合、授乳対策をどうしたら良いのかが気になりますよね。

ここではお宮参りに着物で行く場合の授乳対策について、プロが詳しく解説をしていきます。

着物のまま授乳は「上級者向け」

まず最初に、お宮参りの着物(訪問着とか礼装ですね)で授乳ができるのは「ものすごく着物に慣れている人」だけと考えた方が良いです。「私は着物で授乳できました!」というブログやSNSでの情報も拝見しますが、実際のところ、普段から着物を着ている人がほとんどなんですよね。

着物を普段から着ない人、着ても小紋とか浴衣くらいまでで、礼装を自分で着付けしたことない人には「お宮参りで着物のまま授乳」にいきなり挑戦するのは、残念ながらおすすめできません。理由は二つ挙げられます。

大きく衣紋を抜くので着崩れる

着物のままで授乳をするには、大きく襟を開けるか、身八つ口を使うことになりますが、いずれにしても大幅に衣紋を抜いた着付け方になります。普段着着物であればともかく、礼装にはとても不向きな着付けと言わざるを得ません。簡単にいうと着方がルーズすぎるんですよね。ちょっと動いただけでも着崩れてしまうと考えた方が良いです。

後から自分で「直し」がキッチリできる人なら良いのですが、慣れないお直しだと、確実にすぐにまた着崩れます。せっかくの写真撮影やイベント中に着崩れた着物では、もったいないですよね。

「礼装の着崩れ直し」は難しい

着物の着崩れをフォーマルのレベルで治すのがどれだけ難しいか?という例として、女性が結婚式に行く時のアップスタイルを挙げて見ます。結婚式参列レベルのフォーマルなヘアセットって結構技術レベルが高いですよね。そして、一度グズグズに崩れてしまうと、それを治すのは至難の業です。

普段の格好であればザッと髪を直すだけで良いと思いますが、記念撮影やパーティーだとしたら、途方に暮れる人が多いことでしょう。美容師レベルの技術があり、髪をまとめるのが上手な人ならば「崩れやすいアップスタイル」に挑戦するかもしれませんが、一般レベルであれば「長持ちするヘアスタイル」を選ぶのではないでしょうか。

これと同じで、着物が一旦着崩れてしまった場合、それを「記念撮影レベル」「フォーマルに出て恥ずかしくないレベル」に直すには、それなりに高い技術が求められます。簡単にいうと自分でフォーマル着物がキッチリと着付けられる以上の技術が必要、と考えた方が良いです。

授乳で着崩れたら直してもらえる?

写真館などでの記念撮影の場合、アシスタントさんが多少の着崩れまでは直しをしてくれます。ただし、これも限度があります。激しい着崩れが起きてしまっている場合、小手先の着崩れでは治せなくて、もう一度着付けをしなくてはならないケースがあります。(特に初めての方が授乳のために大きく腕や胸周辺を動かし、グズグズになってしまっているケースだと、最初から着付けてしまうしか方法がなくなります)

万一の際着付けになった場合、着付けは一回ごとに料金がかかります。礼装着物の場合、最低でも着付けだけで30分以上の時間がかかります。最悪の場合、写真撮影が一度キャンセルになったり、追加での着付け料金が発生してしまうことになります。

無理に「着物での授乳」を考えるより、着付けのギリギリ直前に授乳をして、そこからはパッドなどでしのぐ方法と、着物を着る時間の短縮を考えた方が無難で現実的です。

着物に母乳パッドで間に合う?

お宮参り中の授乳については、「着付けのギリギリ直前に授乳」をして、そこからは「パッドなどでしのぐ」というのが一般的です。(上でも述べた通り着物のまま授乳ができるのは「すごく上手に自分で着物を直せる」か、「無料で再度着付けをしてくれる人と時間がある」といった特例の場合だけです) そのため、母乳パッドの安全性について考えていきます。

パッドだけだと不安が大きい

母乳パッドを当てておくだけで着物を脱ぐまで間に合うかどうか?という点は、正直なところ個人差が大きいです。「全く大丈夫だった」という人もいれば、間に合わずに着物を母乳で汚してしまい、当店に相談をされるケースもたくさんあります。アクシデントなどで着物を着替えるまでに時間がかかってしまうケースもありますから、母乳パッドだけに頼らず、できるだけの対策はしておきたいところですよね。

おむつや生理用ナプキンでカバーを

お宮参りに着物を着た方からは、「万一のために、おむつを胸に当てておいた」「大きい生理用のナプキンを使った」といったアイデアも見られます。特に新生児用おむつは母乳パッドに比べて大きく吸収力が強いため、和装ブラと組み合わせて使用するのがお勧めです。

「イベント終了 → 即着替え」がベスト

お宮参りでの着物の授乳対策としては、着物を着る時間をできるだけ短くする対策を取るのが最も有効と言えます。カンタンにいうと洋服の着替えを持っていく方法です。着替えのタイミングは3つ挙げられます。

撮影終了後にすぐ着替える

記念撮影を1日の最初に持ってきて、撮影終了後にすぐに洋装に切り替える方法です。「撮影だけ和装」であれば、着物の着用時間は30分~1時間程度で済みます。(ロケ撮影の場合には2時間程度かかることもあります)母乳で胸が張りやすい人等にお勧めの方法です。和装でも洋装でも馴染みやすいヘアセットにしておくのがポイントといえます。

礼拝が終わったら着替える

神社(または寺院)での礼拝が終わってから着替えるパターンです。大きい神社や寺院だと、参列者の着替え用のコーナーが用意されている場合があり、「イベント後の即着替え」が行えます。着替えや室内での授乳が可能かどうかは、神社・寺院に問い合わせてみましょう。なお着物の場合、トイレ等での着替えはできません。下に引きずって着物を汚します。汚れ防止の敷物を敷ける、ある程度の広さが必要です。

食事会終了後に着替える

撮影 → 礼拝 → 食事会終了後の着替えタイミングです。大きなホテルなどでの食事会であれば、宿泊以外の利用者向けの更衣室(フィッティングルーム)が準備されていることが多いです。そのような設備が併設されているホテルを選ぶと良いでしょう。ただし着付けから着替え・授乳までに数時間以上の時間がかかるため、あまりお勧めはできません。

もし着物を母乳で汚したら?

お宮参りに着る着物(フォーマル用の着物、訪問着など)は、ご家庭では洗えない生地(正絹・シルク100%)でできていることがほとんどです。母乳がついてしまった場合、ご家庭でのシミ抜き処理はできません。できるだけ速やかに専門店に相談しましょう。

なお母乳のシミは、一般的な着物クリーニングである「丸洗い(ドライクリーニング)」では落とすことができません。着物シミ抜き専門の職人さんによる「シミ抜き」が必要になります。洋服メインのクリーニング店に持ち込むと、着物は「丸洗い」しか受け付けていないことも。丸洗いに出して見た目に目立たなくなっても、シミ抜きをしていないと汚れが残っていて、あとから変色やカビ等のトラブルが起きることがあります。(このトラブルは結構多いので注意が必要です

着物専門のクリーニング店か、悉皆屋(しっかいや:着物のリペア全般の専門店です)に早めに持ち込んで、キチンとシミ抜きをした方が確実です。

母乳シミは「スピード」が命!

母乳血液と同じく、タンパク質の多い非常に取れにくいシミです。また万一、母乳シミを放置すると、数ヶ月程度でカビ・変色といった甚大なトラブルになってしまいます。こうなると、より高度なシミ抜きが必要になって無駄にお金がかかったり、最悪の場合には染め替えなどが必要になってしまうこともあります。「拭いたら色が目立たなくなったから」と安易に考えず、できるだけ早くお店に相談をしましょう。

おわりに

お宮参りの授乳については、「昔はやっていた」という理由で安易に着物のままの授乳をすすめてしまっている方が少なくありません。しかし、着物が普段着であり周囲の皆様も着物に慣れていた昭和の時代と、現代は違います。着物を着るのが成人式や結婚式以来・・・という人も少なくないわけで、気軽に「授乳ができる」「着崩れても直せばいい」と言うのは大問題ではないでしょうか。

またお宮参りの着物を母乳で汚してしまい、どこに相談をすれば良いのかわからないままに変色をさせてしまったケースも多く見られます。当店「きものサロン創夢」では、着物についた母乳シミなどのシミ抜きのご相談も受け付けております。全国宅配対応も行っていますので、お近くに専門店がなくお困りの際にはぜひお気軽にご相談くださいませ。

他店で断られたシミ承ります!

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