1. HOME
  2. ブログ
  3. シミの対処方法
  4. 着物の水・炭酸水のシミ…やってはいけない5つの対処法とは?

ブログ

BLOG カテゴリー

シミの対処方法

着物の水・炭酸水のシミ…やってはいけない5つの対処法とは?

ふだん着ている洋服のとき、水や炭酸水等でシミができてもそこまで慌てる人は少ないことでしょう。汚れがつくわけではないですし、乾けば元通りになりますよね。

ところが正絹(シルク)等でできた着物の場合、水や炭酸水でできたシミにはきちんと対処をしないと、思ってもみなかった大きなトラブルになってしまうのです。

坂根克之
坂根克之
こんにちは。着物関係一筋50年 京都きものサロン創夢(そうむ) 坂根克之です。ここでは着物にできた水や炭酸水のシミについて、多くの人が間違いやすいポイントを紹介しながら、適切な対処法について解説していきます。

着物の水濡れに応急処置しない

グラスの底の水滴が着物に垂れた、傘の水滴が着物に飛んだ…こんな時、きちんと応急処置をしていますか?「水だから乾けば元に戻る」と、応急処置をサボってはいないでしょうか。

これは厳禁!正絹(シルク)等の水濡れに弱い着物は、ほんの少しの水濡れでもトラブルになることがあるのです。

【水シミ・ウォータースポットとは?】
正絹(シルク)等の水濡れに弱い素材は、濡れるとその部分だけが縮んでしまいます。乾いても完全に収縮が戻らず、屈折率がその他の部分と変わっることも。するとその部分だけが色が濃くなったように見えて「シミ」のような状態になってしまうのです。

これはウォータースポット(水滴シミ)等と呼ばれることもあります。

【染料の流れ出し・にじみが起きることも】
着物の種類や染料によっては、多量の水で濡れると染料が浮き上がって、外へと流れ出してしまうことがあります。濡れた部分の輪郭に染料が溜まって「輪染み」になったり、柄が滲んでしまうこともあるのです。

早めの対処で被害を少なく

着物に水や炭酸水等をこぼしたりハネさせたら、必ず応急処置を。「そのまま乾かせばOK」と考えるのは絶対にやめましょう。早めに対処して水シミが広がるのを防げば、シミ抜き料金等が安く済むことにも繋がります。

着物をおしぼりで拭く

着物に水や炭酸水をこぼした時、「早く応急処置をしなくては!」と焦って、飲食店の「おしぼり」で拭いてしまう…これもよくある「良くない対処法」です。

飲食店で出されるおしぼりには、香料や除菌のためのアルコール成分、洗浄剤等が含まれています。おしぼりで着物をゴシゴシ拭いた結果、これらの成分が着物の繊維に移って、変色や色落ち等を招いてしまうこともあるのです。

同じような理由で、ウェットティッシュ等を着物の水・炭酸水シミの応急処置に使うのもおすすめできません。

ハンカチや手ぬぐいを常備

着物でお出かけをする時には、万一の時のために常にハンカチや手ぬぐい・ミニタオル等を持っておくようにしましょう。また飲食店等で拭くものを借りる時には、乾いたタオルやキッチンペーパー等を借りるようにしてください。

着物の水シミを「濡れタオル」でシミ抜き

「水シミができてしまった着物、家でシミ抜きできないかな?」と考える人は多い様子。特に「水で濡れてシミになったんだから、もう一度少し濡らせばいいのかも…」と、濡れタオル等でシミ抜きしようとするケースが見られます。

でもこれ、絶対にやってはいけません!そもそも「水シミ」は、上で解説したとおり、縮んで収縮率がおかしくなったり、染料が不安定な状態です。汚れが付いている「一般的なシミ」とは違い、繊維自体が変質しています。残念ながらご家庭のシミ抜きでは対処ができません。

さらに濡れタオル等でシミ抜きしようとすると、繊維が濡れて「水シミ」がどんどん広がっていきます。専門店でのシミ抜き料金は、一般的に「シミの大きさ」や「被害の度合い」等で決まるもの。

つまり良かれと思ってやった対処法で、専門店でのシミ抜き料金がどんどん値上がりする結果になってしまうんです。

水シミはすみやかに専門店へ

着物に水シミ・炭酸水のシミができたら、早めに着物のクリーニングを扱う専門店に相談をしましょう。自己処理はしない方が、被害を広げずに済みます。

グッショリ濡れた着物は家で乾かす?

着物にグラス一杯の炭酸水がたっぷりかかってしまった、グッショリと水で濡れてしまった…このような「大きな水シミ」ができた時、「とりあえず家で乾かそう、それから専門店に持ち込もう」と考えてしまいそうですよね。

ところがこれも「不正解」となることが多いです。着物の水シミの場合、対処はできるだけ早い方が良いと考えられます。特に被害が大きい場合、「まだ濡れている状態でも良いので、早く持ち込んでもらった方が良い!」と考えるお店がたくさんあります。

もちろん、濡れた着物を乾かすために自分でアイロンがけ等を行うのもNG。自己処理でアイロン掛けした結果、流れ出した染料がそのまま定着してしまった…といった結果になることも考えられます。

濡れがひどい場合はお店に相談

「着物に水や炭酸水をこぼして、まだグッショリ濡れている」といった時には、どのように持ち込んだらよいかを事前にお店に相談してみましょう。直接持ち込むお店であれば、「濡れたままでもOK!」となることが多いですよ。

ただ宅配便受付等のお店の場合、カビの発生等を防ぐために「一度軽く乾かしてから」となることもあります。お店の指示に従いましょう。

水シミ着物を「丸洗い」でクリーニング

「水や炭酸水で濡れた着物は自分でシミ抜きできない」と言われると、いつもの感覚で「丸洗いクリーニングに出そう」と考える人も多いのではないでしょうか。

丸洗いクリーニングとは、洋服でいうところのドライクリーニングのこと。洋服向けのクリーニング店で「着物をクリーニングする」というと、大体この「丸洗い」を指します。

ところがこの「丸洗いクリーニング」では、着物の水シミ・炭酸水シミは解決しません。ドライクリーニングは石油溶剤で全体を機械洗いするものであり、チリや軽い皮脂汚れ等は落とせますが、「水濡れによる縮み」等には対処ができないのです。

着物専門の職人が居るお店を選ぶ

着物の水や炭酸水によるシミについては、専門店で次のような対処が必要になります。

  • ごく軽い水シミの場合:部分的なシミ抜きで対処できることもあります。
  • 水濡れの範囲が広い場合:程度によっては洗い張り(あらいはり)が必要になることがあります。洗い張りとは、着物を一度ほどいてから専門的な水洗いを行って張り直す作業のことです。
  • 染料の流れ出し・滲みがある場合:染色補正士による「色かけ」等で染め直しをしたり「柄足し」等で滲みを目立たなくさせる作業が必要になります。

上のような対処は、どれも専門的な知識を持つ職人さんだけができるものです。着物を専門に扱う悉皆屋(しっかいや:着物のお手入れを総合して行う専門業者)や、職人が在籍する着物専門クリーニング店等、着物の扱いに強いお店に相談をしましょう。

おわりに

結婚式や卒業式・お葬式・成人式等、フォーマルな場で着る礼装用の着物は、そのほとんどが正絹(シルク)で作られています。そのためフォーマル着物ほど、水シミや炭酸水のシミによるトラブルが多いです。

「水濡れ程度だから」と甘く見てしまうと、大切な着物が元に戻らなくなってしまうこともあります。「水をこぼした」「炭酸水のグラスを倒してしまった」といった時には、早めにお店に相談をすることが大切です。

また良く着る着物については、撥水加工をして予防対策とするのもおすすめ。撥水加工にしておけば、軽い水濡れなどでは水シミにならないので、お手入れがラクになりますよ。

他店で断られたシミ承ります!

関連記事